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第54話 不信感

飛龍




満載排水量 10万トン




全長 400メートル(飛行甲板を含む)





最大速力 53ノット




機関 原子炉改




搭載機数 330機(満載)





武装


20ミリバルカンファランクス 複数



ミサイルランチャー6基




特殊装備


簡易イージスシステム、リニアカタパルト


搭載機 神雷 雷神 ヘリコプター




補足


蒼龍級空母の2番艦。性能は蒼龍と変わりなし。



艦長は霧生 啄磨


艦魂は弥生


ロンドンは今、まさに落ちようとしていた。


市街で激しく抵抗していたイギリス兵達もそのほとんどは戦死するか捕虜になった。

ドイツ軍のイギリス侵攻の機甲師団を指揮していたのはドイツの戦車の育ての父と呼ばれていて戦後も名将として名高いハインツ・グデーリアン上級大将であった。


史実ではモスクワ侵攻の失敗を問われて一時、罷免された後に再び復帰という人生を歩んでいるが名将たる彼の指揮をここまで防いだイギリスの指揮官にハインツは会ってみたいと思っていた。

敬意すら抱いていたのである。

ドイツ軍は地下司令室のある建物を包囲すると英語で降伏勧告を行った。

「素直に降伏してくれれは、いいが…」

ハインツは戦車の上で言った。

もはや、ロンドンにいるイギリス軍に反抗する力はほとんどない。

そのため指揮官のハインツも地下司令室のある建物を包囲する部隊にいるのだった。

空は完全にメッサーシュミットが抑えており、敵航空戦力はもはやいない。

「返答なき場合は攻撃を再開します」

兵が言った。

「待て!私の許可があるまで攻撃は許さん」

「しかし、フレドリク準総統の命令は素直に降伏しないものに情けをかける必要は…」

「黙れ!」

こいつもかとハインツは思った。

あのヒトラーもそうだがフレドリクが現れてからというものドイツは変わってしまった。

逆らうものは殺せ、捕虜にする必要もないというのがドイツ軍に染み込んでいる。

ハインツは思う。

戦って降伏を勧告するのは当然のことだと思うのだ。

説得を捨てれば殺すしかない。

それでは世界はドイツを恨む…

それに死を覚悟して防戦した敵をハインツは助けたいと思うのだ。




外から聞こえてくるドイツ軍による英語での降伏勧告。

今、この地下司令室には10人の兵と陸軍長官がいた。

すでに負けは確定したが皆、満足そうな顔をしていた。

十倍以上のドイツ軍相手に三日も粘ったのだ。

イギリス軍は脱出しただろう。

我々の勝利だ。

「諸君、ご苦労だった」

陸軍長官は兵士達に言った。

「我々の役目はここまでだ。生き恥をさらそうじゃないか」

「長官…残念です」一人の兵が言った。その肩をぽんと陸軍長官は叩く。

「後は、総理閣下と連合軍がなんとかしてくれる。私も総理閣下とティーを楽しむ約束があるからな。すまないが皆も生き恥をさらしてくれ。そして、必ず生き残ろう。総理とのティーパーティーには君達も参加出来るように頼んでみる。だから死ぬなよ」

「はい…」

兵の一人が涙を流した。

「堂々としようじゃないか。我々は明日への希望を繋いだのだ。これは勝利と変わらない」

「お供いたします」兵が即席の白旗を持った。

「よし!では、ドイツ軍に見せようじゃないか我々の勇姿を」

兵達は皆敬礼した。陸軍長官も敬礼を返した。

「戻ろう。必ず祖国へ」

陸軍長官は笑顔で言うのだった。






「司令、降伏勧告を受け入れません。我が兵達はいらだっています。敵司令室に火炎放射を浴びせましょう」

「…」

ハインツは出てきてくれと願いながら建物を見ていたが長く時間がかかるなら攻撃もやむ終えないという結果になる。

敵は最後まで戦い死を選ぶ道をとるのか…

それなら…

「やむ終えまい…」

ハインツは残念に思い命を下そうとした。

「突入の…いや!待て!」

ハインツは慌てて命令を打ち消した。

中から白旗を持った男達が出てきたのだ。

皆、顔はすすで真っ黒だったが先頭に立ちこちらに歩いてくるのが敵の指揮官だ。

ハインツは戦車から降りると集団に向けて歩きだした。

「司令!危険です」

後ろから兵が怒鳴った。

「馬鹿者!勇者には敬意を払うものだ」

陸軍長官と向かい合いハインツは言った。

「降伏するのだな?」

陸軍長官は満足そうな笑顔でイエスと答えた。

「よし、ではこちらに…」


パアアアアン


その時乾いた音が空に響いた。

陸軍長官が崩れ落ちる。

「長官!貴様らぁ!」

イギリス兵が銃を抜いてハインツに発砲しようとした。

すかさず後ろからドイツ兵がそのイギリス兵を射殺する。

そして、他のイギリス兵もドイツ兵に殺されていく。

「やめろ!やめないか!」

ハインツは怒鳴ったが遅かった。

彼の周りには血の海と10人のイギリス兵が死体となり転がっていた。

「なんということを…誰が撃った!」

ハインツが怒鳴ると一人の兵士が進み出た。

「貴様か!」

ハインツは兵に詰め寄ると殴り倒した。

「うっ」

ドイツ兵が崩れ落ちる。

さらにハインツは兵の胸倉を掴み、自分に引き寄せた。

「なぜだ!なぜ撃った!答えないか!」

「フレドリク準総統の命令です。敵に情けをかけるなと私は教えられました」

ハインツはその兵を突き飛ばすと周りの部下達を睨んだ。

「貴様らもその糞考えか!」

「…」

無言は肯定を指す。

ハインツは信じられない気持ちだった。

降伏する兵を撃つとは…

ハインツは倒れたドイツ兵を指すと

「こいつを連れていけ!軍法会議にかけてやるからな!」

さすがにそのドイツ兵も青い顔になったがハインツは情けをかけるきはなかった。

そして、倒せたイギリス兵の方を見てみるとわずかに動いたものがいた。

「!?」

ハインツは慌てて走りよると人物を確認した。

イギリスの陸軍長官だった。

ハインツは軍服が汚れるのも構わずに血の海に膝を落として怒鳴った。

「衛生兵!」

衛生兵が走ってくる。

だが、ハインツが見る限り胸から血がだくだくと溢れ出しており助からないことは明白だった。

だが、それでもハインツは助けたいと思ったのである。

「しっかりするんだ!」

すると、陸軍長官は震える手でハインツの軍服を掴んだ。

「…」

「なんだ?なにが言いたい?」

「…て…を…れ」

ゴフっと血の固まりを彼は吐いた。

他の兵は聞こえなかったがハインツにその言葉は聞こえた。

もはや意識が朦朧としてハインツが誰かもわからないのだろう。

彼はこう言った。

「生きて祖国をいつか取り戻してくれ」悲しい言葉だった。彼が言うべきイギリス兵は皆死んでいる。

だがそんなことをどうして言えようか…

「任せておけ」

だから、ハインツは嘘でも言った。

陸軍長官はそれを聞くと微笑むと満足そうに息を引き取った。

衛生兵が死亡をハインツに伝える。

ハインツは立ち上がるとなきがらに向かい敬礼した。


これ以後ハインツのドイツに対する不信感が高まることとなった。

鈴「偉大な勇者に敬礼」


全艦魂「…」


撫子「今回はここまでです。ご意見・感想お待ちしております。名前は引き続き募集中です。なお、グレートブリテンは採用が決定いたしました。ありがとうございます」

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