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第285話 呪縛

2044年5月23日、世間ではさしたる行事もなく新聞はロシアとの不仲を一部記述するのみで平和な記事を並べるその日、凛は沖縄のとある場所を訪れていた。

伝説の戦艦大和は今、記念艦となりドッグにいるということを聞いた。

一般公開もされていないその戦艦の艦魂に会うため、凛はここいるのだ。


「眠い・・・」


油断すれば眠ってしまいそうな強烈な眠気に逆らいながら凛はそのドッグの前に立った。

凛の本体である紀伊は今、改装を受けている。

人間で言うなら手術を受けている状態で本来なら深い眠りに入る。

しかし、凛は眠る前にどうしても会っておきたい艦魂がいた。

機動戦艦大和の艦魂である。

それが撫子であるのかはわからないが凛は高鳴る鼓動を抑えながらドッグの中に足を踏み入れた。

春だと言うのにひんやりとした空気の中、闇の中に大きな影が見えた。

情報が正しいならあれは大和だろう。


「誰かいる?」


凛の声はドッグに響き渡った。

しばらく、静かであったが


「誰だい?」


年若い女性の声が聞こえた。

凛は暗闇に向かい


「機動戦艦紀伊の艦魂、凛よ。あなたは撫子なの?」


「ああ、帰ってきたんだね」


声はそういうと光を凛の前に出現させた。

艦魂の転移である。

そして、現れた女性は凛の知る艦魂ではなかった。


「お帰り、紀伊の艦魂、でも君は僕の知る紀伊の艦魂ではないんだね」


「そういうあなたも、私の知る艦魂じゃない」


ショートヘアーの艦魂はふっと笑うと


「話は聞いている。 どうやら君は別の世界から来た艦魂らしいね。 名前こそ同じだが君の容姿は私の知る彼女とはかけ離れている」


「あなたの真名は撫子?」


「いや、僕の真名は湊」


その艦魂は言った。









沖縄の基地の一角、今日の仕事を終えた兵達が賑わう食堂で丸椅子を囲みながら美夜、藤堂、未来が食事を取っていた。


「その大和の艦魂ってどんな艦魂なの?」


別に金曜日ではないのだがカレーを食べながら美夜が言った。


「私達、艦魂の憧れの存在ですよ。 紀伊と共に日本を守った守護神として伝説的な存在なんです」


水の入ったグラスを片手に天鳳の艦魂未来は言った。


「ふーん、一般的には大東亜戦争が終結して以降一回もドッグから出てきてないってなってるけど君達艦魂は会ってるんだ」


藤堂は魚料理を食べながら言う。


「私は会ったことないんですけど何人かの艦魂は会ったことがあるそうです」


「でも、大和って言ったら第1世代機動戦艦の装備から特に変わってないらしいじゃない」


「よく知ってるね」


藤堂が感心したように言うと美夜は薄い胸を張り


「もちろん常識よ」


「それで何時間ぐらい調べたの?」


「うん、ネットでいちじ・・・」


「アハハハ、なんだ後からの知識なんだね美夜ちゃん」


一瞬固まった美夜に藤堂は笑いながら言った。

当然、彼女は顔を真っ赤にしながら


「ちゃんっていうな! 真也!」












「さあ、入ってくれ。 大したおもてなしはできないけどね」


大和の艦内の艦魂だけが入れる空間、その扉を開けた先にあるのは湊の私室だった。

ベッドがあり部屋の中央には椅子と机が置かれている。

勉強机の上はきちんと片づけられており、写真立てが置かれていた。

壁を見ると額に入れられた写真が数点並んでいた。

凛は勧められるまま椅子に座り、じーっと湊のことを見ていた。

彼女はやかんからお湯を入れカップに注ぐと凛の前においた。


「紅茶だよ。 お茶かジュースの方がよかったかな? すまないがジュースは切らしていてね」


「え? あ、だ、大丈夫・・・です」


どう接していいのか分からず凛が言うと湊は笑いながら


「敬語はいいよ。 君と僕は一緒に戦った仲じゃないか。 まあ、正確には君と同じ艦名の存在とでもいうべきかな」


「どういうこと?」


凛が聞くと湊は黙って紅茶を口につけた。

凛も紅茶を少し口に入れた。

独特の味が口内に広がる。


「おいしい」


「それはよかった。 戦艦金剛お墨付きの紅茶だからね」


「その金剛の艦魂の真名は柚子?」


凛が聞くと湊はまた首を横に振った。


「違うよ。 事情はもう聞いてるから簡単に言おう。 この世界と君が来た世界は繋がっていないんだよ」


「?」


凛が首をかしげる。


「まあ、簡単に言うと。 世界はたくさんある。 君たちが過去に行ったと思っていた世界はただ、技術レベルが昔の日本と同じ違う世界ということになる」


「パラレルワールドってこと?」


湊が頷く。


「そうだね。 もしかしたら、徳川幕府が滅びないで日本をその後も統治した世界があるかもしれない。 中国が世界制覇した世界もあるかもしれない。 そして、ドイツが世界制覇を成し遂げたなんて世界もあるかもしれないね」


