第284話 迫りくる決戦
1944年5月12日轟音と土煙により、イギリス軍のインド国境を突破したドイツ神聖帝国軍はその世界統一の魔の手を伸ばしてきた。
ギュンター・フォン・クルーゲ元帥率いる第4軍100万
フリードリヒ・パウルス元帥率いる第6軍90万
そして、第3軍エルヴィン・ロンメル率いる主力120万
計310万という大戦力がインドになだれ込んだ。
ジェット爆撃機ゼンガ―による徹底的な空爆によりインドの反抗戦力は制空権を失い。
地上での絶望的な戦いを強いられることとなった。
ドイツの進撃の報告を聞いたチャーチルは戦力の壊滅を恐れ、インドのイギリス軍に撤退の命令を出した。
事前に逃げる準備をしていたイギリス軍はさっさとインドを離れたがインド人達で構成されたイギリス軍は撤退の命令を拒否し頑強に抵抗した。
しかし、圧倒的な物量を誇るドイツ軍を前にインド人達は追い詰められわずか2日でついに、首都デリーを包囲される。
爆音と怒号。
ゼンガ―による徹底的な空爆だが彼らはイギリス軍が用意していた地下施設に立てこもった。
イギリスは交戦と撤退を考えて準備してきていた。
デリーを要塞化し、ドイツ軍に抵抗すると言うものだが実際は、爆撃に耐え、反撃するのが基本としていた。
皮肉にもスターリングラード攻防戦と同じようにデリーはがれきの山となり、それを利用したイギリス軍のインド人部隊は歩兵による制圧を使用とするドイツ軍と互角の勝負をしていたのである。
デリーは内陸部にあり、機動戦艦の援護は期待できない。
空と陸から攻めるしかないが爆撃が来ればさっと地下施設に戻り、去ると出てくる。
まるでモグラのようだとパウルスは思った。
がれきの中を進む、ドイツ軍の部隊がいた。
ゼンガ―のしつこいほどの爆撃により地形が変わっている市内を進みながら周囲を警戒して進む。
「うおおおおお!」
声にびくりとしたドイツ兵が見るとがれきの中からインド人部隊が飛び出してきた。
銃を向けようとした瞬間、そのドイツ兵は射殺された。
「スナイパーがいるぞ!」
兵の一人が叫ぶがさらに、がれきの中から機関銃が発射される音が響く。
兵達が血煙りとなり倒れて行くのを見て指揮官は悲鳴をあげるように
「引け! 引け! ここは駄目だ!」
このようながれきを利用した待ち伏せをいたるところでするのだからたまらない。
パウルスは攻めあぐねつつあった。
デリー攻略を任されたパウルスは1日もあれば落とせると思っていた。
今のドイツには圧倒的な物量と補給線が確立されているし、兵器の質も高い。
負けはしないが時間をかけるのはいいこととは言い難かった。
「元帥、もう一度、ゼンガ―による爆撃を再開させましょう。 そうすれば戦況は変わるでしょう」
部下の一人が言った。
「しかし、すでに10度の爆撃を加えて敵の士気は落ちるどころか高まる一方だ。 何か策はないものか・・・」
「地下への入り口も発見には至っていません。 このまま包囲し、兵糧攻めにする案もでていますが・・・」
その策をとれば確実に勝てるだろうが一体どれだけ待てばいいのか見当もつかない。
下手をしたらあの地下施設には数年分の食糧が備蓄されてる可能性だってあるのだ。
90万の陸軍がこんなところで足止めされてるのは正直面白くない。
すでにデリー攻防戦が始まり3日が過ぎていた。
ロンメルやギュンターはすでにインドの深くまで攻め込んでいると聞いている。
このままでは自分の首が飛ぶ心配さえあった。
そんな時、パウルスに本国から知らせがあった。
次回、のゼンガ―により敵の士気は壊滅する。
爆撃後、全軍突撃せよ。
その内容を見たパウルスは首を傾げた。
「一体どういうことだ? 11度目の爆撃で敵の士気が壊滅するとでも思ってるのかフレドリク総統は」
「これまであの男の言うことに間違いはありませんでした。 おそらく、何か秘策があるのでしょう」
参謀が言う。
確かに、アドルフ・フレドリクの戦略に従いここまでやってきた。
インドを落とせば中国に攻め込むヒマラヤ山脈は目の前だ。
ドイツ軍は中国侵攻を考えていない。
逃げ回られれば史実の日本軍と同じ泥沼の戦争に陥りかねないからだ。
一撃で大軍を撃破しなくてはならない。
それはそれとして、ドイツ本国から来ると言うゼンガ―の到着時刻は4時間後、パウルスは全軍に総攻撃の準備をするように伝達した。
デリーの深い深い、地中の中、この地下要塞は地部分を分厚いコンクリートで固め、ランカーバスターの爆撃にもある程度耐えられるように設計されている。
その、地中の最深部では
「司令、ドイツ軍は今回もケツから火を吹いて逃げて行きましたよ」
泥にまみれたインド兵が言った。
彼らはイギリス軍から離反した言うならば義勇軍と言ったところだろう。
実際、チャーチルも彼らの離反を足止めになるならと怒りはしなかったのだ。
「そうかそうか、このデリー要塞はまさに無敵の要塞だな」
もじゃもじゃのひげを備えた男が言った。
「馬鹿な奴らですよドイツ軍は、デリーの町を破壊して、がれきの要塞をプレゼントしてくれたんですから」
