第33話 ハワイ大攻防戦―大空の勇者達
ジェット戦闘機『炎神』は最高速度930キロ出すことが出来るアメリカのシューティングスターを上回るジェット戦闘機であった。
とはいえシューティングスターの最高速度は920キロな訳だから性能的には互角といえた。
炎神はロケット弾を4発取り付けることが出来るが魚雷はつけられない。
爆弾は取り付けられるが今回ミッドウェー航空隊とぶつかった炎神はロケット弾を装備していた。
そして、激突した空の両者の数は
炎神 70機
ミッドウェー航空隊 190機
である。
ミッドウェー航空隊は残るは全てレシプロ機だが数は今のところ炎神を上回っていた。
実のところ以前準備不足と山本が言っていたように炎神の数は多くない。
数を確保できたといったがそれは全てをジェット戦闘機にしたという意味ではなくレシプロ機と並行して使えば数は揃ったという意味なのであった。
従って今ミッドウェー航空隊と戦う空の後方からは零戦を含めたレシプロ機のアメリカ軍から見れば第3波が迫っていた。
炎神とミッドウェー航空隊の戦いは続いていた。
そのうちの1機サンダーボルトで炎神を迎え撃ったクライスはその速度に驚愕していた。
クライスは今日始めてジェット戦闘機と戦ったのである。
「な、なんだこいつは!」
炎神はすれ違いざまにロケット弾を発射してあっという間に後方へと消えると
次の瞬間にはロケット弾が当たった味方機が消し飛ばされる。
どうやら敵のロケット弾は自分達と同じで誘導ロケット弾ではないようだった。
その証拠に回避することが出来る。
だが、炎神との戦いはまるで中世の騎士が行うような戦いだとクライスは思った。
すれ違いざまに攻撃してくるのは中世の西洋の騎士の槍による突撃に似ている。
一撃必殺がその戦法でドッグファイトなど考えてもいないといったところか…
だが、すれ違った今がチャンスなのである。
正直旋回能力この一点を取ればレシプロ機の方が優秀である。
神雷やハリアーといった最新鋭の戦闘機に対しては当てはまらないが
炎神には当てはまる。
そして、クライスは思ったのだ。
あんな高速で飛ぶなら旋回して戻ってくるとき速度が落ちるのではないかと?
そして、それは正しかった。
速度の落ちた炎神が突っ込んでくる。
「食らいやがれ!」
クライスが機銃を発射すると炎神の操縦席が真っ赤に染まり風防も血が飛び散ったのか
真っ赤に染められた。
思わずクライスは指をパチッと鳴らした。
「よっしゃ!ざま見やがれジャップ!」
そして、そのクライスの戦い方はアメリカ軍の兵士達に偶然見られていた。
涙見た敵ジェット戦闘機の攻略法が分かったのである。
初撃をなんとか交わして旋回して速度が落ちたところを叩く。
これがレシプロ機で炎神を攻略する唯一の方法であった。
「敵の弱点が分かったぞ!レイ!ジャップ戦闘機が旋回するところを狙うように全機に
連絡するんだ!」
その戦闘機の後部座席のいた通信士の兵士が無線を叩き始めた。
そして、炎神はばたばたと落とされていく。
炎神の数は少ない…
正確に言えばロケット弾の攻撃を炎神がしているのでミッドウェー航空隊の数も減りつつあったがジェット戦闘機と互角に戦うことの出来る航空隊の士気は上がり逆に
無敵と信じていた炎神はばたばたと落とされていく日本の炎神のパイロット達の士気は
下がった。
「いいぞ!このまま!」
パイロットの1人が言うと同時に後部の兵士が西の空を見て絶句した。
「敵の第3波だ!」
そこへ壊滅しかかっていた戦線に零戦隊がどっと襲い掛かった。
性能的に言えば零戦の性能はサンダーボルトやグラマンには適わない。
だが、その零戦隊は只者ではない。
最強の零戦パイロットとして伝説になっており『最強の零戦パイロット』と謳われる岩本 徹三や『ラウバルの魔王』と言われた西澤 広義含めた後の撃墜王達を集めた
最強部隊だった。
日向達は記録を元に彼らの炎神へのパイロットになることを進めたが彼らは零戦を離れなかった。
その結果が今に当たるのだがその結果はすさまじいものだった。
ばたばたと基地航空隊は叩き落されていき壊滅状態へと陥っていったのである。
撃墜王達は零戦の軽さを生かしたその神業的な操縦テクニックを存分に発揮して見せた。
ハワイ攻防戦の初戦の空の戦いは日本軍が制そうとしていた…
作者「えー…なにやら皆さん忙しそうですので今回は私が…」
撫子「遅れて申し訳ありません作者様」
作者「あ!撫子様!いやいやとんでもない!ささ、予告を」
撫子「はい、ハワイ攻防戦はまだまだ続くそうです。
ご意見・感想…」
作者「ぜひほしいです!」