「でもそれだと・・・矛盾することも多くあるんじゃ・・・」


凛はこんがらがりそうな頭を押さえながら言った。


「そうだね。 時空の先にあることはまだ、よくわかっていない。 僕の言うことは間違ってるかもしれないし合ってるかもしれない。 ただ、言えるのは君達が日本の勝利に貢献したとしても日本が滅んだ世界は消えず、新たな世界が生み出される。 それが今の合衆国日本だ。 だが、歯車一つ狂えばこの国は生まれなかった」


「よくわからない・・・」


眠気があるのもあるが湊の言っていることはよくわからなかった。

ただ、分かるのは彼女は撫子ではないこと、世界が違えば艦魂も当然違うと言うことだ。


「難しいことを言ってしまったね。 頭を整理する時間もいるだろうから今日はお開きにするかい?」


「あなたはずっと、ここにいるの?」


「僕はもう、戦うことのない戦艦だ。 悠々と引退した記念艦生活を送っているよ。 だから、お客さんは大歓迎だ」


窓の外は暗い。

この暗闇の閉鎖されたドッグの中で大和はずっと保管されているのだろう。

ふと、凛は机に置かれていた写真に目が言った。

見おぼえがある日本海軍の軍服の男と和服を着た女性が並んでいる。


「これって・・・有賀艦長?」


「ああ、それは彼が少将に昇進して艦を降りる時の写真だね。 隣の女性は彼の妻さ」


どこか、寂しそうに湊は言った。


「え?」


凛は思わず湊を見た。

彼女は結ばれなかったということか・・・


「艦魂とね。 人間は結ばれちゃいけないんだ。 必ず不幸になるから・・・」


「不幸? なんでなの?」


「寿命の問題だよ。 艦は長くても20年か30年ぐらいが限界だが人は長ければ100年生きるだろ? 例え、僕のように記念艦になっても人のほうが早く死に僕らは死ねない」


それはすごく残酷なことのように思えた。

必ずどちらかが先に数十年の別れを強いられるというその現実を・・・

記念艦となれば数百年という可能性すらある。


「知ってるかい凛? 日本が生まれてから今に至るまで人と艦魂が結ばれたことは1度もないんだよ。 必ず人は人を選らぶ」


「そんなこと!」


ないと凛は言う。

強いきずなで結ばれ相思相愛だったものもたくさんいたのだ。

撫子だってそうだし零だってそうだ。


「そうなんだよ。 凛、君の言う艦魂達は死んだか相手と死別してないかい?」


「!?」


「それが答えなんだよ。 君は好きな人がいるのかい?」


「そ・・・れは・・・」


「もし、相手が人間なら諦めた方がいい。 もし、相思相愛になればどちらかがあるいは両方が死ぬことになる」


運命だとばかりに湊が言った。

艦魂に課せられたそれは呪いなのかもしれない。

しかし、偶然だと凛は思いたかった。


「そんなことはない! そんな呪いみたいな話は信じない!」


そういうと、凛は逃げるように転移して大和から去ってしまった。


「・・・」


湊は静かに写真立てを手に取ると愛おしそうに写真をなでた。


「僕もあれぐらいまっすぐに君が好きだと言えば君は応えてくれたのかな? まあ、もう遅いけどね・・・」


湊の顔は寂しげに微笑んでいた。


作者「撫子様ではありませんが大和の艦魂湊さんです」


湊「やあ、みんな初めまして、大和の艦魂、湊です。」


作者「では簡単に自己紹介を」


湊「僕の自己紹介かい? そうだね最近の趣味は、ツイッタ―のはまっているよ」


作者「えええええ! 艦魂の湊さんがツイッタ―を!」


湊「ブログも持ってるよ」


作者「ぜひみたいです!」


湊「なんて嘘だよ草薙」


作者「じゃあ、本当の趣味はなんなんですか?」


湊「女の子を愛でることかな」


作者「な、驚異の大和が2人目になるのか!」


湊「これも嘘だよ草薙」


作者「よ、よかった・・・変態大和が2人になったらもう、手がつけられないからね」


湊「じゃあ、そろそろ真面目に言おうかな。 僕の外見は20歳ぐらいの女性で髪は黒のショート、身長は179センチで体重は秘密さ」


作者「私より高い!(作者174センチ)」


湊「趣味は最近は写真かな」


作者「今度は本当ですか?」


湊「本当だよ。 ほら去年4日ごとに船にもどりながら日本を回った写真があるんだ」


作者「映ってるのが全部艦なんですが・・・いや、艦魂もいますけど」


湊「まあ、本当の趣味は交流かな。 あまり、多くの艦魂には会ってないしね」


作者「それではこれからもお願いしますね。 私も守ってください(必死)」


湊「僕が君を? いいよ君が近くにいたらだけどね」


作者「わーい! エリーゼのブース!貧乳! チビ! 泣き虫やーい」


湊「ああ、明らかに君が悪い場合は助けないよ」


作者「ええええええ!」


エリーゼ「草薙ぃ!」


作者「ぎょあああああああああああ!」


キュバアアアアアアアアア


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