「ハハハ、噂に聞くアドルフ・フレドリクとやらも大したことないな。 ここで持ちこたえれば持ちこたえるほど、戦いは有利に働くだろう」
その時、新たな兵が部屋に飛び込んできた。
「司令! 敵の爆撃機が来ます! 数30!」
「少ないな、まあいい、上にいる連中に避難するように言うんだ」
「了解!」
「また、無駄な爆弾をばらまきに来たようですね司令」
「ハハハ、学習能力のない奴らだ! 猿でもわかるぞ」
しかし、彼らはドイツ軍を甘く見過ぎていたということを知ることは未来永劫なかった。
高度3万という超高度からジェット爆撃機ゼンガ―はデリーの街並みを確認した。
「目標を確認、各機、指示のあったポイントに攻撃を開始せよ!」
戦闘のゼンガ―が爆弾を3つ投下した。
続けて30機のゼンガ―も3つ、計90個の大型爆弾が投下されたのである。
「元帥! 味方機の攻撃です」
「うむ」
パウルスは双眼鏡でその様子を見ていた。
爆弾らしきものが見える。
かなりの大型爆弾だった。
それは次の瞬間、炎を吹いた。
なんだと見ているとそれはロケット弾と同じように推進力を持っているのだ。
真下へロケット推進のその先がとがった爆弾は落ちて行く。
その加速は絶大で街の中にその爆弾は消えて行った。
コンクリートの壁をぶち破ったそのランカーバスターは地下要塞の通路の一つに落ちた。
次々と轟音がし、爆弾がコンクリートを貫いてくる。
次の瞬間、爆発が起こり炎が巻き起こると誰もが思った。
だが、それだけなら地下要塞はびくともしない。
だが、その爆弾がさく裂した瞬間、地下の人々は次々と倒れて行った。
あるものは内臓が破裂し、あるものは眼球が飛び出し血を吐いて絶命した。
その効果は一瞬で、地下要塞を浸食し、密閉された場所にいなかった兵は全て死亡すると言う大戦果をあげたのである。
その兵器の名を真空爆弾という。
ドイツは地貫通爆弾に真空爆弾を搭載して投下したのである。
この爆弾は現在でも地下施設を攻撃するのに有効な兵器だと言われている。
使いようによっては核にも匹敵する。
その後は一方的な戦いが続いた。
突撃を開始した第6軍は火炎放射器を使い、穴に立てこもったわずかな生き残りを容赦なく虐殺した。
降伏するものは捕虜としたが、逆らう者は徹底的に殺す。
とはいえ、生き残った兵もわずかのインド兵達のほとんどは降伏した。
その生き残りも1万から減りわずか18人にも満たなかったと言う。
このデリー攻防戦でドイツ軍の死傷者は1254人
対して、デリーの市民は避難勧告が出されていたため2万人が死傷した。
兵の損耗は前述通り9千人以上が真空爆弾により死亡したのである。
このデリー攻防戦後より1週間後、ドイツ神聖帝国はインドを完全に手中に収め、インド洋の制海権を完全に握ることになる。
連合軍は反撃らしい反撃を見せずに焦土作戦を実地しつつ、撤退したが補給に莫大な能力を持つ、ドイツ神聖帝国には無意味だった。
エリーゼ「今回の戦いでユーラシアの大半はドイツの支配下になりました。 後は中国と日本ですね」
作者「あまり褒めたくないが中国は広いぞ? 逃げることが得意な中国人を降伏させられるかな?」
エリーゼ「中国は放っておいてもいいでしょう。 日本攻略のために押さえておかないといけない場所はまだありますからね」
作者「それにしても真空爆弾か・・・日本では気化爆弾って名前だった気がする兵器だったな」
エリーゼ「わりとあなたの知る小説では三式弾に搭載したりと幅が聞く兵器ですね」
作者「あの兵器って要塞戦とか地下に籠ってる連中にはすさまじい破壊力誇るんだよね。内臓が破裂したりかなりえぐいから核爆弾に匹敵する」
エリーゼ「そういえばあなたの世界のイラク戦争でも使われたらしいですね」
作者「みたいだけどね。 内臓が破裂したりして死んでるイラク兵もいたらしいし」
エリーゼ「アメリカが使いたがってる兵器だということは有名ですね」
作者「まあ、欠点もあるんだけどね。 密封した空間に対しては真空爆弾はあまり効果がないから、逆に言えば密封されてなかったらとんでもない破壊力を誇るけど・・・そういえば、ロシアが核に匹敵するクリーンな兵器を作り出したとかほざいていてたけど確か真空爆弾だったような気がする」
エリーゼ「いずれにせよ。 今回の戦いで私たちは真空爆弾を手にしましたこれを・・・」
作者「な! まさか、日本に落とす気か! 町に対してならそれほどすさまじい降下はないだろうけど残虐すぎる・・・死んだ人の顔が空気を失ってもがき苦しんだようになると書いてあったがそれを日本にする気か!」
エリーゼ「必要ならするでしょうね。 ですがどうなるかはあなた次第です」
作者「こうなったら必殺技でエリーゼをしとめてやる」
エリーゼ「必殺技ですか?」
作者「くらえ! チェーンソーの一撃! ミスト・・・」
エリーゼ「死になさい」
作者「がは声だけで・・・この能力はネク・・・」
エリーゼ「ふぅ死にましたか草薙」




