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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
プロローグ―変わりゆく太平洋戦争
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第2話 怒涛を超える戦艦『紀伊』

 謎の戦艦の出現の報を聞いた山本五十六は直ちにわずかにあった軽空母から

攻撃部隊を飛ばした。

とはいえ正規空母のではない軽空母からの出撃である。

現在の連合艦隊の2隻の空母は『鳳翔』、『瑞鳳』である。

搭載数は


鳳翔:17(最大搭載21機)


瑞鳳:27(最大搭載30機)


だが、その全てが出撃したわけではない。相手は戦艦ということだが

ある程度の戦闘機は残してある。

しかし、ただでさえ少ない航空機を分けたものだから艦攻として出撃して行ったのは

わずか9機という情けない数である。

さらに艦攻には10機の零戦がガードし守る。

謎の戦艦には飛行甲板があるという情報を得たからだ。

「しかし、何者なのでしょうな。その不明艦は」

と、攻撃隊が西の空に消えていくのを見ている山本五十六に言ったのは

彼の懐刀と言える参謀、黒島 亀人である。

後に特攻隊を作ることを言い出した人物で後の歴史家もミッドウェー海戦の敗因の一つに彼の複雑すぎる作戦が敗北の原因の1つだということを言っている。

しかし、少なくてもこの時点での山本五十六はミッドウェー敗戦の原因が彼のせいであるとは思っていない。

暗号が解読されている以上どんな名参謀がすばらしい策を用意しても始めからそうすると分かっているなら容易に破られるのは必然の事実である。

そんな黒島の言葉に山本は攻撃隊を見たまま

「単艦でこの連合艦隊に挑んでくるのだ。よほどの自身があるのかあるいは何かの

意図があるのか…」

「ただの馬鹿という可能性もありますな」

黒島が言った。

山本はうなずき

「ああ、だがアメリカの戦艦でないとすると一体どこの戦艦なのか…私はそれが気になる」

偵察した零戦によると国を示す旗もつけていなかったという。

「ふむ、確かに…」

黒島も考え込む表情を作った。

「イギリスか…あるいはドイツという可能性もありますな」

「ドイツがなぜ日本艦隊に攻撃を仕掛けるというのだ?」

「あくまで仮定の話ですよ」

黒島は山本が見ていた攻撃隊に目を向けた。

もう、小さな影となり消えかけている。

「どこまで航空機の攻撃ができるか…」

山本の懸念しているのは時間だった。

後3時間もしない内に日が落ちる。

夜間になれば航空機による攻撃はできない

敵がこのタイミングで仕掛けてきたことを考えると

艦隊決戦でも望んでいるのか…

しかし、たった1隻の戦艦では日本の誇る戦艦部隊ぼ前ではあっという間に轟沈。

よくて1隻か2隻を道連れにするぐらいだろう。

しかし、航空機の攻撃を相手が凌げば大和念願の46cm砲が撃てるのだ。

「…」

そのような事態にはなってほしくないものだなと山本は思い意識を前方に戻す。

攻撃隊の姿は見えなくなっていた。




始めに謎の戦艦を発見した坂田少尉はおかしいと思い始めていた。

先ほどからずっと謎の戦艦の周りを旋回しているのだが一向に反撃がない。

さらに奇妙なことに先ほどから機銃のなどに普通はいるはずの兵士が1人もいないのである。

しかし、自分ひとりが攻撃をかけるわけにも行かなかった。

坂田少尉の零戦には魚雷はつけられていない。

まさか、機銃のみで攻撃を仕掛けるわけにも行かずひたすら味方の攻撃隊を待ち続けているのであった。




「偵察に来てる零戦を入れても20機か…やりがいがない数だな」

