265話 未来日独艦隊決戦! 凛と日向の想い
夕日が水平線の彼方に消えるまで後30分もないだろう。
先程まで機動戦艦紀伊の甲板は生き残ったパイロット達を収容したりと慌ただしかったが今は戦闘配置のぴりぴりした状態ではあったが紀伊と大和が海を掻き分ける音以外は静かなものだった。
紀伊の艦魂、凛は機動戦艦同士の戦いで切り札となる46センチ速射砲の前で膝を抱えて座っていた。その視線の遥か先にはドイツ艦隊がいるはずだった。
「勝てるのかな……」
周りに誰もいないことを確認してから凛は呟いた。
航空戦は日本の惨敗だった。
戦闘機全滅。
生き残ったパイロットははった2人だけだった。
そのうち一人は今も意識不明だ。
凛は右の大和を見てから次に左を見た。そこには何もない海が広がるだけ……
「なんでいないのよ馬鹿明……」
本来ならそこには紀伊と並び尾張がいたはずだった。
しかし、尾張は沖縄を守るために出撃し壮絶な最後を迎えてしまった。
あの妹というより悪友のような少女はもういない。
大和が頼りないわけではない。
だが、凛は尾張と戦いたかった。
凛は顔を膝に埋めると潮風に髪を揺らしながら何かを呟き、肩を震わせた。
「このままですとドイツ艦隊との接触は深夜、明日になると予想されます」
紀伊のCICでは司令兼艦長の日向 恭介が参謀達と話をしているところであった。
「まあ、昔の艦隊決戦じゃないんだから深夜でもあまり代わらないがな。兵には交代で休むように……」
「もう出しています長官」
少しずれた眼鏡を上にあげながら古賀参謀長が言った。
「そうかならいいけど、もう一つの作業はどうなってるかな?」
「すでに80%は完了しています。どうにか夜には間に合うでしょう」
「できれば使いたくないがな……」
「仕方ありません。私は嫌いですが保険は必要です」
「ですが本当にあれは有効なのですか長官?」
参謀の一人が言った。
日向は戦闘配食のにぎりめしに手を延ばしながら
「まあ、どうなってんのかわからないから不安もあるがその時は日本の負けだな」
「そんな……」
参謀の一人が絶句したように言うと
「長官、仮にも長官が負けだなんて言わないで下さい」
日向は古賀を見てふっと笑うと
「事実を言ったまでさ。 日本の機動戦艦全てを失えばドイツに対抗できる戦力はもうないんだ。沖縄には戦闘機もあるし例のあれが出来て日本に侵攻してくるドイツ艦隊を撃ち破れる可能性は低い」
「ですが世界が一つになりドイツに対抗できれば……」
「烈空弾を持たない通常艦ではアイギスを破る方法は体当たりしかないが艦隊を組んでいるドイツ機動戦艦にできるとは思えない。結果、一方的な攻撃で艦隊は壊滅するだろうな」
「だからこそこの戦いは重要です」
古賀が言うと日向が付け加える。
「まあ、山本長官なら何かやってくれるかもしれないけどな」
そういうと日向は立ち上がった。
「古賀しばらく頼む」
「仮眠ですか長官?」
「まあな」
日向はそう言うとCICを後にした。
凛は立ち上がると左手に一降りの剣を出現させた。
連合艦隊旗艦の艦魂のみに受け継がれてきたものである。
凛の世界の太平洋戦争では長門や武蔵や大和といった艦魂達がこれを持って戦った。
次に凛は右手に槍を出現させる。
紅に染まったその槍は唯一の明の形見となってしまった。
「……」
槍をじっと見つめながら凛は槍を空に掲げドイツ艦隊がいる方に向かい振り下ろした。
ビュンと風を切る音と共に槍は水平を保ち止まった。
「やっぱりここにいたか凛」
「響介」
声に振り返ると
日向が何かを投げて遣した。
凛が慌てて受け取るが
