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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
プロローグ―変わりゆく太平洋戦争
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第8話 独立機動艦隊


「司令!しっかりしてください司令!」


「う・・・む」

スプルーアンスが目を開けるとそこには自分の参謀長がいた。


「ここは?」


スプルーアンスは辺りを見回す。

どうやら医務室らしいが…


「駆逐艦の中です」


と参謀長が言う。


「駆逐艦?エンタープライズはどうしたのだ?」


すると、参謀長は肩を落として


「沈みました。ホーネットも同様です」


そこでスプルーアンスは敵の日本海軍のものらしいジェット戦闘機から発射された

ロケット弾がホーネット、エンタプライズを沈めたらしいということを聞いた。

わずかに生き残った兵によればそのロケット弾は逃れようとする航空機を追尾し、100発100中だったという。


「なんという悲劇だ…」


スプルーアンスも肩を落とした。


「現在生き残った艦は真珠湾に向け帰還中です。フレッチャー少将が航空機の援護を上空につけてくれてますのでもう大丈夫です」


「日本海軍の動きはどうなのだ?奴ら引き換えしてくるんじゃないか?」


スプルーアンスは胃が締め付けられるような思いで聞くと参謀長は微笑み


「大丈夫です。敵のジェット戦闘機が撤収した後レーダーで確認しましたが連合艦隊は

索敵圏外へと逃れました」


「そうか…しかし、ジャップの奴らいつの間にジェット戦闘機を…なぜ、ミッドウェーで使わなかったのだろう…」


「開発が間に合わなかったのでは?敵の戦闘機も10機のみだったと聞きますし」

「…そうなのだろうか…」


麻酔が効いてきたのか眠くなってきた。

スプルーアンスの意識は再び闇の中へと落ちていった。




『連合艦隊大勝利』の文字が日本の新聞に躍ったのは言うまでもない。

米機動部隊をほぼ壊滅させての凱旋である。

だが、結果を見れば惨敗である。

日本は空母、蒼龍、飛龍、赤城、加賀を失ったのである。

この喪失は大きい。

日本はアメリカと違い次々と空母を作り出す工業力は低いのだ。

しかし、大本営を騒がせたのはやはり『紀伊』の存在であった。

連合艦隊司令長官の名で呉の沖合いに停泊しているその戦艦は大本営の

興味の対象となっていた。




その状況説明をするために東条総理に呼び出された山本五十六は2人の未来からの

客人と共に総理官邸を訪れていた。

日向、藤宮の2人である。

藤宮 桜はいずれ詳しく語ることはあろうが2042年から望まず紀伊と共にタイムスリップすることになった未来日本では女子高生であった。

それがなぜ日向と共にいるか?それは後に分かることとなろう。


部屋で東条がやってくるのを3人が待っているとやがて丸眼鏡をかけてはげた頭の東條英機総理が入ってきてまず、山本を見た。


「長官、おめでとう。君の作戦通りアメリカ機動部隊の壊滅に成功したようだな」


 山本五十六はいえといいながら


「結果としてわが海軍は正規空母4隻を失いました。結果としては惨敗です。彼らの協力がなければ今頃、敵空母は未だ健在であったでしょう」


と、山本は日向と藤宮に向き直った。

すると、東條は初めて彼らに気づいたようで怪訝な顔をした。


「こいつらが私に合わせたいといっていた連中か?若造と小娘ではないか…」


と明らかに侮蔑した目で言った。

日向は山本の横に立つと敬礼し


「はじめまして東條総理。お会いできて光栄です。私は日本連合艦隊司令長官日向 恭介です」


「日本連合艦隊だと?貴様、私を馬鹿にしてるのか?」


と顔を真っ赤にして東條は言うと山本に向き直る。


「長官…君はこんな馬鹿なことを言う男に私を合わせたかったのかね?」


「彼の話を最後まで聞いてやってくれませんか?」


と山本は言った。


「…いいだろう。聞こうじゃないか」


と、東條はさあ、いつでも馬鹿な話を始めてくれとばかりに日向を見た。


「これから言うことは始めは信じられないかも知れませんが全て事実です。

私達は未来から…2042年の世界から来ました」


「ハハハハハ!2042年だと?丁度100年後だな?それで?未来人が何のようなんだ?」


「日本を救いにきたのです」


「ほう」


と東條は踵を返そうとした。


「もういいだろう長官?この男は精神病院にでも送ろう。君も疲れているだろう?もう、休みたまえ」


そういい立ち去ろうとする東條に日向は声をかける。


「未来から来たという証拠もあります」


「証拠だと?」


東條は足を止めて振り返った。


「見せてもらおうじゃないか?」


日向は藤宮の方を見ると彼女は持っていたノートパソコンを開けて机の上に置いた。

東條の目がパソコンに注がれる。


「なんだそれは?」


「パソコンといいます」


話は始まった。山本達に話した未来日本の終焉とこの太平洋戦争の行方など全てをパソコンを見せながら東條に話すと東條はううむと唸ってしまった。


「信じるほかないな…。それで、お前達はこれからどのようにして日本を救ってくれるというのだ?」


と、東條が聞いた。

日向はさあ、ここからだとばかりに気を引き締めた。


「これからあげることを全てなさねば日本はアメリカに敗北します。よく聞いてください」

それは次の内容になる。


1、蒋介石政権を認め中国と手を組むこと


2、ジェット戦闘機の開発


3、VT信官の開発


4、油田を確保し十分に貯蔵する。


5、広がりすぎた戦線の縮小


6、三国同盟の破棄


7、占領している国家の完全独立(日本の息がかかっていない完全な独立)


