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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
プロローグ―変わりゆく太平洋戦争
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第5話 託された希望

「日本が…滅ぶ?」

日向が語ったその言葉に4人は絶句していた。

小西ともう1人の兵士も驚愕の表情を浮かべていた。

「詳しく聞かせてくれないかね?」

山本が言う。

日向はうなずくと

「はい。それにはまず、未来のことを少し話さなければ

なりません。戦後、この太平洋戦争が終わった後に日本には自衛隊と組織が生まれます」

「自衛隊?」

黒島が聞き返した。

「他国を侵略しないという憲法9条に基づき自衛のためだけの軍隊です。保有する戦力は強大なものではありましたが空母など他国を攻撃するためのものはありません」

と、古賀が言った。

「軍隊が国を守るのは当たり前ではないか」

黒島がいうが山本が手で制した。

「続きを聞かせてくれ」

「はい、2032年までは日本はどことも戦争をすることもなく平和だったのです。

周辺諸国、朝鮮半島には北に北朝鮮、南に韓国と呼ばれる国があり中国は共産党の

支配する国でした。ソ連があった場所はソ連が崩壊しロシアに戻り日本は領土問題を

抱えつつも周辺諸国と戦争をすることなく90年近い平和を謳歌していたのです」

カチカチとパソコンをさわり古賀が世界地図を山本と黒島に見せ2人は未来の世界地図を興味深そうに見た。

「結構なことではないか」

長き平和を謳歌したと聞き黒島は言った。

「ところがそうではないのです。日本は尖閣諸島を中国と台湾、竹島を韓国に

北方領土…択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の4島のことですがそこはロシア連邦に

それぞれ自国の領土だと言って占拠、あるいは要求されていました。

唯一、尖閣諸島だけは日本が実行支配していましたが領海に入ってきた台湾の船すら

撃沈を許されないという状態でした」

「なぜかね?」

黒島は首をかしげた。

「そこはわが国の領海なのだろう?撃沈すればいいではないか?」

「当時2008年頃の話になるのですが台湾の漁船が尖閣諸島の日本領海で日本の軍艦と衝突して沈没するという事件がありました。当時の台湾政府はそれに対して激怒し武力行使もありうると日本に謝罪を要求したのです」

