第274 オペレーションエデン最後の作戦
「それでは、日本攻略は予定通りでいいのだな?」
ヘイルダムの艦長レイが言った。
フリードリッヒ・デア・グロッセの中にある一室、テーブルをはさんで機動戦艦の艦長達が向かい合っている。
「それでいい」
フレドリクは手元にある紙を見ながら言った。
「出てくるのか奴は?」
根っからの軍人といった感じを出しながらレイの言葉にワグネルも続ける。
「ああ、本当に死んでいないなら必ず出てくる。 俺達機動戦艦全てが出払っているこのタイミングを逃すとは思えない」
「そうか、 だが大将、聞きたいことがあるんだな」
「なんだ?」
「紀伊と大和の撃沈は確実か? それを確かめないでドイツに戻っていいのか?」
ワグネルが言った。
「その件は確かめただろうワグネル艦長、偵察機を飛ばしたが奴らの姿はなかった。 それに、核兵器の真ん中にいた以上、撃沈は免れないだろう」
「まあ、確かにそうなんだがな」
ワグネルはレイの言葉に頷きつつも何かを考えていた。
「何か気になる点があるのか?」
フレドリクが言うとワグネルは首を横に振る。
「いや、大丈夫だ。 それより大将本当によかったのか? あそこで日本海軍と連合軍の艦隊を壊滅させなくて」
「日本という国を屈服させるにはある程度の手順が必要だ。 総力を挙げても勝てない相手に日本は絶望する。 奇跡を起こすと言われた紀伊・大和は沈んだ。 あの三笠も沈んでも日本は連合艦隊ある限り戦い続けるだろう」
それはすなわち、日本がどれほど大規模な艦隊をそろえようともドイツには勝てないと教え込む必要があるのだ。
そして・・・・
「まあ、あの場所で日米艦隊と戦うのは無理でしたけどね」
「どういうことだステラ艦長?」
レイが聞くと彼女は薄く微笑みながら
「荷電粒子砲にしろ、バルムンクの連射、いえ、アポクリファの武装はレールガンと言っておきましょうか。 多い連射はできないんですよ」
「なるほどな。 あのまま、戦っていたら下手したらアポクリファは負けていたということだな?」
ステラは静かに目を閉じて
「否定はしません。 あのまま、戦えば昼の航空攻撃にジェット機関を積んだ戦艦群とまともに戦うことになりますからレールガンを使えない状態では厳しいでしょうね」
「荷電粒子砲にしても同じだ。 あれも、ある程度撃てば充電の時間が必要になる」
フレドリクが言った。
「使えるか使えないか分からん兵器だな。 紀伊のアイギスを破壊できただけでいいとするか?」
「大丈夫ですよ、 みなさん」
「ん? どういうことだ?」
「両方の欠点はドイツに戻ればユリウス博士が何とかしてくれます。 博士は今回の戦闘のデーターがあれば両兵器を完成に持っていけると言っていますから」
「相変わらず、すげえ奴だなあいつは・・・」
ユリウスは程度の違いはあれ荷電粒子砲や航空機の開発にかかわっている。
今のドイツの圧倒的な技術の進歩は彼なしであり得なかっただろう。
むろん、彼はそのため、命を狙われる状態にある。
そのため、ユリウスがどこにいるかは極秘だった。
「それで、フレドリク長官、どうする? 我々が1年ドイツにいる間。 日本とアメリカは放置か?」
「その間は・・・」
会議が終わり、それぞれの艦に戻っていく艦長達を見送りもせずフレドリクは甲板にいた。
軍用のコートがばたばたと風に揺れ、長い金髪も潮風で少しなびく。
「日本海軍の壊滅なくして帝国の繁栄はない」
海を睨んだままフレドリクは言った。
「はい」
それにエリーゼは返す。
フレドリクは振り返りもせず
「エリーゼ、 あいつはどうしてる」
あいつとは誰かを瞬時に悟ったエリーゼは応える。