CICからの報告を受け日向長官は言った。

レーダーによる確認で距離はまだある。

「仕方ないですよ。確かミッドウェー海戦で正規空母4隻を全て失って

しまってますから…」

古賀参謀長が言った。

「まあ、いいさ。別に航空機と戦いたいんじゃないしな。目標は戦艦部隊。

それも大和だ」




攻撃隊を指揮したのは瑞鳳所属の加賀大尉であった。

事前に連絡し坂田少尉を制空隊に組み込むと報告のあった謎の戦艦が加賀にも

見えてきた。

なるほど、確かに巨大な戦艦だ。

しかし、敵戦艦は一向にこちらに発砲しようとしない、

戦艦の主砲も沈黙したまま動かない。

妙だと加賀は坂田と同じ感想を持ったが命令は攻撃だ。

「攻撃開始!」

加賀の合図と共に艦功と制空隊が分かれ艦功が魚雷を投下する、

9本の魚雷は横から9本の雷跡を描く。

坂田少尉の報告を元にしその速度を考えてかなり前に向かい放った。

何せ相手はまっすぐにしか進んでいない。

加賀は敵が動くと思い見ていたが『紀伊』の取った行動にどきもを抜かされた。




「魚雷投下されました!直撃コース!」

しかし、それでも日向長官の笑みは崩れない。

「最大戦速!」




「な、なんだと!」

加賀大尉は仰天した。

なんと敵戦艦がさらに加速したのだ。

おかげで直撃コースだった魚雷も敵戦艦の後方をむなしく通り過ぎる。

「馬鹿な…なんという早さだ…」

驚いていたのは何も加賀大尉だけではない。

他の攻撃隊も上空で制空任務に当たる零戦隊も驚愕していた。

「か、加賀大尉。敵が早すぎます!」

部下の弱音が無線越しに流れる。

加賀大尉は怒り狂い。

「馬鹿野朗!それを当てるのが艦功の仕事だろ!貴様帰ったらたっぷりと

しごいてやるから覚悟しておけ!」

「しかし、魚雷よりも早い相手にどうやって…」

「…」

その一言で加賀大尉も押し黙った。

魚雷の速度はいろいろな条件で変わるが36ノットから48ノットである。

しかし、敵のあの戦艦は70ノットは出ているのではないだろうか…

まるで巨大な魚雷艇である。

いや、魚雷艇ですらあんな高速は出せない。

そうこういっている内にぐんぐんと敵戦艦は進んでいく。

「とにかく攻撃して奴を潰せ!」

猛然と加賀大尉達は謎の戦艦を追う。


しかし、この後の加賀大尉達の攻撃は1発も当たることはなかった。

魚雷よりも早い戦艦など相手にしたことはないしその速度ゆえに

魚雷の投下のタイミングを外しまくったのである。

おまけに敵戦艦は高速を利用してまぐれで直撃コースに言った魚雷をも

巧みにかわしてしまった。

そして、魚雷は1発も当たることなく魚雷を撃ちつくした攻撃隊は下がるしかなかった。

加賀大尉は歯軋りするほど悔しがったがどうしようもなかった。

そして、ついに大和を始めとする連合艦隊にその号令は下った。

「合戦用意!」

超高速で突っ込んでくる戦艦を向かえ打つ為戦艦部隊は敵が来る方に対して横を向け

前砲門を使える状態。単純陣を取る。

ミッドウェーではこの単純陣を取っていたことが敗因の一つにあげられるが

戦艦部隊に関してはそうならない。

対艦攻撃ならば多数の砲を持つほうが圧倒するのだ。

今や敵戦艦は風前の灯だと誰もが思った。

ただ1人…山本五十六を除いては…


ご意見、感想お待ちしております。

意見や質問も受け付けておりますので気軽にどうぞ。


やっと、日本連合艦隊と紀伊が激突しました。

敵はアメリカではないのかと思う方もいると思いますが気になる方はどうぞ続きをお待ちください。

果たして紀伊をはじめとする戦艦はどこの国の味方なのか!次回明らかになります。

8月3日の昼までに更新予定です。

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