第64話 未来の傷
今回の後書きで艦魂同盟(仮)の初陣を切らせていただきます。
護衛戦艦『神龍』護りたいものがそこにある
艦魂年代史 〜ドキッ☆恋する乙女は大艦巨砲主義〜
の艦魂の方を後書きに招待しようという同盟です。
誰が正体されるかは後書きで!
紅蓮の炎が彼女の周りを包んでいた。
そのような時であるというのに彼女は微笑みながら凛を見る。
「あは…やっと着てくれたんだ凛、その服…似合うよ」
画面の向こうに映る凛の親友の少女は笑っていたが血まみれであった。
白い日本海軍の軍服は赤く染まり額からは血がにじみ出ている。
誰の目にも死は明らかだった。
「どうして…こんな」
凛はモニターにすがりつくようにして親友を見た。
彼女は戦場にいる。
国連軍との決戦と位置付けた戦いだ。
だが、国連軍は卑劣にも水爆を使い世界最強に返り咲いた日本連合艦隊の主力艦隊を消し去った。
モニターに映る艦魂は運がよかったとしかいえない。
凛は知らなかったが原子力戦艦『霧島』は国連軍との戦いで披弾し日本に帰還する途中であった。
そのおかけで水原の直撃を受けることは避けられたが沈むことは免れない。
だが、それが友と最後の時間を作る運となったのである。
残された時間は少なかった。
「最後にね…会いたかったんだ。凛に…ゴホ!」
少女が血の固まりを吐いたのを凛は見た。
彼女の体である霧島は大きなダメージを負っているに違いなかった。
「もう、いいよ桜!しゃべらないで」
見ていられないと凛は涙を流して言った。
悔しかった。
目の前で友が死のうとしているのに何もできない自分が…
無力が悔しかった。
桜と呼ばれる艦魂の少女は首を横に力無く振った。
「最後だから…凛に会えるのも…私があげた服…大切にしてね…1番のお気に入りなんだから…また、新しい日本で会おうね…凛」
少女の体が崩れ落ちるのを見た瞬間モニターがブラックアウトした。
凛は泣き叫んでモニターを叩いた。
「桜!」
目をあけるとそこは暗闇の世界だった。クーラーがゴオオという音をたてており隣を見ると折り畳まれたベッドがあり主の恭介は帰っていないようだった。
時計を見れば時刻は3時を指していた。
「恭介…」
悪夢を見た夜は必ず彼が近くにいた。
凛は彼を探すため立ち上がった。
恭介の私室兼仕事部屋に入ると明かりが凛の目に飛び込み凛は目をしかめた。
入るとそこにいたのはテレビの前に座りテレビゲームをしている2人の艦魂。
「おう!凛じゃないか!邪魔してるぜ」
ゲームから目を離して言ったのは戦艦『棒名』の艦魂『翡翠』(ひすい)である。
「私もお邪魔してるよ凛」
同じくコントローラーを握っているのは昭和の世界の戦艦『霧島』の艦魂『刹那』だった。
2人がやっているのは今、艦魂達の間で大人気ゲームPS4の戦略ゲームである。
第二次世界大戦が舞台のゲームなので自分達の名前が出てくることもあってか艦魂達がはまっているゲームなのだ。
「くそう…まずいぜこれは」
「ふふ、ハワイを攻略した以上、後は本土に攻め込めば私の勝利だねお姉ちゃん」
どうやら2人がプレイしている国は刹那が日本、翡翠はアメリカをプレイしているようだった。
「敵国相手じゃやる気でねえよ」
と乱暴な声で翡翠は言った。
確かに愛着ある日本と敵国ではやる気が違うだろう。
「だってお姉ちゃんがじゃんけんで負けたんじゃない、しかも三回勝負で」
「くそう…」
文句を言いながらも負けるのが大嫌いな翡翠は必死にプレイしているのだろう。
ちなみにこのゲーム、刹那の対戦成績は無敗で凛や持ち主である恭介ですら敵わない実力を持っているのである。
「お姉ちゃんの番だよ」
そういいながら刹那は立ち上がった。
「逃げるのかよ!」
翡翠が睨むように妹を見たが刹那は首を横に振り
「だってお姉ちゃんの番長いし…少し凛と話しをするだけだよ」
「くそ!必ず逆転してやるからな!」
そういいながら翡翠は考えこむように画面を凝視し始めた。考える時間が長いのだ翡翠は
「座るけどいい凛?」
「うん」
凛と刹那は部屋の中央に置かれているソファーに座った。
「何か食べる?」
凛が言うが刹那は首を横に振った。
「んん…いいよ、こんな時間に食べたら太るし」
「俺は食うぜ!」
翡翠が手を挙げたので凛は冷蔵庫から烏龍茶とポッキーを出して翡翠に渡すと翡翠はポッキーをタバコのように加えると再び画面を見て腕を組んだ。
「凛?何かあったの?」
刹那が不思議そうに言った。
