第32話 ハワイ大攻防戦
1942年12月23日ミッドウェー基地では太平洋艦隊司令長官のチェスター=二ミッツから狂ったように毎日偵察機を飛ばすように言われ続けて正直うんざりしていた。
今日も陸上戦闘機サンダーボルトがドロップタンクを3つつけて偵察任務に多数出ていた。
そのうちの1機のサンダーボルトのパイロットハリー=ボーマン大尉は西側の海域のミッドウェーから600キロの地点を偵察飛行中だった。
お気づきの人もいるかも知れないが彼は様々な空母を渡り歩いており紀伊や尾張といった独立機動艦隊のミサイルに散々な目に合わされているついていない男である。
その撃墜されることのあまりの多さからついに彼はミッドウェー基地に転属させられてしまったのである。
こんな不名誉なことはないとボーマン大尉は思っていた。
「くそ!ジャップめ!」
悪態をつきながら彼は風防の向こうに広がる青い海原を見つめていた。
「ん?」
ボーマン大尉は何か海面の向こうに何かが光ったような気がして目を凝らした。
猛烈に嫌な予感がした彼はモンスター艦隊発見の報告を入れて
風防の外に飛び出した。
直後に彼のサンダーボルトが飛来したミサイルに消し飛ばされた。
そして、彼はパラシュートに揺られながら見るのだった。
水平線の向こうから艦隊がいる。
「やはりジャップ!?」
ボーマン大尉は苦々しく言った。
波立つ海原に艦隊がいた。
そして、その先頭にいるのは…
「モンスター…」
機動戦艦『紀伊』であった。
真珠湾の基地で敵艦隊発見の報を聞いたチェスター=二ミッツはついに来たかと
ぞくりと背筋が凍るような気分になった。
真珠湾基地は12月に入るや否やずっと日本艦隊の侵攻に備えていた。
空母もすぐに出せるようにしてある。
「直ちに艦隊を出すのだ!」
二ミッツの命令を受けて沖合いに停泊していた空母艦隊の1部が動き始める。
この数ヶ月、二ミッツはキング長官やルーズベルト大統領に口がすっぱくなるまで
空母を寄越せ航空機を増やせといい続けてきた。
その結果今、真珠湾には空前絶後の大戦力が揃っている。
空母が140隻、戦艦が10、航空機にいたっては基地戦力だけで2万に迫る勢いである、
これは旧式の戦闘機も含まれておりこの数ヶ月格納庫を増やしたり飛行場を大きくしたりと
した結果ハワイにある基地の面積は膨大に膨れ上がった。
それに空母がこれだけではない。
出来上がれば航空機を満載して次々とハワイにやってくるのだ。
今のアメリカの造船設備は以前の数倍にまで膨れ上がっている。
1週間に1隻の勢いだったのでもすごいのに今は1週間に4隻の空母が出来上がるというすさまじいものだった。
「来るならこいジャップ!」
二ミッツは拳を握り締めていった。
彼は集められるだけの戦力は集めたのだ。
これで負ければもはやこれまで。
二ミッツはこの戦いを背水の陣で挑むつもりだった。
雪辱に燃える男はここにもいた。
ウィリアム=ハルゼーである。
彼は日本艦隊に散々な目に合わされた男であった。
二ミッツが日本のミッドウェー侵攻の際に送る援軍の編成を行っているとき真っ先に
名乗りを上げた。
今ハルゼー率いる艦隊は空母だけでも100隻、航空戦力は7840機である。
それに駆逐艦や重巡などが続く。
戦艦はいないがとてつもない超機動部隊であったのだ。
全てが正規空母というわけではないが数はとんでもない。
ミッドウェー基地は規模が小さいため航空戦力はわずか200だがこの超機動部隊が
到着すれば日本艦隊は壊滅するだろう。
圧倒的な物量で押しつぶしてやるのだ。
ミッドウェーの悪夢をもう1度見せてやるとハルゼーは闘志を燃やすのだった。
ボーマン大尉が見つけた艦隊を指揮しているのは南雲 忠一であった。
彼は原子力空母『蒼龍』で指揮を取りミッドウェーの雪辱戦を果たすのだ。
ちなみにこの南雲 忠一だが彼はこの日のために沖縄で機動部隊の運用法についてみっちりと
しごかれている。
同じ失敗は繰り返さないつもりだった。
「敵偵察機を撃墜しました」
原子力空母『蒼龍』艦長雨宮 葵が言った。
「うむ」
南雲 忠一は言ってちらりと雨宮の方を見た。
どうも女が艦長をしているという状況は落ち着かない。
自分は頭が固く古い考えの持ち主だということは沖縄で思い知らされたが
未だに男だらけの軍隊にずっといた南雲はどちらかといえば男だけの空間の方が落ち着くと
思うのであった。
山本五十六にも出来れば旗艦は他の艦にしてほしいといったのだがそれは適わなかった。
後、数ヶ月たてば信濃や大鳳といった正規空母も出来上がるのだが
今の南雲艦隊には軽空母と輸送船改造空母しかない。
従って強力な戦闘能力を持つ『蒼龍』が旗艦に選ばれたわけだが…
「発見された以上ぐずぐずしてはいられない攻撃隊を出そう。『神雷』、『雷神』を出したまえ、『炎神』の出撃準備も忘れないようにその後輸形陣を取るように各艦に伝達せよ」
