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第62話 ハワイの艦魂達その2−嵐の後に


時はハワイ攻略がなった次の日の明け方のことだった。


まだ、所々に戦火の後が残り、真珠湾に沈んだアメリカの空母や戦艦の残骸を撤去していた頃のこと…

日本の艦魂達の騒ぎようはすさまじいものだった。


遠慮なんてない…

会場となった紀伊の2つの場所、日向 恭介の部屋、会議室だがそれはもう大変な騒ぎだった。

なぜ2つに別れたのかと言えば若い考えの艦魂達は恭介の部屋のテレビゲームが目的であった。


逆に古参の艦魂達は会議室で宴会だったのだがどちらかと言えば会議室の人口は少なかった。


まあ、宴会の内容はいずれ外伝で書こう。

ともかく明け方のこの時間、各部屋では艦魂達が皆死んでいた。

というより騒ぎすぎて力尽きていたと言える。

少しだけ語るなら恭介の部屋を除くとまず、つけっぱなしのテレビにはボードゲームのゲームでもしてたのかランキングのようなものが表示され上から霧島、桜、飛龍、紀伊武蔵となっておりテレビの前には力尽きたのか画面の名前の艦魂達がコントローラーを片手に床に倒れて寝息を立てている。


ソファーの上も悲惨だった。

空のペットボトルがそこかしらに散らばり重なるようにして駆逐艦の艦魂達が眠っている。


なぜか机の上でいびきをかいているのは棒名の艦魂『翡翠』だ。

片手に空の一升瓶があることから飲み干したのかもしれなかった。


床を見ても悲惨だった。

駆逐艦の艦魂達もいれば潜水艦の艦魂までいた。

なぜこんなことになったのかはまあ、外伝でいずれ語ろう…



ザザアンという海の音が聞こえる。

空気は日本では12月だというのに熱いほどだった。

長門の艦魂 鈴は紀伊の46センチ速射砲に背を預けながらもう大分沈んでしまったが月を見ながら酒を楽しんでいた。


先程まで会議室で仲間と飲んでいたのだが鈴以外はほとんどが潰れて眠っている。

今日は無礼講だといった手前別に怒るわけではなく鈴はこうして一人で月見酒を楽しんでいたいたのだ。


そこへ…


「一人酒とは寂しいんじゃないのか?」

鈴が声のした方を見る。


「炎樹殿か…」


そこには一升瓶とコップを持った現存する中で1番古い三笠の艦魂 炎樹がいて鈴の横に来ると砲を背に座り込んだ。


「飲むか?」


「いただきます」


トクトクと炎樹に酒をコップにいれ自分の分も酒をいれると二人は乾杯した。


「改めてハワイ攻略おめでとう」


「ありがとうございます」


ふと鈴は思った。

そういえば炎樹は宴会にいなかったなと、それを聞くと


「何、一足早くハワイ見物をしてきた、。捕虜になったニミッツという男も見てきたぞ?奴は艦魂が見えかけているな?」


「というと?」


見えかけてるとは妙な言い方だと鈴は思ったが…


「私の気配を感じた。あれはきっかけがあれば見えるかもしれん」


そういいながら炎樹は酒を飲んだ。

艦魂が見えるか見えないかの境界線は定かではない。

艦を愛しているとかいうのが条件の一つと言われているがそれさえ正解なのかは分からない。



「そうですか…」


鈴は水平線を見つめた。

少し明るくなりかけている。


「あいつらのことを考えてるのか?」


「考えてないと言えば嘘になります…」

あいつらとは第一次ミッドウェー海戦で沈んだ初代蒼龍、飛龍、赤城、加賀の艦魂達のことだった。彼等とここに来たかったと鈴は思うのだ。


「死者は帰ってこんよ。生まれるものはあってもな」


炎樹は月を目に写しながらいった。

その目には悲しみを伺えた。

炎樹は知っている。友や部下が戦争でいきなりいなくなるあの悲しみを…

バルチック艦隊との戦いの記憶は今でも炎樹の頭の中に焼き付いているのだ。



「そうかもしれません…祖国のために散る。それが我々艦魂の存在意義なのですから…」


「相変わらず固いなお前は、未来を見てもそれをいうか?」

