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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
プロローグ―変わりゆく太平洋戦争
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第6話 侵入者

アメリカ艦隊接近の報告を日向から聞き山本は確認を取ろうと思ったがすでに外は

真っ暗で偵察機を飛ばすことが出来ないことに気づいた。

レーダー開発を怠ったためレーダーの性能は悪く補足できるはずもない。


「心配はご無用です山本長官」


日向は口元に笑みを浮かべたまま言った。


「我々の力をお見せしましょう。少し時間がありますから紀伊の見物でもいかがですか?」


明朝、敵航空機が出撃したという報告を受けた戦艦『紀伊』から10機のハリアー3が飛び立ち空の彼方に消えて言った。

兵士達はそれをあっけに取られたようにそれを見ていた。




時は数時間さかのぼる、アメリカが太平洋に持つ最後の空母エンタープライズとホーネットを含む

機動部隊は重巡、駆逐艦に守られながら一路、日本艦隊を殲滅するため西進していた。

総司令官は沖縄戦で大和を沈めたスプルーアンス少将である。

ミッドウェー海戦での司令を勤めていたフレッチャー少将は真珠湾に損傷艦と共に

戻っている。

今回の未だ真珠湾にすら帰島していない状態での日本艦隊追撃は大統領じきじきの命令であった。

まだ、一部のものしか知らないがパナマ運河が日本の戦艦の攻撃を受け破壊されたらしい。


 「日本艦隊はまだ、補足できないのか?」


 「夜間ですので索敵機を発進させることができません。レーダーには何も映っておりませんし明るくなるまでお待ちください」


「警戒を怠るな」


「イエッサー!」


「夜間雷撃はないだろうが…」


スプルーアンスは言った。

機動部隊旗艦エンタープライズの艦橋である。

外は漆黒の闇に包まれており何も見えない。


「しかし、大統領も無茶を言う…」


スプルーアンスは苛立ちながら言った。

現在エンタープライズとホーネットは艦載機の数を減らしている。

ミッドウェー海戦で大勝利だったとはいえヨークタウンを失っている以上

無理な追撃は控えるべきだとスプルーアンスは主張したのだが大統領は強行に

この攻撃を主張した。

とはいえ航空戦力は日本海軍には勝っているはずである。

その証拠に正規空母4隻を沈められた日本艦隊は尻に火がついたように逃げに入っている。

予定では明朝になるまでには日本艦隊を補足し、太陽が出ると同時に攻撃隊を飛ばすことになっている。

もし、補足出来なかったらスプルーアンスは真珠湾に帰島するつもりでいた。

いくらなんでも日本本土の航空隊と戦えるだけの力は今の太平洋艦隊にはない。

しかし、スプルーアンスは落ち着かなかった。

嫌な予感が消えなかったのだ




その頃日本連合艦隊は日本に向け帰還中であった。

「紀伊に何か変化はないか?」

『大和』艦長高柳が言った。

ありませんと兵士が答えると高柳はいらだったように大和の横に並ぶようにして

航行している巨大戦艦の方を見る。

外は暗闇なのでぼんやりとしか見えないが巨大なためなんとなくなら輪郭が分かる

「あのような怪しい戦艦などと…山本長官と黒島参謀長はどうかなさってしまったのだろうか…一体連中に何を聞かされたのか…」


その山本長官と黒島参謀長は今は大和にいない。

高柳が目を向ける『紀伊』に2人は行っているのである。

正確に言うなら2人と小西一等水兵、森田兵曹が同行している。

2人は護衛という名目で連れて行かれたが未来の話を聞いてしまった。

これは大変なことであり必然的に彼らは望まず重要な人物になってしまったのである。

無論、そんなことは高柳艦長は知らないのだが…




通常、敵を見つけたなら戦闘態勢に移行するのが普通の軍隊である。

しかし、現在の紀伊はCICとハリアーのパイロットを除く乗組員は戦闘準備は最低限のものしか行っていなかった。


「紀伊の見物に来ませんか」


と、日向に言われ正直山本と黒島は戸惑った。

敵が来ているなら戦う準備をしなければならない。