「熱つ!」
ぽんぽんと空に軽く投げながら凛はそれが缶コーヒーであることに気づいた。
「コーヒーあんまり好きじゃない」
「ハハハ、まあそういうなよ」
日向は言いながら凛の横に座った。
「……」
凛はどうするべきか一瞬、悩んでから彼の隣に座った。
「綺麗だな」
「えっ?」
一瞬、自分のことを言われたのかと凛は慌てて日向を見るが彼が見ているのは沈んでいく太陽だった。
海面はオレンジ色に染まり、幻想的とも言える光景を作り出している。
間もなくここは闇の世界になるだろう。確かに凛も綺麗だと思った。
「うん……」
缶コーヒーを開けて口に持って行く凛。ミルクがたっぷり入った苦みが少ないコーヒーだった。
風で冷えた体には丁度いい暖かさだった。
「それで何しにきたの……」
凛はちびちびと缶コーヒーを飲みながら言う。
まともに彼の顔が見れない。
多少は緩和されたとは言え自分はずいぶんひどいことを言ったのだ。
それに彼は艦隊の司令だ。
こんな場所にくる程暇ではないはずだ。
「ん? ちょとさぼりだ」
「は? いいのさぼって」
「ハハハ、まあ古賀が怒るかもしれんが大丈夫大丈夫」
そういいながら日向はコーヒーを口に運ぶ。
「ちっ久しぶりにブラック飲んだがまずいな」
ブラックコーヒー好きが聞いたら激怒しそうなことを言いながら日向は缶を甲板に置いた。
日向は闇夜が近づいていく空を見上げながらつぶやいた。
「決戦だな……」
その言葉に凛も空を見上げながら短く答える。
「うん」
アメリカとの決着は連合艦隊がつけてくれる。
必ずつけてくれるはずだ。
この戦いでドイツ艦隊を撃ち破りヨーロッパに攻め込みイギリスを奪還し、ドイツを倒す。
それが紀伊と大和にとっての最高の未来だ。
「お前だから言うけど……」
「え?」
凛が響介を見ると彼は空を見上げながら言った。
「今はドイツ艦隊に勝てる気がしない。でも、だからといってあれを使っていいか分からない」
「……」
こんな弱気な発言をする日向を見たのは凛は初めてだった。この作戦の概要は聞かされている。
最後の手段は未来の日本の信念を折り曲げる作戦である。
だが、凛はそれが間違っているとは考えない。
この戦いはなんとしても勝たなければならないからだ。
だから、凛は言った。
「響介……私は勝ちたい。ここで負けるのは桜や未来の艦魂達全ての想いを踏みにじることになるから……勝ちたい」
「俺も負けるつもりはないさ。ただ、凛これだけは言っておく」
「何?」
凛は聞き返すと
「もし、仮にだ。紀伊が沈むことがあれば俺は退艦しないからな」
「……」
凛は何も答えられなかった。
しばらく、無言が続きやがて口を開いたのは凛だった。
「響介……私はあなたを信じてるから私の性能を最大に引き出して……」
証明してほしい。
紀伊は世界最強の機動戦艦であることを……
日向はふっと笑うと
「ああ、俺達は勝つさ」
「うん」
少し顔を赤くしながら凛は微笑んだ。
数時間後ついにその時はやって来た。
「ドイツ機動戦艦を発見!距離10万!4隻!」
兵の言葉が終わると日向と有賀は同時に命令を下す。
「主砲発射用意!総員に告ぐ!これはドイツと日本の最後の戦いである!各員奮闘努力せよ!」
「日本艦隊補足!バルムンク発射準備よし!」
縦一列に並んだ4隻の機動戦艦は両側から巨大な収納式の砲搭を日本艦隊に向けている。
バルムンクの最大射程は10万を越える。ワグネルは初撃で一艦を仕留めるつもりだった。
「目標大和! バルムンク撃てぇ!」
ワグネルが叫ぶと同時に撃つ一人である。
ネフィーリアがレイピアを空に掲げて侮蔑を含めた表情で