南雲が言うと雨宮が命令を出した。
「雷神、神雷は準備が出来次第発艦!各艦には輸形陣を取るように命令を」
もはや発見された以上無線封鎖はいらない。
各通信機が一斉に作動して命令が伝達され行動に移されていく。
「長官!南雲艦隊が攻撃準備に入りました」
機動戦艦『紀伊』の艦橋で日向はうなずいた。
「よし!俺たちは予定通りに行くぞ!最大戦速で南に進路を取れ!」
「了解!最大戦速!」
グググと紀伊が加速して南雲艦隊から離脱するとあっという間に水平線の彼方に消えていった。
ミッドウェー航空隊は200機の航空機を全て出撃させた。
サンダーボルトを始めとした最新鋭の戦闘機だがこの中に10機に見慣れない戦闘機が
あった。
「ジャップめ!今日が貴様らの最後だ!」
編隊を指揮する小隊長の名はトーマス大尉である。
そして、その10機とはアメリカの悲願とも言える初のジェット戦闘機シューティングスターである。
一度断られた二ミッツだったが彼の執念とも言える粘りでミッドウェー基地に10機だけ配備されたのだった。
ハワイには30機のシューティングスターが配備されている。
数は少ないがこれはジェット戦闘機に涙を見てきたアメリカの兵士の勇気を奮い立たせることとなったのである。
俺達にもジェット戦闘機がある。
そして、アメリカはすぐに増産し空はジェット戦闘機が埋め尽くすと二ミッツは兵士を奮い立たせるために言ったのだった。
これで士気の下がり続けていた兵士の士気はだいぶ回復したのである。
トーマス達のシューティングスター隊はレシプロ機の編隊を抜いて高速で敵編隊へと向かっていった。
トーマス大尉が指揮するシューティングスター隊は敵を捕らえると
「攻撃開始だ!ジャップを殺せ!」
シューティングスターと神雷がすれ違った。
両者とも速度が速すぎてミサイルやロケット弾を放つタイミングを計りかねたのだ。
何しろ昭和初のジェット戦闘機の戦いである。
両者が攻撃しなかった理由は神雷のパイロット達がレシプロ機との戦いで遅い目標と戦い続けていたため。
そして、早い相手と戦い続けてきたトーマス大尉達はジェット戦闘機の操縦になれていなかったということが上げられる。
「しまった!全機反転して敵の尻にロケット弾を叩き込むんだ!」
慌ててトーマス達は反転しようとするが初期のジェット戦闘機はなかなか反転は難しい。
すぐに反転してしまえば速度が大幅に落ちてしまい加速に時間を取られるからだ。
しかし、神雷はそうは行かない。
神雷隊は反転するともたもたと反転しようとしているシューティングスターにミサイルを発射した。
ミサイルが追ってくる。
トーマス達は反転をやめてミサイルを振り切ろうとしたが無駄である。
ミサイルの方が遥かに早く。
アメリカ最新鋭の戦闘機隊は軒並み消し飛ばされた。
神雷隊は再びミッドウェー島を目指すため進路を取ろうとしたが敵編隊がパイロットの目に
飛び込んできた。
レシプロ機の編隊である。数は190機。
神雷のパイロット達は舌打ちしそうになるがレーダーに反応があった後ろから
日本の国産のジェット戦闘機『炎神』の編隊が神雷に追いついてきたのである。
神雷の編隊は高度を1万以上取るために上昇を始め
炎神はそのまままっすぐにレシプロ機の編隊に突っ込む。
そして、ロケット弾を両者は発射した。
爆発音が空のあちこちで轟きここにハワイ攻防戦の幕は切って落とされたのである。
凛「ついにハワイ攻略作戦が切って落とされたわね…」
明「私は参戦できないんだけど…」
撫子「どうしてですか明様?」
星菜「別任務…私にはおじさんが乗ってきた…」
凛「おじさんって…南雲 忠一のこと?」
星菜「…」
↑
こくりとうなずく
撫子「あらあら星菜、そんなこと言ってはいけませんよ?南雲様も苦労されたようですから」
凛「沖縄で機動部隊の運用法を叩き込まれてたわね…」
明「まあ、この人はもともと水雷畑を耕してきた
人だからね…任せるのも間違ってる気もするけど…」
撫子「ところで凛様はどこに行かれたんですか?」
凛「秘密」
明「気になるわね。教えなさいよ」
凛「やーよ。あんたがどこに言ったか聞かせてくれるなら考えてあげてもいいけど?」
明「ならいいわよ…」
作者「いやはや大変です。ハワイ攻防戦が始まりましたが今までのように短くは行きません。陸戦も書かないといけませんから本当に大変です」
凛「それを書くのがあなたの役目でしょ?」
明「そうね。今回は攻撃をやめてあげるわ」
星菜「努力…」
撫子「がんばってください作者様」
作者「みんな…よーし!がんばるぞぉ!」
↑
走り去る作者
凛「馬鹿は単純でいいわね…」
明「まったくね」
撫子「え?応援したんじゃないんですか皆様?
あ!次回予告ですがハワイ攻防戦は続くそうです。
ご意見・感想お待ちしております」