「無論突っぱねたのだろう?」

黒島は当然だとばかりに言った。

「いえ、日本の対応は情けないことに台湾に謝罪しました。責任者を処罰したのです」

「なんとけしからん!」

黒島は情けないと怒った。

日向はうなずき

「ええ、私も生まれる前の話ですがその資料を読んだ時はそう思いました。

しかし、それほどまでに当時の日本は他国との戦争を避けようとしていたことが伺えます」

「それで?」

山本が続きを促した。

「北方領土はロシア連邦に粘り強く日本は返還を要求しましたがついに戻ってくることはありませんでした。次に竹島ですがこの島は韓国が実効支配している状態で警備部隊が

常駐していました。日本は国際海洋法裁判所で決着をつけようと韓国に何度も打診

したのですが韓国はうなずかずひたすらに韓国の名前で独島はわが国のものだといって

裁判所にでることはありませんでした」

「国際海洋法裁判所とはなんだね?」

黒島が聞いた。

「簡単に言いますと海で起こった国際紛争を解決する国際組織です。法的な

力はありませんが…」

つまり、まとめるとこういうことだ。

日本は自国の領土と主張する場所を他国に武力で脅されて言うことを聞かされている。

言うこと聞かないなら武力を使うぞと言われると国力の劣る国にすら頭を下げているのである。

子供の喧嘩よりもたちが悪い。

これは大人が子供に土下座しているのと代わらない。

「情けない…わが国もそこまで落ちるのか…」

と黒島は大げさに嘆いて見せた。

「日本連合艦隊が再編されることはなかったのかね?」

今度は山本が聞いた。

「それはこれから話しますが2032年突如中国が尖閣諸島に侵攻してきたのです。

日本は直ちに防衛体制に入りました。同時に日米安保条約というアメリカとの同盟

に従いアメリカ軍にも出撃を要請しました。ところが信じられないことにアメリカ軍は

動きませんでした。尖閣諸島問題はアメリカは関与せずという内容を日本に通達してきました。日本政府は慌てましたが尖閣諸島を渡すわけにはいかず自衛隊と中国軍は

尖閣諸島を部隊に激突し第2次日中戦争が勃発したのです」

黒島と山本は真剣にそれを聞いている。

「まず、激突したのは空軍でした。日本のジェット戦闘機F22ラプターと中国の

ジェット戦闘機洛陽、世界最初の第5世代戦闘機同士の激突でした。

ラプターは洛陽に性能は勝っていましたが中国は数千にも及ぶ洛陽でラプターを圧倒しました。日本のラプターは当時700機にも満たないのだから勝負になりません。

それと同時に海上でも戦端は開かれました。両者のイージス艦…誘導ロケット弾を多数の敵に当てることのできるシステムをつんだ艦同士に戦いが始まりました。

ですがこれも中国の質量攻撃の前に日本の海上自衛隊は壊滅しました。

空、海が壊滅したことにより日本は戦う力を失いました。

そして、中国に降伏したのです」

「馬鹿な!」

ダンと黒島が机を叩いた。

「残念ながら事実です。日本本土の戦いはありませんでしたが当時の政府は

降伏してしまったのです。多少なりとも戦う力が残っていたのにもかかわらず…」

「…」

山本は黙って睨むように日向を見ている。

「中国は尖閣諸島、沖縄を日本から降伏の条件として取り戦争は終わりました。

賠償金はありませんでした。

しかし、この事実に怒り狂ったのは国民でした。度重なる政府の弱腰とアメリカの対応に対してです。そして、怒り狂った国民は国会議事堂に押し寄せ、慌てた当時の与党は解散総選挙を行い次に与党となった民自党は憲法9条の破棄と安保理条約の破棄を国民に問うたのです。結果はいうまでもなく圧倒的多数で支持され国会で9条の破棄と安保理条約は破棄されアメリカ軍は日本から追い出されました。

そして、日本は自衛隊を再編し名も日本軍へと戻しました。さらに核兵器の開発と並行して昭和に見直された計画、『八八艦隊計画』を再び立ち上げたのです。

日本の金持ちの力をフルに使った大艦隊計画です。

そして、日本連合艦隊の再編は始まりました」

カチカチとパソコンをいじりながらその当時のニュースなどを山本と黒島に見せながら

日向は言った。

「しかし、無論アメリカが黙っているはずがありません。核兵器の開発をやめるように

日本にアメリカと国連は散々に言い続けました。

しかし、科学レベルの高い日本はあっという間に原爆、さらに水爆を完成させました。

ここまで来てしまうとアメリカもうかつに軍を出せません。そして、日本は『八八艦隊計画』で提案された新艦のイージス原子力戦艦1号艦『金剛』を就航させます。同時に原子力空母を始めとした船を次々に就航させていきました」

「すごいことじゃないか」

黒島は先ほどから打って変わり明るい声で言った。

「ええ、しかし、『八八艦隊計画』は表の計画でしかありませんでした」

「と、言うと?」

黒島が訪ねる。

「裏で『クロノロード』計画を日本は進めていたのです。ある発明家が開発に成功したタイムマシンを使った計画です。しかし、これには難点があり調整が難しいもので

おまけに丁度100年前の過去にしか飛べないという欠陥品でした。無論タイムマシンの

開発は極秘です。このクロノロード計画は昭和の太平洋戦争が始まる前に飛び日本を

勝利に導くという計画でした。そのため、表向きは『八八艦隊計画』で作られた

イージス戦艦『紀伊』『尾張』『三笠』と多数の未来の技術と技術者を積んだ輸送船を

過去へ送る計画は実行に移されました。

しかし、直前に機械の欠陥が見つかりその改装のため数ヶ月遅れることなったのです。

それでその遅れた期間を使い日本は新たに計画に空母を加えることにしたのです。

日本が独自に開発を進めていたジェット戦闘機『心神』のデーターを下にして開発されたステルス戦闘機『神雷』を始めとする攻撃機『風神』などを搭載した空母『蒼龍』『飛龍』『赤城』『加賀』を戦列に加えることになりました。

しかし、これがいけませんでした。この計画がアメリカにばれたのです」

ごくっと誰かが唾を飲んだ。

「正確に言えばばれたのは国際社会が禁止している核パルスエンジンの使用です。

これによりアメリカを始めとする常任理事国が決定権を持つ国連が日本に攻め込んできたのです。

しかし、日本は計画を急ぎました『紀伊』は最後にこの世界に飛んだのですが

最後の情報を聞いた限り東京、大阪、名古屋、神戸、その他日本のほぼ全てに水爆が

使われたという情報が入ったのです。総理は我々に日本を頼むという通信を最後に連絡を途絶えさせ我々がいた北海道の各地にもミサイルが接近しているという報告を聞き我々はこの世界へと飛んだのです。おそらく日本は…」

話は終わった。

誰もが無言で様々なことを考えていたが山本は

「よく分かった。日本を亡国にしないために協力を頼みたい。東条総理に君達を紹介

しよう」

「ありがとございます」

日向も山本の手を握り返した。

 ピーピー

「ん?」

その時日向の胸元から音が鳴った。

「失礼」

と、山本の手を離してポケットからインカム型の通信機を取り出して耳につける。

「どうした?」

「長官!アメリカ艦隊がこちらに向かっているようです。すぐにお戻りください。

向こうがこちらを捉えるのも時間の問題です」

それを聞き日向は口元を緩めた。



ご意見・感想お待ちしております。

ついにPVアクセス数が2900を越えてユニークアクセスも1200を越えました。連載からわずか2日ですが作者自身、今回の山本長官ではありませんが驚愕しております。


感想や意見は心のそこからお待ちしておりますのでぜひ

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