「まずはあなたからいただきましょう劣等戦艦大和」
キュイイイイイイイン
その音は一瞬、戦艦を艦首から艦尾まで貫く破壊力がある4艦計8発のバルムンクは大和に向け放たれる。
「今だ!」
有賀が叫ぶと同時に大和が僅かに原則する。
同時にバルムンクがアイギスに激突し火花を散らした。
「……」
有賀は冷や汗をかきながらそれを見ていたがやがてその火花は消えうせた。
「何!」
ワグネルが驚愕に叫んだと同時に彼方はぐっと左手を握りしめた。
「どんなもんよ!」
「すげえ! バルムンクを防いだのか!」
ドミニクが感心したように言うと彼方は機械をいじりながら言う。
「まあ、単純はしかけよ。ミサイルと違ってバルムンクはただの砲なんだから真っ直ぐにしか飛んでこない訳、だからアイギスのエネルギーを前方のみに集中して展開させた訳よ。結果はバルムンクを防げた訳」
「そうか、これを彼方ちゃん達は調整してたんだな」
「まあ、これでバルムンクは封じたから後は指揮次第ね」
むろん、それを見逃すはど日向は甘くない。
バルムンクは発射時間が多少かかるうえ、連射はできないことがわかっている。
「最大戦速! 」
日向と有賀が怒鳴る。
紀伊と大和は70ノットで突撃を開始した。
主砲の射程におさめるためである。
一方、ドイツ艦隊はバルムンクを防がれたことに多少な動揺を隠せなかった。
「わ、ワグネル長官」
「落ち着け、バルムンクが防がれたなら烈空弾の出番だ。 ラグナロクとグングニルは前に出る!他の2艦は後方でバルムンクを大和に集中させろ!」
ワグネルはこの状況でも冷静だった。
ラグナロクとグングニルは前に出る。
「劣等民族が生意気な」
グングニルの艦魂ネフィーリアは怒りをまといながら前に出る。
月の光が海を照らすこの海域で未来日本と未来ドイツの艦隊決戦の幕は開け放たれる。
作者「ついにこの時がきたか……」
ドミニク「紀伊・大和とドイツ艦隊の決戦だな」
作者「だらだらとこの2年2ヶ月続いてるから感激だ」
ドミニク「おいおい、2年って長いなおい」
作者「黒鉄先生や伊東先生といった先生が完結させていく中取り残された気分だ」
ドミニク「完結は何話だ?」
作者「1000話には納めたいが……」
ドミニク「もっと1話に文字を増やせよ」
作者「無理、まあ、私は素人だからね」
ドミニク「まあ、金もらってないんだから素人だよな」
作者「紀伊に金払う人はいないだろうから趣味の一貫かな」
ドミニク「完結させろよ作者」
作者「携帯失ったりネットつなげなくならない限り続けるさ」
ドミニク「ところで作者話はかわるがあの曲は聞いたのか?」
作者「うん聞いた。いい曲だね」
ドミニク「わかる人だけわかる話だな」
作者「ところでまた、話は代わるけど最近忙しいね」
京子「なんじゃ草薙忙しいのか?」
ドミニク「京子ちゃ!愛してるぜ!」
京子「たわけ!」
ドミニク「ぎゃあああああ!」
ズドオオオオオオン
作者「ああ!ドミニクがばらばらに」
京子「でどうなんじゃ?」
作者「まあ、忙しいかな。 車で居眠り運転の危機に陥るぐらいは」
京子「うむ……なにぃ!危ないじゃろうが!」
作者「ハッハッハ!大丈夫大丈夫、眠気覚ましのガムは常備してるしメガシャキもばっちりさ。もちろんリボビタンもあるよ」
京子「汝、死ぬかもしれんの……」
作者「うう……そうなったら紀伊は未完成で……読者のみなさん!更新が長くない時は草薙は死んで京子な物語は永遠にとま……」
京子「不吉なことを言うでない!」
作者「ぎゃあああああ!」
ズドオオオオオオン
京子「たわけが」