だが、日向は2人に一方的な勝利を見せるので心配はいらないと

言う。

その根拠を聞くまではいけないと2人が言うと古賀が説明をしてくれた。

まず、紀伊の搭載されているレーダーの性能はアメリカの2倍以上の性能を持つこと、

そして、ハリアーの存在である。

わずか10機だがその機が装備するミサイルは強力である。

さらに山本を驚かせたのは紀伊の持つ能力だった。

『イージスシステム』、これは30の敵を同時にロックオンしさらに100キロを越す射程を持つミサイルを放つことが出き、その命中率は100発100中であるという。

戦艦部隊の砲弾を全て叩き落したのがこのイージスの力だと古賀が言うと

山本と黒島はまた、驚愕した。

戦艦が放つ砲弾を全て迎撃するなどもはや神の領域だと黒島は言った。

『紀伊』が完全に無傷だったことがそれを真実だということを証明している。

そのため山本達は『紀伊』へと出向いたのだ。




敵レーダーに補足されるのは時間の問題であるが敵は機動部隊であるため

夜の攻撃はない。この時点で太平洋艦隊の戦艦は全て修理中であることを

日向達は知っているので敵の中核はサトラガとホーネットだと予測された。

この日本艦隊追撃は歴史には存在しないが日向達は自分達が取った行動が

すでに歴史に大きな影響を与えていることを知っており。

それに対する予想も立ててある。

油断もない。

CICは戦闘態勢であるしアメリカを休戦に追い込むためのプランを

日向は立てているのだ。

そのためにはまず、今こちらに向かっている機動部隊を壊滅させる必要がある。

それも圧倒的な力の差をアメリカに見せ付ける必要が今回はあった。

『日本艦隊脅威なり』という考えを絶対に植えつけなければならないのである。


「消えてもらうぞ…機動部隊」


CICの薄暗い闇の中ぞっとするような声で一人の兵が言った。




『大和ホテル』、後に大和に設置されているクーラーなどに対して

他の艦の兵が言った皮肉だがこれを日向から聞いてから紀伊に訪れて見ると

山本は大和がホテルなら紀伊は超高級ホテルだなと思った。


「すごい船だな。この紀伊という戦艦は」


黒島である。

古賀の案内の元、山本、黒島に続き小西、森田が続いている。


「黒島参謀長にそういっていただけるとは光栄です」


古賀が言った。

日向はというと用事があると言ってどこかに行ってしまった。


5人は先ほどから紀伊の中を見学していた。

まずはCICを訪れアメリカ軍の現在位置やイージスシステムの簡単な説明などを

聞いてからエレベーターで艦橋へ行いった後、ハリアー3を見に格納庫へと向かい

ハリアー隊の隊長小川大尉からハリアーの説明を受けといろいろなところを回って

次に食堂に向かう途中の出来事であった。


「ん?」


ふと、山本が足を止めた。


「どうかしましたか?」


他の4人も足を止めた。

山本が顔を向けているのは廊下の先の壁であった。その壁の右に行けば資料室が

あるのだが食堂はそちらではない。


「この船には子供が乗っているのかね?」


と山本は古賀に尋ねた。


「子供?」


古賀は怪訝な顔で訪ね返した。

山本五十六は今、自分が今見ていた資料室へと続く廊下を指差した。


「長い黒い髪の…そうだな12か13くらいの歳くらい女の子だった。

こちらを見て右の方を指差していた」

「そんなはずは…」


古賀は頭の中で乗組員の顔を思い浮かべるが子供が乗っているという記憶はなかった。

まさかと古賀は思った。

2042年の世界から何かの間違いで子供が紛れ込んだのではと古賀は思ったのだ。


「少し失礼します!」


古賀が資料室の方へ足を向ける。


「我々も行こう」


と山本と黒島達も続く。


「危険です。もし、危険な人物だったら…」


「古賀さん。山本長官!ここは私達が」


小西と森田が進み出た。

山本はそうだなとうなずき

古賀によろしいかなと確認を取る。


「ええ…」


と古賀は短く答えた。




シュン、という音と共に扉が自動で開いた。

自動ドアであることに小西と森田は一瞬驚いたが恐る恐る資料室に足を踏み入れる。


「誰かいるか!」


相手が小さな子供と聞いていたので森田がまず声をかける。

