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第286話 新たなる苦悩

「人と艦魂は結ばれない。 必ず不幸になるから」


湊との会話から逃げるように紀伊に戻ってきた凛は自室で布団に丸まっていた。

人と艦魂が結ばれないのは考えてみれば必然なのかもしれない。

湊の言うことを否定できる材料は何もない。

恋が実ろうとした艦魂達は確かに皆、戦死しているからだ。


(でも、それって艦魂は恋をしちゃいけないってことなの?)


だとしたら、なぜ、神は女性しかいない艦魂などというものを作ったのだろう。

なぜ、恋する気持ちを植え付けたのか・・・


(こんなのってひどい・・・)


恋に生きた艦魂は必ず死ぬ。

今までの歴史はそうだった。

もし、凛の場合今成就すれば、ドイツ艦隊との戦闘で撃沈される可能性が高いということになる。

ならば、今はそれを考えない方がいいのではないか

そう、凛は思っていた。

そんな時、ドアからノックの音が聞こえてくる。

寝たふりをして無視しようと思ったがノックはしつこかった。


「誰?」


けだるそうにいうとドアが開いた。

今、もっとも会いたくない相手だった。


「よう、凛」


日向 恭介だった。

彼はすっと部屋に入ると椅子に座った。


「何、恭介?」


「ハハハ、そう邪険にするなよ。 お土産持ってきてやったんだから」


日向は持っていたカバンから缶ジュースとショートケーキを取り出すと机に並べた。


「藤堂大統領からの差し入れだぞ。 ケーキ食うだろ?」


「いらない・・・」


布団にくるまったまま凛は答えた。

起き上る気力もない。


「そういうなって、最近ろくに口聞いてくれなかっただろ? それに、ドイツに負けたことも謝ってなかったしな」


「あれは、恭介が悪いんじゃない。 私が弱かったから負けただけ」


むしろ、この転移を決断した日向の方が責任は軽い。

多くの指揮官はあそこでドイツに討ち取られていただろう。


「・・・」


日向はそれには答えずに凛を見ている。

沈黙が部屋を支配する。

そして、沈黙に耐えられなくなったのか


「今日、大和の艦魂に会ってきたんだろ? どうだったんだ?」


凛の持つ布団に力が込められる。

一番聞きたくない名前だった。


「やっぱり、撫子見たいなおとしやかで・・・」


「・・・うるさい」


「え?」


「いいから・・出て行って恭介。 私あなたに会いたくない!」


戸惑ったような日向の気配がする。

凛はだが、今だけは彼に会いたくなかった。


「帰って!」


布団を蹴飛ばすと凛は日向の腕を掴んだ。


「ちょっ・・・」


日向の姿が消える。

艦魂の転移能力である。

後には彼が持ってきたケーキと鞄だけが残される。

どうするかと思ったが凛はドアに鍵をかけて布団に入るとすっと眠りの世界に落ちて行った。










沖縄基地の中だけは自由にしていいと言われていたので夕方軽くシャワーで汗を落としてから美夜は誘っていた未来と共に基地の中を歩いていた。


「藤堂さんを誘わなくていいの美夜?」


歩きながら尋ねてくる未来に薄暗い空を見上げながら


「なんでそこで真也の名前が出てくんのよ? どうせ、ここにも長くいられないんだから少し見学に出てきただけよ」


この沖縄の基地は独立機動艦隊が本拠としている基地である。

美夜もネットで調べたがどうやら事実関係はかなり食い違っているらしい。

まず、紀伊がいたというドッグだが、空だったしこの基地の司令もどうやらダミーのようだった。

国民や世界から過去を改編したことを隠すための基地と言える。

大体、独立機動艦隊が今の時代にあることも少し、おかしな話だ。

歴代首相は独立機動艦隊は日本の危機と判断した場合特殊な任務に就くためにある艦隊であると言っているが具体的な危機とはなんだ?