「ヘレンは毎日大変そうですが大丈夫です」
「そうか・・・」
フレドリクはただそれだけを言い黙ってしまう。
彼が何を考えているのかはエリーゼには分かる。
分かってしまう。
やはり、彼は・・・
「フレドリク様」
「なんだ?」
やはり、彼は振り返らない
「ヘレンを気にかけるのはやはり、シンシアに似ているから?」
「・・・」
フレドリクは何も言わない。
ただ、その背中を見ながらエリーゼは彼の行動を待つ。
1分ほど黙りフレドリクは言った。
「全てを捨ててでも俺は世界から戦争をなくす。 そう誓った。 だが、あいつだけは・・・
シンシアのことだけは俺は忘れられない。 甘さだな・・・」
「いいと思います」
「何?」
「私は、あなたが・・・優しい人だと知っています。 ヘレンを助けてくれた時、私は嬉しかった。 あなたはやはり、アドルフ・フレドリクだから・・・」
エリーゼは知っている。
彼は例え、何百万の命がこの戦いで失われようともこの後の世界で1人でも戦争で愛しき人を失わない世界を作ることを望んでいる。
だが、本質は変わらない。
エリーゼは彼が世界を統一し、夢がかなった時、再び昔の彼になってくれることを望んでいた。
だが、フレドリクは変わっていない。
表面は変わっても内面は昔のままなのだ。
だからこそ、エリーゼは自身の全てを、命も自身の存在全てかけてでもこの闘いに勝利する。
(明を殺したあんたが・・・)
紀伊の艦魂、凛の言葉が頭に残る。
私は仇を討ちたいと言う彼女の思いを踏みにじってここにいる。
ならばこそ、世界を統一しなければならない。
それは、勝者の義務だ。
「くだらんな・・・」
「・・・」
「エリーゼ」
「はい」
「世界を統一したら・・・」
「フレドリク司令! 大変です!」
その言葉の続きをエリーゼは聞けなかった。
甲板に飛び込んできた兵がいたからだ。
フレドリは振り返る。その目はエリーゼではなく兵を捉えている。
「何があった?」
「アドルフ・ヒトラー率いるSSの残党にブレストが制圧されました! 多数の艦艇も掌握されたとのこと」
フレドリクは笑みを浮かべた。
「やはり、生きていたかヒトラー。 予定通りエデン最終作戦を開始する」
「はっ!」
フレドリクはCICに向かう。
エリーゼは彼が何を言おうとしたのか気になったが聞けなかった。
今は、作戦に集中する時だ。
アドルフ・ヒトラー率いる残党とアドルフ・フレドリクの最期の闘いが始まる。
作者「何!ヒトラーが生きていただと!」
メグ「しつこい人だよね」
作者「まあ、ヒトラーの死体は確認されてないからね」
メグ「というか、そのつもりでヒトラーの死をごまかしてたんでしょ作者」
作者「ハハハ、まあ、総統閣下をさっさと死なせるには惜しいからね」
メグ「まあ、フレドリクは読んでだみたいだけど・・・」
作者「だね。 機動戦艦を本土から離してるのはヒトラのあぶりだしか?」
メグ「日本侵攻遅延の理由がこれだね」
作者「まあ、地盤を固めないと勝てるものもかてないから」
メグ「それにしてもエリーゼ司令って一途だね」
作者「まったくだ。 私ならとっくに...]
エリーゼ「とっくになんです?」
作者「あ、あのその拳銃DEでしょ? 像でも殺せるとか言われる」
エリーゼ「さようなら」
ドオオン
メグ「容赦ないですねエリーゼ司令」
エリーゼ「次回はドイツの内乱の話ですがヒトラーに勝ち目はありません」
メグ「まあ、呼んでましたしね」
エリーゼ「メグ、草薙の復活ポイントは?」
メグ「エリーゼ司令の斜め後ろです」
作者「よっしゃああ!ふっ・・・」
ズバアア
草薙剣で首を切り飛ばされて再び死亡