第250話 日米最終決戦―死闘第4次総力航空決戦
蒼龍の中隊長の一人、高畑が原子力空母に帰還不能という連絡を受けたのは米艦隊を間もなく補足できる空域でのことだった。
「蒼龍が?」
冷静な高畑ではあるがさすがにこの連絡は動揺を隠せない。
「隊長、我々の母艦が……」
部下の声を聞きながら高畑は部下に自分が動揺していることを悟られないように
「蒼龍と飛龍は浮いている。 三笠も健在だ」
「しかし……」
「これは、戦争だ。 被害のない戦闘など存在しない」
独立機動艦隊の兵士は圧倒的な戦力差でアメリカを圧倒してきたことから今回のような、ことにはあまりなれていない。
そこに、今回の油断があったのではないかと高畑は思っていた。
「隊長! このまま黙ってはいられません! 我々もドイツの空母を攻撃しましょう! 空母の仇を討つのです」
「駄目だ」
高畑は冷静に言い放った。
「なぜです? このまま一方的に殴られるのはあまりに悔しいじゃありませんか」
「……」
本音を言えば高畑もドイツ空母を撃沈してやりたいと言う気持ちはある。
だが、ドイツの空母はどれも情報では三笠や紀伊と同じ半無限のアイギスを備えているという。
あのアイギスを破るには烈空弾か51センチ砲零距離射撃、あるいは戦艦の突撃のわずか、3つしか方法はない。
ドイツの空母とアポクリファは日本の攻撃が始まる前に艦載機を上げて自身はアイギスを展開すると言う行動を取りづけていた。
これでは、攻撃は通らない。
「時は必ず来る。 俺たちはドイツの艦載機との戦いに集中するんだ」
「では、アメリカの空母を……」
「それは……」
このまま、一方的に殴られる状況では部下の精神面にも影響を与えかねない。
それに、毎回使うことのない神雷の対艦ミサイルには工夫がこなされている。
そして、この攻撃は最後の航空攻撃。
竜神は空母にダメージを与えられない。
ならば……
「いいだろう。 アメリカの空母の攻撃を許可する。 だが、忘れるな? 命令は戦艦を狙うことだ。 ほどほどにしろ」
「了解!」
嬉々とした言葉が返ってくる。
ザ・シンクがあろうとも神雷のミサイルは熱探知式ではない。
惑わされることはないはずだ。
(そう、この攻撃こそ最後の攻撃)
航空戦の明日はこないと高畑は読んでいた。
今夜突入するはずの艦隊決戦にこそこの勝敗はかけられている。
そのために航空攻撃はどうしても必要だった。
現状、戦艦の数、砲の数共に負けている。
1艦でも離脱させる必要があった。
この第4次攻撃隊は日米共に戦艦を中心に狙う予定だった。
ハルゼーも山本も艦隊決戦こそが最後の戦いになると読んでの行動だった。
アメリカ第4次攻撃隊は本土から来襲したB29を含めれば1200機という数だった。
これで、アメリカの航空機は打ち止めである。
そして、その攻撃隊にはハリー・ボーマンも同行していた。
「これでけりだジャップ」
「見えたぞ!」
隊長の言葉通り、前方から竜神が飛来してくるのが見えた。
「戦闘機隊は前に出ろ!」
「Attack on all fronts Good luck」
散開した竜神とまず、正対したのはボーマンの小隊だった。
だが、竜神すれ違いざまの一撃で小隊の僚機は撃墜されてしまった。
ボーマンを馬鹿にしていたパイロットだ。
「なかなか腕の立つパイロットだな」
ボーマンは思った。
竜神が引き返してくる。
ミサイルを温存したいのかミサイルを撃ってこない。
代わりに、機関砲が火を噴いた。
ボーマンは操縦根をまげてその射線から逃れると機首を上に向けて機銃を発射した。
竜神はなんなくそれを避ける。
一瞬、ボーマンは相手の顔を見た。
若いパイロットだ。
その竜神との戦いはそれで終わったがボーマンの目に絶好の的が見えた。
味方のヘルキャットとやり合っている竜神が絶好の射線にいたのだ。
「どれほど性能差があろうと!」
ロケット弾の発射ボタンを押しこむとボーマンの機体からロケット弾が発射された。
竜神はそれに気付いたのかどうかはわからないが距離も遠くなかったことからコクピットに直撃し、爆散して海に落ちて行った。
「ふん、皮肉なことだがこの戦闘機はすごい」
ボーマンの乗っている戦闘機はドイツからアメリカに渡された戦闘機である。
もちろん、シューティングスターよりも使い勝手がいいだけでずば抜けた性能を持っているわけではない。
それでも、ボーマンはこの機体が自分に渡ってきたことに感謝した。
愛称はフェニックス、そして、ノーズアートには友人に頼んで書いてもらった不死鳥、フェニックスが描かれている。
(俺はこいつで奴を落とす)
マーナガルム、そいつを必ず落とすことをボーマンは決めている。
今回は出来ないが敵対する空で必ず……
(ボブ ジョン アイシャ……俺はフェニックスでマーナガルムを落とす。 見ていてくれ)
新たな竜神を発見したボーマンはその鬼神のごとき動きで竜神と相対していく。
後の世界で撃墜王として名をはせた男の戦いであった。
高畑の目に空母を示す光点が飛び込んできた。
遠距離からのミサイルによる攻撃だ。
ドイツの妨害はない。
「攻撃開始!」
神雷・烈風からミサイルが発射された。