一時はロシアと第三次世界大戦の危機に陥りかけた時も独立機動艦隊は動かなかった。

いや、動かせないと言うほうが正しいだろう。

紀伊と接触したことで美夜は様々なことを知ってきた。

それは隠された裏の歴史を見ると言うことで危険な香りもするが好奇心旺盛な彼女にとっては宝のようなものだった。

触れてはならない所にたどり着けばまずいかもしれないがいざとなれば未来の転移能力で逃げられると美夜は思っていたのだ。


「もう、知りませんよ美夜、小川大佐達に怒られても」


「う、それは嫌だけど時間外だし別に規律を破ってるわけでも・・・」


「思いっきり破ってます。 大体美夜は」


そう、美夜は大胆にも戦艦大和に侵入することを考えていたのだ。

鍵なんて艦魂の転移には無意味と思っているが肝心の未来には直前に離すつもりだった。

だって、こんな機会二度とないような気もするからだ。

伝説の戦艦大和の艦魂に会ってみたい。


闇にまぎれてドッグに近づくが徐々に警戒が厳しくなってくる。

当たり前といえば当たり前だがそろそろ、隠れて進むのは無理そうだった。


「未来出番よ」


「出番? って何をするんですか?」


「決まってるじゃない」


美夜は手を腰にまわして堂々と言い放つ。


「大和に転移するのよ」


「ああ、なるほど転移ですかってええええええ!」


美夜は慌てて未来の口をふさいだ。


「むぅ!むううう!」


「わ、分かったら落ち付いてよ未来」


そっと、手を離すと未来は小声で


「何を言うんですか美夜! 大和大元帥に会うなんて恐ろしいこと・・・」


「未来だって会いたいって言ってたじゃない」


「それはそうですがでも・・・」


「誰かいるのか?」


二人は息を飲んだ。

こんな草むらから出て行ったら怪しまれる。

まして、美夜はこの基地の人間ではないのだ。

機密を隠している基地の人間だから見つかるとかなりヤバいかもしれない。


「ん?」


懐中電灯をこちらに向けこつこつと音を立てながら警備兵が近づいてくる。


「も、もう駄目ぇ!」


2人が目をぐるぐる回しながら混乱していると美夜の手を引くものがあった。


「し、しん・・・」


「しぃー」


藤堂は手を美夜の口に当てると


「むぅ!」


「未来ちゃん僕らを連れて転移」


美夜の抗議の声を無視して言う。


「え? はい!」


人間・・・いや、艦魂混乱したら道を示す声あればそれにすがるものである。

3人が消えた瞬間、懐中電灯がその空間を照らしたがそこには誰もいなかった。


「気のせいかな?」


基地勤務20年の兵士は首をかしげながら警備に戻るのだった。










3人が出た場所はせまい通路だった。


「むぅ!」


抑えていた手を藤堂が離す


「真也ぁ! あんたいきなり何を・・・」


「アハハハ、君達が出て行くのが見えたから面白そうだからついてきたんだよ。 僕がいなかったら見つかってたよ美夜ちゃん」


「ちゃんっていうな! それよりどこよここ?」


当たりを見回すが薄暗くてよく見えない。

未来を見るとわずかに震えていた。


「未来?」


「こ、こここ・・・」


鶏のような言葉を発した後


「ここ、大和の艦内です・・・」


「へぇ、ここが」


藤堂が周りを見渡しながら言った。


「うん、計画通り」


にこりと美夜は微笑むと通路を歩きだした。


「何してるんですか美夜! さっさと帰らないと!」


「いいんじゃない別に、僕も見てみたいし」


さっさと歩きだ2人を見て未来は焦った。

もし、勝手に踏み込んだことがばれたらどうなる?

不敬罪で死刑か?

何せ相手は会ったことのない伝説の戦艦の艦魂なのだ。

なんだか、紀伊の艦魂は恐そうだったしきっと、ながく生きた大和の艦魂も怖い人に違いない。

基本、相手の艦魂が迎え入れる意思がない限り艦には転移できないと言う原則を忘れて未来は混乱しそして・・・


「おや? 今日は千客万来だね。 僕はうれしいよ」


「にゃあああああああああ!」


ぽんと未来の両肩に手が置かれた瞬間、未来は悲鳴をあげて気絶した。


作者「うーん、暗い話は嫌いなんだな」


湊「僕は君に感謝してるよ。次々と、お客さんを送ってくれてね」


作者「まあ、後半は苦し紛れに明るく書いたつもりでしたが過去に戻るまで後、何話になるかわかりませんがご容赦を」


湊「草薙……最終決戦を頭の中で展開する時間が欲しいんじゃないかな?」


作者「……ノーコメント」


湊「残念な話ではあるが君の頭の中は見させてもらっよ」


作者「ええええ!」


湊「君の頭にはすでにラストのイメージがあるじゃないか。ドイツと日本がとる戦略と戦術が」


作者「いやまあ、あるんですがそこに至るまでが大変なんですよ。学生時代ならいくらでも時間はありましたけどね。宝くじでも当たったらニートになるのに……」


湊「やめた方がいい」


作者「まあ、少なくても社員は嫌だ!しんどいから!」


湊「草薙のことはもうどうでもいいかな」


作者「さて、そろそろ……」


湊「執筆するのかい?」


作者「溜まりにたまった漫画を読もう」


湊「草薙……本当に今年中に紀伊は完結するのかい?」


作者「ハハハ、このちょうしじゃ無理な話初期のような鬼神のような速度がだせれば完結なんて簡単だけど私にもうあの力はないのさ」


湊「ところでさっき君の知り合いの艦魂達が君の部屋の本を焚き火に投げ込んでいるのをみたよ」


作者「!!!!!あいつらまたぁ!」


湊「行ってしまったね。僕が見たのは一時間前だから手遅れだと想うよ」


作者「ぎゃああああ!私の宝がぁ!」


艦魂達「さっさと執筆しない罰よ」


湊「本当に面白いよ草薙。ではまたね」

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