艦魂達は未来を知っている。史実では太平洋戦争は日本は無条件降伏で終わり2042年に生き残っていたのは三笠だけという事実…

そして、本当なら霧島や比叡などの艦魂はこの時期は戦死しているという。


未来は変わった。

そう言われてもピンとこないのも仕方のないことだった。



「そうですね…私は古い考えの艦魂ですから…陸奥の…妹のように凛達とは打ち解けられない」


鈴は寂しそうに言った。


「なら変わればいい、古い考えを捨てて新しい考えを採用し進歩する。あの映画でも言ってただろう?進歩のないものは決して勝たないと」


「男たち…大和ですね」


「そうそうそれだ!今こそ進歩を見せる時だ鈴」


「…」


鈴は明るくなってきた空を見上げた。


「努力してみますよ」


「それでこそ…」


「あれぇ?お姉ちゃん?と炎樹さんだぁ」


炎樹と鈴の話はなんだか酔っ払いの声に邪魔されたようだ。誰だと2人が声のした方を見ると


「さ、鞘!貴様なんて恰好で…」


鈴はびっくしして言った。

ふらふらと歩いて来るのは鈴の妹である陸奥の艦魂 鞘だった。

夏用の軍服のボタンは全開で今にも見えそうだった。

だが、本人は気づいていないのかわざとなのか気にした様子はないというか酔っ払ってるのだが…



「お姉ちゃんの方が…ヒック、はひたないれす(はしたないです)」


「はぁ?なぜ私がはしたないんだ?」


訳がわからず鈴が聞く


「キャハハハ、分からにゃいんだ〜」


「お、おい鞘…大丈夫か?ろれつが…というより性格変わってるぞ貴様…」


炎樹が呆れて言った。

無礼講と言った手前今日は怒れないのだ。


「お姉ちゃんとえんちゅとのが…ヒック…ラブラブだってことれすよ…」


「ラブラブ?」


2人は顔を見合わせた。


「凛の…ヒック…部屋にあったんですぅ…愛し合うとラブラブといわれるんれす…ヒック」


駄目だこの女と鈴と炎樹は思った。

敵国語を話すのはまあ、今更咎めないが性格が変わるほど飲むとは一体若い艦魂の集まりはどんな惨状に…考えるだけでも恐ろしい…

だが、さすがに妹をこのままにしておく訳にはいかない…


「おい鞘、帰るぞ」

鈴が転移しようと鞘に触れようとした。が、するりと鞘は鈴の手から逃れ…


「やーや…まだ、かえやない…鉄鋼弾パーンチ」


その瞬間を炎樹は後にこう語った。


見えなかったと


ドゴオ


「がは…」


ものすごい早さで鈴の頭に鞘の張り手が叩き込まれた。

威力もあり鈴は吹っ飛ばされて…


ゴオオオオオオオン

と凄い音をたてて46センチ速射砲に顔から激突しバタアアアンと倒れて気絶してしまった。


鞘はそれを見ながらケタケタ笑いながら

「キャハハハお姉ちゃん間抜けぇ…あ」

そして、その鈴の体に鞘は足を引っかけくるりと回転して後頭部をおもいっきり46センチ速射砲に激突させ鈴と重なるように気絶してしまった。


後に残されたのは酒を手に持ちア然としている最古の艦魂のみ…

彼女は口元を緩めると再び座り込んで太陽が現れた空を見つつつぶやいた。


「こんな馬鹿なことが続けばいいのだがな…」




ちなみに次の日、鞘は前日の記憶がなく鈴も炎樹と話をしていた所までは覚えていたがそれ以降の記憶がないと炎樹に訪ねると炎樹は笑いながらこう答えた。


「楽しかったよ」





鞘「うう…頭が痛いよお姉ちゃん…」


鈴「酒の飲み過ぎだ鞘、私もなぜか途中から記憶がないが…」


炎樹「平和だねぇ」


作者「さて、更新が少し遅れましたが最新話いかがでしたか?現在艦隊編成のリストを作ってるので少し更新が遅くなりがちになるのでご了承ください。完結はさせます!この命に代えても…」



撫子「ご意見・感想お待ちしております。」


凛「後、皆がおくってくれた空母の名前だけど大体は採用するって作者が言ってるわ。それで改大和の名前は直前まで出さないって」


星菜「つまり寸止め…」




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