第91話 復讐の一撃
<ホワイハウス>
「最新鋭の戦闘機と特殊潜水艦の大量使用。なるほどこれは貧乏国日本では真似のできない作戦だな」
ルーズベルト大統領は眼鏡越しに見た資料をぽいっと机に置いた。
「特殊潜水艦『グアム』級は一隻につき一機の改良を加えたシューティングスターを乗せられます。カタパルトから打ち出し機体の回収はできませんがパイロットは潜水艦が収容します」
海軍長官キングの言葉を聞きルーズベルト大統領はうなずいた。
「そんな方法しかないとはな…情けなくて涙が出そうだ」
特殊潜水艦『グアム』は日本の潜水艦が水上機を出すのを聞き作らせたものだった。
空母が使えない場所でも戦闘機が使用できる。
ただし場合によっては航空機を捨てねばならないのであまり効率がいいものではないのだが…
「山本を討ち取れそうか?」
「必ず討ち取ってみせます」
それが数日前の出来事であった。
特殊潜水艦『グアム』級のカタパルトからジェット噴射で打ち出されたシューティングスター50機は眼下のグアム級潜水艦が再びしずんで行くのを見ながら速度を上げた。
「マイケル…仇は撃つからな…」
そういいながら特別攻撃隊の隊員の一人であるフレック少尉はコクピットの計器に貼付けてある3つの写真を見て言った。
母と恋人、そして真珠湾奇襲で死亡した友の写真だった。
山本五十六を必ず殺す。
そして、日本軍を憎む兵はここにもいた。
お馴染みのハリー・ボーマン大尉である。
紀伊の始めての戦いからずっと生き残りあちこちの空母、しまいにはミッドウェー基地にまで飛ばされたボーマン大尉であったがミッドウェーが占領されてしまったのでこうしてアメリカ本国に命からがら逃れ、今回の攻撃を知り志願した。
もはやボーマン大尉にとって日本軍は一矢報えるならそれでいいという恐怖の存在へと変わってしまっていた。
様々な戦線で生きて帰ってくる彼を同僚のパイロットはラッキーハリーと呼んでいたがボーマンにとってはどうでもよかった。
「ジャップめ…貴様らの総大将を海にダイブさせてやるぜ」
ボーマンは仲間と編隊を組ながらつぶやいた。
「ブルーリーダーより各機へ、ジャップのご登場だ。ぬかるなよ?」
隊長機からの通信を聞きボーマンも返事を返した。
「ブルー1了解」
「ブルー2了解」
ボーマンが前に意識を集中すると戦闘機が見えてきた。
高度をあげようとしているのが自分達の目標の富嶽だ。
間抜けにも低空にいたようだった。
前方からは憎き日本の戦闘機『神雷』が接近してくる。
「全機散開!」
「食らいやがれジャップ!」
ボーマンはロケット弾の発射ボタンを押し、同時に神雷はミサイルを発射する。
味方が何機か落とされるがボーマン達は最大速力で富嶽に迫った。
神雷は数が少なくて対応できない。
みるみるボーマンの目に富嶽が迫りついに射程に納めた。
「キルジャップ」
ボーマンは口元に笑みを浮かべロケット弾を発射した。
ズドオオオオオオン
ていう音を立てて富嶽の右の翼から炎が巻き上がった。
「イエス!」
ボーマンはガッツポーズを決めたがそれが油断だった。
後ろから怒り狂った神雷がミサイルを発射したのだ。
ボーマンは慌てて脱出し彼の戦闘機は再び爆発したのだった。
だが、炎を出す富嶽を見る彼の顔は笑顔だった。
エリーゼ「終わりましたね」
凛「まだよ!まだ墜落してないわ」
京子「どうせ近くに味方の空母がいたり未来戦艦が飛び込んで来て助かるんじゃろ?」
作者「そんなぽんぽん未来戦艦をタイムスリップ出来るわけないじゃないですか!空母もいません!」
凛「え?じゃあ山本長官は?」
作者「…」
エリーゼ「死ぬんですか?」
作者「…」
京子「なんとか言わんかたわけが!」
作者「ぎゃああああ」
ズドオオオオオオン
エリーゼ「叫びましたね…」
京子「望んだ答えではないのぅ…」
凛「じゃあ意見と感想待ってるわよ」
エリーゼ「次回山本長官最後の時です」
京子「本当なのか?」
エリーゼ「適当です」