8、艦船の改装


9、空母の増産


10、独立機動艦隊の設立


11、レーダーの開発


12、ロケット弾技術(ただし、ミサイルではない)


他にもいくつかあったがそれはいずれ書こう。

だが、予想通り東條は難色を示した。特に三国同盟の破棄、蒋介石と手を組む、国家の完全独立という辺りである。


「ドイツとの同盟に得るものは何もありません。ジェット戦闘機開発など史実では確かに

少々の利はありましたが今は我々がいます。強力な戦闘機開発を始め様々な分野のスペシャリストが揃っています」


ううむと再び東條は唸った。


「次に国家の完全独立ですがそれは戦後の話です。大東亜共栄圏として参加させるのもよいでしょう。ですが、それは完全な独立国としての参加です。日本の息がかかっているのはいけません。今は独立させてもアメリカが攻撃してくる以上防衛軍は必要ですが…」


「しかし、蒋介石と手を組めとは…」


「それが中国戦線を終わらせる唯一の手です。説得には我らのパソコンを提供しましょう。

毛沢東に追い落とされることが分かればきっと蒋介石は日本と手を組みたがることでしょう。それも対等な国家としての付き合いをお願いします」


「…独立機動艦隊とはなんなのだ?」


東條が悩んでいたので山本が訪ねる。

さあ、本番だと日向は思った。


「独立機動艦隊とは『機動戦艦』を中核とした艦隊です」


「機動戦艦?」


聞いたことのない名称に山本は首をかしげた。


「機動戦艦とは未来で4つの能力を持つ戦艦の名称です。『イージスシステム』、『航空機搭載能力』、『核融合炉』、『ミサイル』を持つものを言います」


「ふむ、その艦隊の構成はどうするのだ?」


「独立機動艦隊の旗艦は機動戦艦『紀伊』です。それに蒼龍、飛龍が加わります。これが第1機動艦隊。次に機動戦艦『尾張』と空母、赤城が第2機動艦隊」


「空母と戦艦だけだと?それだと潜水艦には無力ではないか」


東條が言った。

しかし、日向は首を横に振り


「いえ、ミサイルは潜水艦を攻撃できるものもあります。それにソナーという潜水艦用のレーダーはこの時代の潜水艦など容易に発見できます。最後に機動戦艦『三笠』と空母、加賀の第3機動艦隊の3つの艦隊の設立です。この独立機動艦隊の総司令官は私としていただき大日本帝国とは別の独自の指揮系統で動きます。

表向きは大日本帝国の所属で要請があれば動くかどうか私が決めます。補給などは大日本帝国からお願いします。

さらに人事などについても私の1任でお願いします。我らの真の所属は未来の連合艦隊でありこの時代の連合艦隊ではありませんから」


「独自の艦隊だと?」


東條の目つきが鋭くなった。


「それで?その艦隊を設立するメリットはあるのか?」


と東條は言った。

だが、これも予想済みの日向は慌てない。


「設立していただき補給なども約束していただけるなら未来の技術をお渡しいたしましょう。もし、設立拒むなら残念ですが話は終わりです」


むうと東條は唸った。


「脅す気か?」


そう、東條はもし日向達が協力してくれないなら日本に勝ち目がないことに

気づいてしまった。だから断られるわけには行かなかった。

だが、この男、やすやすとはいかなかった。


「我らが断れば困るのはお前達ではないのか?流浪の身となると困るだろう?」


「構いません。そうなったらどこか他国と組みアメリカを倒すだけです」


無論これはブラフだ。この時点ではどこの国と組んでもアメリカを倒すことはできても

日本は救えない。それでは本末転倒なのであった。


「…」


「…」


東條と日向のにらみ合いが続いたが…先の折れたのは東條だった。


「よかろう…」


日向が笑みを見せようとしたが東條は最後に


「だが、我らの意思を決めるのは陛下だ。天皇陛下にお前達には会っていただく」

誰にも気づかれることなく日向は口元を緩めた。


統帥権を持つ天皇と会うことは必ず必要なことだったから…


ご意見、感想お待ちしております。

では、凛様どうぞ!

凛「あれ?この回資料室の少女の謎が解けるんじゃなかったの?ほとんど出てないじゃない?ま、この作者に執筆能力がないということね」

グサ(心に刺さる刃)

凛「ん?何か音がした?まあ、いいわ。次回予告ね。分かってるわよ。次回は…ふーん、天皇に会うんだ。

私は次回も出番なさそうね…暇だから恭介の部屋をあさろうかしら?フフフ…」

い、以上凛様でした!







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