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第60話 イギリス遠征終了す


カイザーは沈んだ。


だが、イギリス軍とアメリカの被害は甚大なものだった。

被害は次の通りである。


イギリス


戦艦 2隻 沈没

1隻 中破


空母 1隻 中破


輸送船 198隻 沈没


イギリスの場合失われた兵の命が多い。たった、一度の攻撃で17万人が戦死または重軽傷をおった。


一方ランカスターの機動部隊も被害は大きかった。




戦艦 4隻 沈没


3隻 中破

無事な戦艦は一隻もなかった。



空母 1隻 沈没


駆逐艦などに被害なし。



戦術的には勝っても戦略的には大敗北だったと言ってもいい。

拿捕直前だったといえ自爆されれば何も得られないからでもある。




冬花は事前に飛ばした烈風がハワイから戻って来るのを確認して報告を聞いた。

その結果冬花はアイゼンハワーと会う必要がなくなった。日本とアメリカの間に3日だけの期間限定ではあるが休戦が成立したのである。


理由はイギリスの陥落であり日本艦隊がイギリスを護衛してアメリカにやってきたのに攻撃すればなんとも後味が悪い。

従って日米両国は3日の間は作戦行動や攻撃をしないという約束を交わした。


その3日は三笠と尾張が離脱する時間である。

イギリスの護衛はアメリカが引き継ぐことになるのだった。

しかし、一気に休戦とはいかないのは日本にとって残念だった。

神の炎をアメリカ叩き込む必要性がさらにましたことになる。




「世話になった」

チャーチルは空母『ホーネット』へ向かう前に見送りに後部飛行甲板に来ていた藤森に握手を求めた。

藤森は握手に応じながら英語で

「いえ、総理閣下、我々の力が及ばなかったためイギリスの将兵を多く死なせてしまいました。申し訳ありません」

「いや、とんでもない。君達がいてくれたから我々は助かったのだ。それとすまない…日本との休戦は…」


チャーチルは力無く言った。

チャーチルはルーズベルトに脅されたのだ。

日本と休戦するならアメリカはイギリス奪還は一切協力しないと…


これは脅し以外何物でもないがチャーチルはこれを飲んだ。

藤森としても正しいと思う。

アメリカの物量がなければドイツは倒せない。

ドイツを屈服させるには東西南北全てのルートから侵攻しなければならない。

そのためアメリカの物量は必要だった。日本は地理的な問題もあり、せいぜいどこかのルートを維持するのが精一杯だと山本長官も話したらしい。



「いえ、閣下必ず私達と閣下は手を取り合う日が来ます。それまでお元気で」


藤森は敬礼した。


チャーチルもうむと敬礼すると小声で

「私が言うと問題があるのだが…負けないでくれとミスター山本に伝えてもらえるかな?」


藤森は頷いた。


「喜んで」






チャーチルがヘリコプターでホーネットへ移った後、艦橋に戻る途中炎樹に出会った。



声をかけようとしたが彼女の視線が気になりそちらを見るとホーネットの甲板からこちらをみながら敬礼している艦魂の少女がいた。

クレアである。


このイギリス遠征は得るものは大きかった。

少なくてもイギリスの日本に対する評価は変わるだろうしアメリカの世論も休戦に傾くかもしれない。

それに何よりクレアと言う艦魂の友を明と炎樹がもったことがうれしかった。


彼女達はきっと日米の艦魂の掛橋となると藤森は信じている。



ホーネットが三笠から離れ始める。

大西洋艦隊に合流するためだ。

次第に遠ざかっていくホーネットを見ながら藤森もクレアに向けて敬礼した。


クレアも気づいたようで一瞬戸惑った表情を浮かべたがすぐに微笑んで藤森にも敬礼してくれた。


そして、クレアが見えなくなる頃、藤森は艦橋にいた。


「さあ、ハワイへ行くわよ。尾張にも最大戦速でついてくるように言って」


「了解!」


1943年1月18日、大西洋における三笠と尾張の戦いが一時とはいえ終わった瞬間だった。


余談だが2隻の戦艦はパナマを通らず南米周りでハワイまでわずか3日で到着してアメリカを驚かしチャーチルはさらに遅れること一週間後無事にオーストラリアへでイギリスを復活させた。

本家が入ってくるのをオーストラリアは嫌がったがオーストラリアは大英連邦の一員なので文句は言えなかった。

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