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第47話 三笠


スコットランド各地の軍港を始めとする港では海岸まで脱出を計る兵達でごったがえすありさまであった。

イギリス軍はもちろんだが亡命したフランス軍もいれて実に60万以上の兵が200以上の輸送船を始めとしてかき集められるだけかき集めた船に乗り込んでいく。だが、脱出は思うように進まず完了まで後3日はかかると推測されていた。

それはロンドンが何日持ちこたえられるかにより捕虜になるか脱出かが分けられる。

もし、今ロンドンが陥落すれば数十万の兵が捕虜か殺されてイギリス軍は二度と立ち直れなくなるだろう。

すでにイギリス艦隊に守られた王家はオーストラリアに向かっている。

たが、チャーチルはまだ、スコットランドにいた。

正確に言えば三笠にいた。

優れた防御設備と通信設備を持つ三笠からチャーチルはロンドンで戦う勇者に鼓舞を送り続けた。

そしてそのロンドンにはアメリカのシューティングスターや日本の烈風が連日戦いに向かっていた。ロンドンは陸軍長官の奮戦で持ちこたえていたのである。






機動戦艦三笠の艦長室で藤森 冬花はパソコンを閉じては〜と息を吐いた。

「いろいろとややこしいことになってるみたいね…」

彼女は今まで椎名と話しておりこれまでの出来事を全て聞いた。

聞いたので…

「アメリカとはまだ、敵なのに共同戦線を張ってドイツと戦う…始めは意味分からなかったわよ」

「それはバタフライ効果よ冬花」

ソファーの方からリンと鈴の音を立てて少女が冬花を見ていた。

「変わりすぎよ。アメリカを休戦に追い込めば私達の役目は終わりだったはずなのに」

「予想外のことは戦いにはつきものってこと」

少女が言った。

「余裕ね…さすがは歴戦の有志である三笠の艦魂ってところ?炎樹」

炎樹はにこりと微笑んだ。

そう、彼女の名は三笠、真名は炎樹(えんじゅ)という艦魂である。

容姿を言うな長い黒い髪の先端を鈴でくくっていた。

「まあ、確かに私は歴戦の有志かな?凛や明よりも遥かに早く目覚めたし」

ちなみに彼女、未来では新型の戦艦が三笠と言う名になると聞いて乗り換えたのである。旧三笠は記念艦として残されていたいたが彼女はそこから機動戦艦三笠へと乗り移ったのだ。

以前冬花は炎樹にそんなことできるのか聞くと炎樹は説明してくれた。

それによるといろいろ制約はあるが同じ名を持つ艦ならば魂を憑依させるのと同じ感覚で移れるらしい。

まあ、冬花にはその感覚は分からないのだが…

そして、旧三笠はと言えば炎樹が三笠に乗り移った瞬間真っ二つに折れて砕けた。

聞くところによれば艦魂がいる船の艦魂が違う船に魂を移したりすればその前の船は砕けてしまうそうだ。

そして炎樹は平八郎が聞いたら腰を抜かすわねと笑っていた。

ちなみに彼女の言う平八郎とは東郷 平八郎のことでどうやら彼には艦魂が見えていたらしかった。

「自分でいうのも何だけど私って結構波瀾万丈の人生だったな〜」

紅茶を飲みながら炎樹は言った。

「まあ、確かに…」冬花は旧三笠の歴史を思い出しながら言った。

「栄光の連合艦隊の旗艦になれたのはよかったけど後は最悪…兵の悪戯で爆沈して大怪我するわ解体されそうになるわ戦争が終わったと思えばアメリカが私の中にバーなんて作るわのあれほうだい…まあ、バーの人間は脅かしまくって楽しんだけど…」

炎樹はふ〜と息を吐いた。

「そういえばニミッツ提督は?この時代ならいるはずよ。どこにいるの?」

あ〜といいながら冬花はニミッツの居場所をパソコンで調べはじめる。

余談だが艦魂と人の形はたくさんあるが冬花と炎樹の場合は友達である。


カチカチとパソコンをいじくり冬花はまずいなと思いながら炎樹を見た。

「どうしたの?」

炎樹が首をかしげた。

冬花は言いにくいが仕方なく

「ニミッツ提督は今日本の捕虜になっててオアフ島にいるみたい」

その時ものすごい勢いで炎樹か立ち上がった。

「ニミッツが!」

やっぱりと冬花は思った。

彼女にとってニミッツは恩人なのだ。

荒れはてていた自分の現状に歎き彼の行動のおかげで三笠は記念艦としての形を取り戻せた。

まあ、砕けてしまったが…

とにかく炎樹はニミッツ提督を心から心酔していた。

「私達はオアフ島に行く?」

行くならぜひニミッツに会いたいと炎樹は言った。

「えっと…でもニミッツ提督って艦魂見えるの?」

冬花が聞くと炎樹はうなずいた。

「当然よ。見えるわ。私は一回しか会えなかったけど」

それも聞いたことがある話しだ。

なんでも炎樹はニミッツに会いたくてはるばるアメリカまで訪ねていったらしい。

そして史実のニミッツは炎樹を見て腰を抜かしたと言う歴史に残らない話しを冬花は聞きその瞬間を思い浮かべて笑ったものだ。

「すごい行動力というかなんというか…」

冬花はあきれつつも微笑んだ。

と、その時

ピーピー

冬花の耳の通信機が鳴った。

「はい?」

それに出ると参謀長の雪村の声がした。「艦長、一応時間ですので連絡をいれさせて貰いましたがどうしますか?そのまま仮眠をとって頂いても結構ですが…」

「え!」

冬花は慌てて時計を見ると少し休憩と定めた時間を越えていた。

炎樹との話しで時間を忘れてしまったらしい。

指揮は今、雪村が代行しているから問題はないがこのまま仮眠は少し気まずい。

「す、すぐに行くから!」

「あ!そんなにいそ…」

通信が切れる。

慌てて冬花は出口に走ろうとしてテーブルに足を引っ掛けて床に転んだ。

当然テーブルの上に置かれていたティーセットは吹っ飛び炎樹にふりかかる。

「痛い!」

「あちちち!」

同時に2人の悲鳴が上がる。

その後、炎樹は当然烈火のごとく怒り冬花はひたすら謝って飛び出して言った。

これは撤退戦の中三笠の一室で行われたたわいもない一幕…

炎樹「どうも!三笠こと炎樹です!」


凛「歴戦の有志の登場ね」


明「ああ!またここが狭くなる!」


星菜「…」

うなずく


撫子「始めまして私は大和です。真名は撫子と申します」


炎樹「撫子…菊水作戦の時最後に会ったきりだけど記憶にあるわけないか…」


撫子「?」


炎樹「なんでもないよ。よろしく撫子」

撫子「はい」


炎樹「凛と明と星菜もまた、よろしく!私の中ではまだ、離れてそんなにたってない感覚なんだけど…」


凛「炎樹が来てくれて心強い」


明「そうね…大先輩なのに敬語もいらないというし」


星菜「優しいし」


炎樹「え?そんな照れるよ3人とも…ああ、そろそろ」


撫子「ご意見」


炎樹「感想」


凛&明&星菜「お待ちしてます」

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