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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
日米最終決戦幕開け
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第255話 柚子の死

金剛に被弾した場所は後部甲板つまり、ジェットエンジンが搭載されている場所だった。

炎は荒れ狂い兵たちが必死に消火活動を行うが火は留まるところを知らない。


「後部、ジェット推進停止! 進水発生!」


「現在出しうる速力12ノット! さらに下がります!」


「消火急げ!」


金剛級戦艦は最新鋭の大和級と違い注排水システムはついていない。

つまり大穴があいてしまえば高確率で沈むと言うことだ。

アイオワの主砲は金剛級より上、自身が持つ砲と同等なら防御が施されているがそれ以上だと防ぐ手段はない。


「艦長ここは・・・」


副長の言葉に伊集院艦長は決断せねばならなかった。

退艦か復旧の望みにかけるか・・・

自分が艦長を務める艦を失うことは最大の不名誉になる。

伊集院の中にあったのは艦を失うことの恐れだった。


「反転180度! 発光信号で撤退を知らせろ! それから復旧作業を急がせるんだ!」


「了解!」






速力の落ちた金剛を追いぬくように戦艦榛名・霧島が追い抜いていく。

こと、金剛が率いていた艦隊は速力が命である。

仮に戦艦の速力が落ちても高速は維持しなければならなかった。

旗艦を榛名に移行して戦闘は続行された。


しかし、榛名の艦魂翡翠、霧島の艦魂は金剛に転移して血の海に倒れる姉に駆け寄っていた。


「姉貴!」


「姉さん!」


2人は泣きそうになりながら軍刀を杖に立ち上がる姉に駆け寄る。

そして、2人を目にした金剛の艦魂柚子は怒りに満ちた目で2人を睨みつける。


「何をしている貴様ら! 持ち場に戻れ!」


ぼたぼたと血が甲板を赤く染めている。

誰の目から見ても致命傷だった。


「嫌!姉さん! 柚子姉さん!」


刹那は柚子の元に駆け寄ろうとしたがそれは柚子の軍刀の一振りにより遮られた。


「お前たちも日本海軍の艦魂なら務めを果たせ、私にかまうな」


柚子は立ち上がると米戦艦部隊の方に体を向ける。

2人に向けるその背にはこれ以上語ることはないという意思が感じられた。


「嫌! 柚子姉さん!」


刹那が泣き叫ぶようにして柚子に駆け寄ろうとするが翡翠がそれを止める。


「どうして!翡翠姉さん!」


「姉貴の思いを無駄にするんじゃねえ」


「そ・・・」


それ以上、刹那が語ることはなかった。

翡翠が強制的に金剛から転移で離れたのだ。

刹那は戻ってなお金剛に転移しようとしたがそれは柚子の意志により果たされなかった。

艦魂が相手の艦に転移する時はその艦の艦魂の意志が必要になる。


「・・・・・・行ったか」


柚子は気を抜けば意識を失いそうな激痛に耐えながら目を閉じた。

もはや、戦艦金剛は戦えない。

大破し速力の落ちた艦を敵は見逃さないだろう。

自分を守ろうとすれば他の艦隊が危険にさらされる。

三笠もアポクリファとの戦いで救う余裕はあるまい。


「ぐふ・・・」


柚子は口から血の塊を吐き出した。

艦は徐々に右に傾いていっている。

進水が始まっているのだ。


「何をしている伊集院・・・早く退艦命令をだせ・・・」


柚子は艦橋を見上るがその命令は出されそうになかった。








「敵戦艦に命中弾! 1隻が落伍しています」


「長官!」


参謀長の言葉にハルゼーは頷いた。


「全艦砲撃用意! 目標は落伍した日本の戦艦だ!」


「主砲発射準備よし!」


「ファイア!」


アメリカのアンドロメダ級を始めとする戦艦部隊が一斉に火を噴いた。

アンドロメダ級とモンタナ級は再び武蔵艦隊との戦いに戻るがすさまじい数の砲弾が金剛に向け放たれた。






「・・・」


柚子は敵艦隊が一斉に砲撃した発砲炎を確認した。

数分で周辺かあるいは自分に着弾するだろう。

旧式戦艦に対しては派手な歓迎だ。


「総員退艦!」


ここでようやく、伊集院は退艦命令を出した。

だが、遅すぎると柚子は思った。

そして、自分の死は他の艦隊に動揺を与えてしまうかも知れない。

