エルフの女王
城に近づくと門番のドワーフがが近づいて来た。
フィンが彼らに何か話すと、彼らは城内に招き入れてくれた。
フィンに手を引かれ城に入ると、マナは思わずため息が漏れた。
《何て綺麗なお城…。柱が透明で、光が透き通っていてとても綺麗…》
《この柱はクリスタルと言います。このクリスタルは、魔法の力を反射するのに最も適した石なのです。エルフ族は好んでこの石を使用します。見た目も美しいので、美意識の高い彼らには好ましいのでしょう》
《まぁ。綺麗なだけでは無く、そんな力もあるのですね》
水晶の柱に見とれて話していると、後ろから小さなエルフの少女が駆け寄って来た。
《フィーン、会いたかった。いついらしたの?》
彼女はフィンに抱きつき、彼は彼女を軽々と抱き上げた。
《オーディ、お久しぶりです。お元気でしたか?今日は女王陛下にお会いしに来たのですよ》
《えーお母様に…。オーディとは遊べないの?》
《すいません、急ぎの用事なので…。今度来た時は必ずお相手致します》
《本当ね、約束だからね》
そういうとオーディはフィンに指切りを催促した。
フィンは彼女に指切りをして、彼女を腕から降ろした。
彼女はフィンの腕から降りると、一緒にいたマナを凝視した。
《フィン、この女性は誰なの?人間族みたいだけど…》
《この方は人間族では無いんだよ。訳あって私がお手伝いをしている方だよ。名前はマナ姫、君と同じ姫君だよ。彼女は生まれつき目が不自由でね、私が彼女の目の変わりになっているんだ》
フィンはオーディの目線に合わせ、かがみ込んで語りかけた。
オーディは不安な目で私とフィンを見つめ、フィンの腕を掴み私に向かって睨み付けた。
《フィンは私の旦那様になる人なのだから、そこの貴女忘れないでね》
そう言うと彼女はその場から走り去った。
《ふふ、可愛い婚約者様ですね》
《彼女はこの国の次代の女王です。今は少女ですが、私の二倍は長生きされる方ですよ。彼女より強い力を持つドラゴン族は私しか居ない為、彼女の婚約者と言う立場をとっています、しかし、いつか彼女には相応しい相手が出来るでしょう》
《彼女はとても貴方が好きなようですわね。私にはそう見えますわ》
《まだ彼女は産まれてまだ数年しか経っていません。私が、ドラゴン族なので物珍しいだけですよ》
《恋心はそんなに簡単には変わらないと思いますわ。彼女今でもとても美しいですし、きっと凄い美人になられますわよ》
《参ったなぁ…、いじめないで下さい》
《ふふ…ごめんなさい無粋でしたわね》
《では女王の間に参りましょう。女王は私達が来るのをお待ちの筈です》
フィンに手をひかれ、マナは彼と一緒に女王の間に急いだ。
女王の間に入ると中央には、白銀のとても美しいエルフが佇んでいた。
彼女は私達に気付くと歩み寄り、フィンに向かって会釈を、見惚れるような神々しく行った。
《皇子様お待ちしておりました。そして彼方からワンダーとなる者よ。我が城ヴィアパレス城にようこそおいで下さいました。私はエルフの女王ユリシス、貴女がこの瞬間此方においでになる事は、私には分かっておりました》
そう話すと女王は私の手を取り、ある映像を私に見せた。
それは幾重にも昔から、ワンダー達が行って来た歴史と世界のバランスだった。
ワンダーの中には民を守り戦い英雄になった者や、世界と関わりを持たず元の世界に戻った者など、様々だった。