語られた真実
深夜遅くマナは目を覚まし、静まり返った部屋を見渡した。
フィンは旅の疲れもあるのだろう、ぐっすりと眠っていた。
扉の隙間から光りが漏れており、マナは光に導かれるように扉を開けた。
《おや、起こしてしまいましたか…。すいません。何故か寝付けなくて》
《いえ、サリアス様。大丈夫です。私、サリアス様にお聞きしたい事がありますの。よろしいでしょうか?》
《えぇ、どうぞこちらにおかけ下さい》
サリアスはマナに椅子に座らせ、飲み物を入れて腰を下ろした。
《何をお聞きになりたいのですか?私にお答え出来る事なら、何なりとお答えしましょう》
《私が知りたいのはアルサス様の事です。アルサス様が急に人が変わられた原因は、石だと聞きました。その石はどんな石なのですか?サリアス様は見たことがおありでしょうか?》
《残念ながら私は見たことがありません、ただ、アルサス王は石に近づく者を許しません。きっと私でさえ近づけてはくれないでしょう》
《そうですか…。私の力があればきっとその石を探す事も出来ると思いますが、場所がわかればより安全だと思ったのですが…。残念です》
《すいません。お力になれなくて…》
《いえ、サリアス様。十分ご助力頂いております。私もフィンも無事なのはサリアス様のおかげですわ》
《こちらこそ、私も貴女のおかげで友を取り戻す事が出来そうです。希望を頂けました。さぁ、明日は大変です。ゆっくり休んで明日に備えましょう》
《はい。サリアス様。おやすみなさい》
翌日、サリアスに連れられマナとフィンは赤宮にいるアルサス王の謁見が認められた。
王が居る部屋は、煌びやかな通路の奥の、光の通らない薄暗い部屋だった。
部屋に入ると王座に、若い男が足を包み込むように座っていた。
《アルサス様、こちらは私の友人でマナ姫とフィン殿です。王に謁見を求めてはるばる遠方から来られました》
サリアスがアルサス王に話しかけると、アルサスは上空を見つめ何かぶつぶつと呟いた。
しかし、目は映ろで正気が無く、マナには生きている生気さえ感じなかった。
《アルサス王、私はマナと申します。私はワンダーと呼ばれる者、異世界から参りました。私はこの世界の理に口出す権利は無いかも知れませんが、傷つき町にあふれる孤児達をほっておく事は出来ません。どうかこの戦争をやめて頂けませんか》
マナがそう語りアルサス王に近づいた瞬間、アルサス王は奇声をあげながらガタガタと震え出した。そして、サリアスに縋り付いた。
《マナ姫。アルサス王のあの姿はどうしたのでしょう?とても軍隊を指揮して戦争をしてる方とは思えません。心が壊れているような…、操れているような》
《えぇ…フィン様。僅かですがアルサス王の懐から何か怪しい力のような物を感じます。私にフィン様のお力を貸して下さい。…装着》
マナは装着でフィンの力を伴い、アルサスに杖の魔法で衝撃を与えた。
眩い閃光の後、アルサス王の懐から、透明な結晶がキラキラと舞い落ちた。
アルサス王はその場に座り込み、マナが急ぎ駆け寄ると、アルサス王の顔からは見る見る生気が蘇り、アルサス王はゆっくりと目を開けた。
《ここは、いったいどこなんだ…………》
《アルサス王、私はマナです。私は貴方に戦争をやめて貰うお願いに今来たのです。覚えていませんか?》
《分からない…、私は石を道で拾い…家に帰る途中だったんだ。そして、サリアスという男に出会い彼が何か唱えて…》
マナは王座の横に立つサリアスに目線を飛ばした。
サリアスは不適な笑みを浮かべこちらを見ていた。
《どういう事です、サリアス様。貴方がアルサス王を操っていたのですか!?》
《そうです。私が彼を操り、戦争をおこしました。この時この瞬間まで、長かった…》
《どういう意味です…》
《マナ姫…。わかりませんか?私も貴女と同じワンダーなのです。分かりますかこの意味が…》
《では貴方が私をこの世界に呼んだのですね…、何故なのです。何故戦争を起こしたのですか!?》
《世界のバランスを壊す為》
《!!!!!!》
《この世界は人口のバランスを保つ事で世界の秩序が保たれて居ます、そしてバランスが崩れた時ワンダーは異世界からワンダーを呼べるのです。そしてバランスが戻りワンダー同士が相対した時、異世界に戻る扉が出現します》
《そんな…そんな事の為に、貴方は幾千の人々を死に追いやったのですか…》
《マナ姫、私を何才だと思われますか?見た目は30歳半ばといった所でしょうか?しかし、私は既に数百年という歳月をこの世界で過ごしています。老いる事も無く死ぬ事も無く、私も始めはこの世界の人々と馴染む為努力したのです。だが老いる事も怪我や病気にならない私を、どの種族も奇異の目しか向けなかった。そんな時、塔の古い文献でワンダーについての書物を発見しました。…私は涙を流し喚起しました。しかし、文献の続きには、次のワンダーに扉を開けて貰えないと、元の世界には帰れないと書いてあり絶望しました。誰がこんな世界に呼んだ相手を、自分が帰れないのに帰してくれるだろうと…》
サリアスはマナを見つめ微笑みかけた。