いつもの凛らしくないと刹那は首をかしげる。
本来なら翡翠に限らず自分のものを何か食べると言われれば真っ先に私の分がなくなるでしょと文句を言うのだ。
なぜか自分に対する態度が優しいと刹那は思うこともあるのだが…
「それにその目」
「あ…」
凛が目に手をおくと涙の後が残っていた。
慌てて拭う。
「な、なんでもないわよ…」
「でも…」
心配そうに刹那は凛を見ている。
同じだなと凛は思った。
未来の霧島の艦魂である桜も同じように自分を心配してくれていた。
明達や恭介がいない時、孤独を感じていた時、声をかけてくれたのは桜だった。
でも、彼女はもうどこにもいない…
「なんでも…ない」
目に涙が浮かぶのが凛自身分かった。
夜の闇の中こんなことは何度もありそのたびに凛は泣いた。
親友を想い…
そして目の前の少女は親友と同じ顔をしている…
それが自分の過去の傷をえぐる。
「り、凛どうしたの?なんで泣くの?」
刹那は立ち上がるとおたおたと助けを求めるように翡翠を見た。
翡翠もこちらを見てぎょっとした顔で2人を見ている。
「おい、刹那お前何したんだ」
「わ、私は何も…」
そう、彼女は悪くない。悪くないのに…
「帰って…」
「え?」
刹那が聞き返した。涙を必死に堪えて凛は絞るような声で
「帰ってよ!」
怒鳴った。
刹那の顔を見ていたらどうにかなりそうだった。
こんな悪夢をみた直後は…
「り、凛?私何かした?あ!夜中に来たことを怒ってるの?ごめん、謝るから」
「帰れって言ってるのよ!」
凛はソファーのクッションを持つと刹那に投げ付けた。
「あ!」
ばふと刹那の顔をクッションが当たった。
傷つける力はないものだが刹那はショックだったようで固まった。
「おい!俺の妹に何を!」
翡翠がコントローラーを投げ捨てて凛につかみ掛かろうとした。
それを刹那は慌てて翡翠にしがみついてとめる。
「やめて!お姉ちゃん!」
「でもこいつが…」
「夜中に来た私達が非常識なんだよ!ね!だから、今日は帰ろ」
翡翠はまだ、凛になにかいいたそうだがうつめいて目に涙を浮かべている凛を見てから次に必死にとめる妹を見て
「しょうがねぇな…」
翡翠は光の粒子となりその場から転移して消えた。
「…」
凛は何も言わない
「あの凛…ごめんね、何が悪いのかわからないけど本当に謝るから」
「帰って…」
凛は小さな声で言った。
「う、うん…」
刹那は悲しそうな表情を浮かべて自分の船に転移して消えた。
凛は誰もいなくなり静かになった部屋のソファーに座り込むと首にかけていた星型のペンダントを取り出して蓋を開けた。
中はロケットになっており写真が入っていた。
未来の艦魂達と取った集合写真…その中には桜もいた。
ペンダントからオルゴール風の曲が流れ始める。
悲しいメロディーのその曲は買った店のオリジナルという『星の子守歌』という曲だった。
楽しかったあの頃が凛の中で膨れ上がる。
そして同時に自分に嫌悪する。
「最低だ…私」
誰も帰らない部屋で凛は一人で泣いていた。
作者「いえーい!やっほーい」
凛「気持ち悪いんだけど」
エリーゼ「同感です」
作者「いや、だって今日ここにものすごい人が来るんですよ」
撫子「あらあら、超ビッグゲストですものね。今日来る方は」
明「艦魂年代史 〜ドキ☆恋する乙女は大艦巨砲主義〜のあの大和さんね」
クレア「それで皆を…迎えの準備は出来てるの?」
作者「もちろんです!パーティーの準備も出来てます。ささ、皆さんクラッカーを持って持って、ああ!まだかな?まだこないのかな?」
鈴「まあ、こいつ艦魂同盟(仮)の中で1番乗りという無謀な選択をしたからな。力もないくせに愚かな…」
作者「ひどい!向こうの艦魂達はほめとくださったのに」
凛「馬鹿ね。黒鉄先生のような艦魂を広げた偉大な先生と共同企画が出来るだけでもありがたいのに部をわきまえなさい」
作者「ひどい…グス」
鈴「しゃきっとしろ!大和殿が来たらどうする!」
作者「は、はい!でも大和様遅いなぁ」弥生「今、電話したんだけど大和さんが乗ってる時空船が難破したって」
作者「な、なんですと!大和様は?」」弥生「時空の狭間に…」
鈴「よし!全艦出撃だ!大和殿を助けるのだ!」
作者「大変だ!我に続けえ!連合艦隊出撃だ」
全艦魂「おお!」
シーン
コンコン
ガチャリ
大和「失礼します。あれ?誰もいないです」
紀伊の艦魂達は出撃!ニアミスという失敗をする。紀伊の後書きよ!終わるのか次回を待て!