ちなみ紀伊の資料室というがその大きさは2人の想像を越えるものであった。

小さな部屋を想像していたのだが本棚がいくつも並び奥行きもそれなりにあった。

訪れる人が少ないと古賀が言っていたので隠れるのには最適だなと森田は思った。


「森田兵曹」


「なんだ小西?」


「乱暴なことはやめてくださいよ?相手は子供なんですから」


「馬鹿を言ってないで探すぞ!連合艦隊司令長官をお待たせするわけには

いかん」


声を荒げて森田は言った。

2人はまず一番奥から探してみることにし、資料室の奥へと足を踏み入れる。

するとそこには移動式の本棚がいくつも並べられており本棚にそれぞれ置いてある本の種類が書かれている。

どうやら人気のない本を集める場所のようで森田は外れかと思い違う場所に行こうとしるが小西が森田を呼び止めた。


「なんだ小西?」


「不自然じゃないですか?」


「何がだ?」


森田が聞くと小西は椅子を指差した。


「あれですよ。あの椅子に本が結構積まれてるでしょ?」


「それが何だというのだ?」


森田は再び苛立ち始めた。

しかし、小西は移動式の本棚のある種類のプレートに手を置き


「ほら、この古文って書いてある欄の本ですよねその本。もしかして…」


はっとして森田は本棚に詰め寄った。


「おい!小西!動かすの手伝え!」


と、端にある本棚から手で動かそうと力をこめる。


「あ!森田兵曹。ここに開って書いたボタンがありますよ」


カチ

小西がボタンを押すと本棚が動き始める。


「…」


ドガ


「いた!何で殴るんですか森田兵曹!」


「うるさい!上官に逆らった罰だ!」


「そんなむちゃくちゃな…」


そんないいあいをしているうちにも本棚は開いていく。

ごくっと2人は息を飲んだ。

そして、ついに古文の隣の本棚が動いたと思った瞬間

ヒュン

風を切る音


「え?」


小西が間抜けな声を上げた瞬間飛んできた本(古事記と書かれている)の角が小西の頭にクリーンヒットした。


「ぎゃ!」


小西は悲鳴を上げて床に崩れ落ちた。


「小西!」


その時本棚の間から影が飛び出してきた。

そして、森田に突っ込んでくる。

体当たりでもしようというのか。


「ふん!」


しかし、森田はあの大和の厳しい訓練を潜り抜けた猛者である。

突っ込んできた相手が素手だと分かるや否や相手の右手を掴み自分の背に

乗せてそのまま背負い投げの体制に入る。


「え!?」


影から声が聞こえたが森田は構わずに背負い投げを実行する。


「うらああああ!」


「きゃあああああ!」


交差する気合の声と悲鳴。

次の瞬間ズダアアンというものすごい音と共に影は床に叩きつけられた。

そして、そのまま動かなくなる。


「どうしたんですか!」


そのものすごい音を聞きドタドタと足音がし古賀と山本達がやってきた。

森田兵曹はどうだとばかりに自分が投げた相手を指差し


「敵を捕まえました」


と誇らしげに言った。

しかし、古賀はその相手を見て別の意味で驚いた。


「お、女の子?」


そこには15、6歳くらいの女の子が目を回して気絶していた。


ご意見・感想お待ちしております。

正直今回はかなり悩みました。

このまま行くべきかあるいは少し人間ドラマを作るべきかかなり悩みました。

しかし、周りや評価にあるものを出してほしいと言われ決意しました。

不愉快に思う方もいるかもしれませんが素人の小説だと思ってお許しください。

これは出したらだめだろうという感想や出してくれというような意見や感想も受け付けておりますのでお気軽にどうぞ。

次回更新は未定ですが17日までにまとめて話を更新する日があると思いますので期待してくれる方はお待ちください。

後、作者は評価の点数よりも感想をもらえることが好きで楽しんでくれているという感想を

見るたびによし!書くかというような単純な性格ですので感想を書いていただければ

更新が早く?なるかもしれません。



次回予告

紀伊に現れた謎の少女。彼女は何者なのか?

そして、ついにアメリカ艦隊は日本連合艦隊を補足する。






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