ならば、自分が最後にすることは一つしかない。

柚子は軍刀を抜いた。







「金剛大破!」


「なんだと!」


山本は金剛の被弾の知らせを聞いてもそこまで動揺はしていない

残酷だが米艦隊の最終決戦で旧式戦艦である金剛級が喪失する可能性は決して低くなかったからだ。


「動揺するな、作戦は続行中だぞ」


「しかし・・・」


戦艦の破壊は確実に兵の士気にかかわる。


「て、敵艦隊に一斉に発砲炎! 狙いは・・・金剛!」


見ると敵艦隊が落伍した金剛に向け砲撃を開始している。

山本は胸に炎が宿るような怒りを覚えた。


「敵艦隊の先頭の艦に向け砲撃を再開させろ!」


武蔵・長門・陸奥を始めとする戦艦部隊が怒りがこもる砲撃を開始した。

無論、艦魂である桔梗達も怒りを込めて武具をふるう。


「貴様ら! よくも! 往生せえや!」


武蔵の艦魂桔梗が日本刀を振り下ろす。

46センチ砲が先頭の米戦艦に向けて発射された。

高速で動き回る武蔵艦隊に今のところ戦艦の撃沈はない。

桔梗は柚子の仇を討とうとただ、刀を振るう。








わずかな時間で兵たちが海に飛び込んでいく。

ぐずぐずしていては入れらない状況だった。

速力の落ちた戦艦など的でしかない。

そして、柚子はこの砲弾は自分を貫くと確信を持って理解していた。

柚子は血を失いがくがくと震える足で立ち上がり最後の大号令を出した。


「聞け!日本海軍の勇者たちよ!」







「柚子さん?」


「これは?」


日本海軍の艦魂達が頭に直接響くその声に耳を傾けた

柚子の言葉は続いた。


「わが肉体はまもなく滅ぶだが聞け! だが誓おう! 我が魂は英霊たちと共に魂となり貴様らを守ろう! わが肉体滅びても私はお前たちと戦い続ける!」


柚子の目に砲弾が見えてきた。

柚子は血に染まった顔に笑みを浮かべて言った。


「進め! 日本海軍勇者たち!そして、我が友達よ!」


戦艦金剛の右面に46センチ砲の3つ巨大な穴があいた。

その1発は火薬庫を直撃していた。

血まみれになっても炎の中で柚子は立ち続け、彼女の体は炎の中に消えていった。


(後は頼んだぞみんな・・・)


天が焦げるかのような大爆発を起こし、戦艦金剛は船体を真っ二つに引き裂き、日本より遠く離れたこの海域で爆沈した。

艦魂達の絶叫、刹那、翡翠の悲しみと怒りの怒号が空を切り裂いた。








花畑を柚子は静かに歩いていく。

無念ではある。

だが、柚子は信じた友達が日本救うことを信じている。

やがて、川が見えてきた。


「ああ、柚子? あんたも来たの? どう? 一杯やってく?」


すでに飲んでいたのだろう川の前の石にもたれかかるそのショートの髪の少女を見た柚子はふっと微笑んだ。


「そうだな・・・・・・久しぶりに飲むか明」



作者「柚子様・・・」


ドミニク「ついにあいつも逝ったか」


作者「おのれ米海軍!波動砲で粉砕してやる」


ドミニク「無理だろ」


作者「ちくしょう! なんて無力なんだ!」


ドミニク「とろこで明ちゃんだけどよ」


作者「どうやら彼女は成仏できていないような気が・・・・」


ドミニク「まあ、仕方ねえ・・・」


作者「ところで悲しい話があるんだ」


ドミニク「どうしたんだ?」


作者「柚子様と同じく私の家の犬が余命がこの夏一杯と医者に宣告されたんだ」


ドミンク「それは・・・」


作者「うん、少しだけ執筆速度に影響を与えるかもしない。何せ中学生の頃から10年以上の付き合いだし大切な家族だから」


ドミニク「作者・・・」


作者「読者の方も私の大切な家族が1日でも長く生きてくれることを祈ってあげてください」


ドミンク「俺は祈るぜ作者」


作者「うう・・・なんて暗い話が続くんだ・・・」






犬の話は実話です。

獣医に連れて行ったらガンと宣告されました。

彼は今の私の横で眠っています。

悲しいですねやはり別れは・・・

動物を飼っている読者の方は大切にしてあげてください。

私もこの家族に精一杯の愛情を注ぎこみたいと思っています。

それでは失礼いたします。

暗い話は嫌いなので彼がこの世を去るまで明るく後書きは次からは書いてきます。

では


2010年 7月8日 AM02:51

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