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第88話 姉妹

グオオオオオオンという音とキイイイイイインという二つの音が真珠湾に停泊する艦艇に聞こえてきた。


時は1月4日の昼、日本のものとなったハワイの空を日本に戻るため富嶽は山本 五十六を乗せ6機の神雷と共に飛び立った。


小さくなっていく7機の航空機を防空指揮所から見ている艦魂がいた。

連合艦隊自慢の巨大戦艦『武蔵』の艦魂『桔梗』(ききょう)である。

腰まである長い黒髪を後ろで二つに結ぶツインテールの髪型を白いリボンでくくっていた。


「山本長官も無茶するわ」


桔梗は山本の行動に呆れながら関西弁で言ってから周りを見渡す。


山本長官を見送るように武蔵を始めとする艦船が真珠湾を出撃していく。

その戦力は大和、紀伊、武蔵、金剛、伊勢、霧島、日向、翔鶴、信濃、村雨である。


信濃と村雨は先日、日本から来た艦で呉がドイツ戦艦に襲われたことを聞き『近江』という大和級4番艦、つまり自分の妹が撃破したと信濃から聞くと桔梗は嬉しくなった。

呉が壊滅したのは嘆かわしいが…


今回の出撃は戦いに行くわけではなく演習である。


出撃した艦船にはジェットエンジンが大和、紀伊を除き例外なく取り付けられている。

むろん始めからつけることを想定していないので近江の速力には及ばないのだが…

武蔵にもむろんジェットエンジンが取り付けられていたが近江と違うところは機関でガスタービンではなくボイラーのままであった。

さすがに機関から変えるとなると大改装が必要なのでこうなった。

極端な話ボイラーの弱点である出撃に時間がかかる弱点もジェットエンジンを使えば問題なくなったのである。

ただ一つ問題があるとすれば…


「扱う人間が問題やな…」


桔梗ははーと息を吐いた。

ここ数日ジェットエンジンを取り付け終わった艦船は毎日真珠湾から離れて演習をしていたがあまりの高速に乗組員がついていかない。

このままでは実戦なんて夢のまた夢なのだ。


「誇りある連合艦隊が嘆かわしいわ」


「仕方ありませんよ桔梗」


声に桔梗が振り返ると演習のため白い士官服を着ている大和の艦魂撫子が薄く微笑みながら立っていた。

隣には信濃の艦魂小雪が撫子の軍服を掴んでちらちらと桔梗を見ている。


(私なんかしたんかな?)


この小雪は大和4姉妹の3女で桔梗の妹でもあるのだが合流してから撫子にべったりでなんだか懐かれてない気がしていた。

まあ、それはともかく…


「撫子姉さんと小雪か?なんや、仕方ないって?」


声をかけた瞬間小雪がぴくりと反応した気がしたが…


「この速度には皆さんなれてませんから…倍以上の速度が出せるようになった艦ですが連合艦隊の皆さんならきっと扱えるようになります。小雪はもう大丈夫ですしね」


撫子が微笑みながら小雪の頭を優しく撫でると小雪は目を潰って気持ち良さそうに微笑んだ。


それを見て始めての妹ということもあってか桔梗はいいなぁと内心思いながらそれを見ていた。


「なあ、小雪、ひとつ聞いてええか?」


「え?」


小雪は突然桔梗に声をかけられたのでびっくりした顔で彼女を見た。


「私なんかしたかな?まだ、会って間がないんは分かるんやけどせっかく姉妹になったんやからもう少し…」


「ご、ごめんなさい!」


「いや、私は怒ってるんやなくて…」


あかんと桔梗は思いながら姉を見ると撫子は小雪を撫でながら


「小雪は恥ずかしがってるのよ桔梗」


「恥ずかしがる?」

桔梗は小雪を見るとなるほど確かに小雪の顔は赤い。


「私そんなに怖いんか?撫子姉さん?」

撫子はニコニコしながら


「小雪はね関西弁=ヤクザっていうイメージがあるみたいなの」


がーんと桔梗は頭を殴られた気持ちになった。

よりによって栄光ある武蔵の艦魂である自分がヤクザなんかと同列になるとは…桔梗はがっくりと膝をついた。


「あんまりや…関西弁はヤクザなんかと関係あらへんねん」

「お、お姉ちゃん?」


がっくりとしてしまった桔梗を見て声をかける小雪。

しかし、桔梗は次の瞬間立ち上がると小雪の手を掴んだ。


「関西弁はヤクザやないんや!もっと変な喋り方するやつ見せたるわ!行くで小雪」


「え?あの…な、撫子お姉ちゃん〜」


撫子はニコニコしながらいってらっしゃいと手を振っているだけだった。


そんなぁと小雪は思いながら転移の光の中に消えていった。










ところかわりここは戦艦日向の艦魂『京子』(きょうこ)の自室である。


「で?なんのようじゃ(なれ)らは?」


ちなみに小雪と日向は初対面である。

桔梗はベッドに座りこちらを見ている京子を指差すと


「な!こいつの方がへんな喋り方やろ?」


「なんじゃ!変な喋り方っていうのはなんのことなのじゃ!」


「あんたの姫様口調のことや!なんやねんその変な喋り方は!」


「へ、変な喋り方じゃとう?汝の関西弁という喋り方の方が変ではないか!」


「関西弁のどこが変やちゅうねん!」


「ちゅうなんて変じゃ!」


ぎゃぁぎゃぁといきなり始まってしまった言い争い…くだらない理由なのだが二人は互いの喋り方について言い争い始める。


(な、なんでこんなことに…)


小雪は頭を抱えたくなった。

実は小雪は姉である桔梗との関係をこのままではいけないと思い早く懐けた撫子に相談した結果、先ほどの場所に行くことなったのだが…


「関西弁は最高なんや!」


「姫弁の方が最高じゃ!」



「なんやねん姫弁って!」


「も、もうやめてぇ!」


結局小雪が泣きながら桔梗にこれまでの事情をやけくそ気味に言うと桔梗は少し落ち込んだものの笑って許してくれた。

ようやく小雪は桔梗、撫子と姉妹になれたのだと喜ぶのであった。


所で姫弁(?)と関西弁のどちらが優れているかという投票が後日行われようとしたが鈴と柚子の鬼コンビに強引に解散させられて結果は分からなかったというのはまた、別の話




桔梗「関西弁は最高や!」


作者「その通り!」


京子「く!汝は関西人なのを忘れておったわ」


桔梗「これで2対1で関西弁の勝利やざまあみぃ京子」


京子「むぐぐ…」


作者「ところでお二人はどういう関係で?」


京子「友達じゃ」


桔梗「一応そうやな」


作者「ほほぅ…だから本編であんなに仲いいんですか」


桔梗「怒鳴りあうあれのどこが仲いいんや?いつもはあんなんちゃうで」


京子「誤解させる書き方しかできんのか汝は!」


桔梗「ちゅうわけで」


京子「デストロイじゃ」


作者「ぎゃああああ」


ズドオオオオオオン

桔梗「ほな意見と感想」


京子「待っておるぞ」


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