同じく、竜神からもミサイルが発射される。アメリカ軍はザ・シンクによる防御を試みたが竜神のミサイル以外はその炎を突き抜ける。
「っ!?」
驚くアメリカの艦魂達の一部に悲鳴がとどろいた。
あちこちで、艦船にミサイルが直撃したのである。
「やはりきたか……」
ハルゼーは思った。
「報告! 空母、マーズ サターン大破炎上中! その他護衛空母13隻が中破あるいは大破! 戦艦レクテル ハワイ インディアナ小破火災発生!」
すさまじい、攻撃だった。
爆音がとどろいている所を見ると被害はまだ、増えているのだろう。
「ついに日本軍の反撃が始まりました」
参謀長がさほど慌てていない様子で言った。
どうせ、空母はもうほとんどからっぽなのだ。
それに、航空機では大した戦果をあげていないことはハルゼー自身が承知している。
世界は機動戦艦により、航空機ではなく戦艦こそ海の王者と言う大艦巨砲主義に戻りつつある。
それに、ハルゼーもその大艦巨砲主義を信じていた。
「箱など好きなだけくれてやるさ」
戦艦は小破ということは、日本軍の誘導ロケット弾は重装甲には大したダメージを与えられないということだ。
だが、このまま、将兵が無駄死にするのを見ているのは忍びない。
「ドイツは何と言っている?」
「援護の航空機は飛んでいますがどうも迎撃には消極的です」
「だろうな」
ハルゼーは言った。
元々、ドイツは迎撃にはほとんど協力しないと言っているのだ。
飛ばしている戦闘機も最低限のものでしかない。
あの薄紫の膜の中で日米の殴り合いを見て楽しんでいるのだろう。
滑稽なことだとハルゼーは思った。
米ホワイトハウスではルーズベルトが報告を聞きニコニコ微笑んでいた。
「ついに忌々しい糞空母を破壊したのか長官」
「はい、ジャップの超巨大空母2隻を撃沈、2隻を大破させました。 さらに、正規空母1隻を撃沈、戦艦1隻を離脱させました」
「うんうん、素晴らしいじゃないか」
キングの言葉にルーズベルトは大変満足そうだった。
「やはり、ドイツは素晴らしいじゃないか長官」
「そうですね……」
キングはあいまいに答えた。
あまり、上機嫌の大統領の機嫌を損ねたくない。
ルーズベルトの上機嫌ぶりは異常だった。
これまで、ぼこぼこにやられてきた日本海軍を圧倒的に押している。
報告では太平洋艦隊はほぼ無傷で戦闘を続けているという。
キングにしても信じられない状況だった。
その時、ルーズベルト机の上の電話が鳴った。
「ん? ついに糞戦艦キイを撃沈したのかもしれんぞ長官」
戦況は逐一、ルーズベルトの電話に報告されることになっていたのだ。
上機嫌に電話をとった。
「私だ」
キングはさらににこにこするのかと思ったがルーズベルトの顔色が変わった。
みるみる真っ赤になっていく。
「ファック! ふざけるな! 13隻以上空母を1度に失っただと! ザ・シンクはどうした! 破壊されたのか!」
怒鳴り声が響く。
キングは逃げ出したい気分に駆られたルーズベルトが受話器を置いたので
「大統領?戦果は?」
しかし、ルーズベルトは手を握り膝に置きながら
「ジャップめ、黄色い糞猿め……」
ぶつぶつと何か言い始めた。
「……」
キングは電話に目をやりながら次の報告がいい報告であること祈った。
作者「ついに日本海軍の反撃!」
ドミニク「ドイツの迎撃が弱まったみたいだな」
作者「なぜだ?」
ドミニク「分からん、 だが日米は完全にドイツの手のひらで踊っているのは間違いない」
作者「うーむ……」
ドミニク「というかルーズベルトやばくねえか? 次の電話次第では発狂するんじゃねえか?」
作者「ありえなくもない」
ドミニク「ところで作者すげえじゃねえか! 2日連続で更新とか」
作者「フハハハ、まあこれが限界だから明日からまた、更新は不定期になるけどね」
ドミニク「フフフ、作者よ忘れてんじゃねえよこれまでのあらすじ書いた後についにあの企画じゃねえか」
作者「フフフ、忘れてないですとも250話突破記念を」
ドミニク「いやぁ、長かったな前回から250話に到達するまで1年近くかかったんじゃねえか?」
作者「まあ、基本忙しいからね」
ドミニク「にしても日米決戦長いな、ハワイ攻防戦は越えたぞ」
作者「あの戦いは海戦では日本が圧倒したからすぐに終わったけど今はね……」
ドミニク「まあ、それはそれとして企画ではぽろりとかいろいろなこと期待してるぜ作者!」
作者「フハハハ、任せたまえ!」
作者・ドミニク「ワハハハハハハハハ」
全艦魂「死ね!全人類の敵!」
作者・ドミニク「ギャハアアアアアアアアアアアアアアア」
ズドオオオオオオオオオオオオン
この下は私の愚痴のようなものですから不快な方は読まないようにしてください。
さて、たまには真面目に、何やら朝鮮半島がきな臭いですね……平和が一番ですが日本が国防を見直す事態を期待したいものです。
紀伊の歴史ではありませんが今のままでは未来に中国に負けるのは確実ですからね。
国内では民主党がまた、やらかしましたね……農家の人には心の底から気の毒に思います。
対応の遅さではある意味人災……
社民は我が故郷で大量殺戮に等しい自衛隊の派遣を遅延させ今回民主党は……
民主党に票を入れなくて本当によかったと私は思っています。
本当に心の底からそう思います……