世界のバランス
遥か昔この世界は5種族が生活していた。
人間族・エルフ族・ドラゴン族・獣人族・賢者の5種族は、互いに均衡を保ち平穏に過ごしていた。
ある日、その均衡が崩れた。人間族の若者の手によってその平穏は壊されたのだった。
彼の名はアルサス。
普通の青年で家は貧しいながら、働き者の優しい少年だった。
彼がいつものように畑仕事をして、牛の世話を終え家に帰る途中だった。
アルサスの足元に小さな光る石が落ちていた。
アルサスは石を持ち帰って首飾りのお守りにした。
石を持つと不思議なことに、いくら働いても疲れる事が無く、アルサスは日中問わず働く事が出来た。
アルサスは毎日夜になると、石を見ながらお祈りをした。
するとその次の日、アルサスには信じられない程の力が沸き起こった。
石に力がある事が分かったその日から、アルサスはどんどん石に執着して行き、精神的におかしくなっていった。
暫く後、石の力を使い、アルサスは人間族の中で王族と呼ばれる地位を手に入れた、その頃には既に彼の心は病んでしまい、誰の忠言も聞かない独裁者になっていた。
彼は石を奪われる事を何より恐れ、まずは隣国である獣人族の国を攻める事にした。
獣人族は人間族に比べ原始的な生活をしていた為、攻め込んだ人間族に太刀打ち出来るすべは無かった。
この戦争は瞬く間に世界中に知れ渡った。