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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
米太平洋艦隊大反撃
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第25話 第32軍司令の視察

桜に蒼龍による基地案内が行なわれているまさにその時、総司令室で日向 恭介は

先ほどから隙をうかがっていた。

誰の?それは古賀 美崎である。

彼女は今年三十路を迎えてはいるが見た目はそれなりに美人の部類に入る眼鏡美人である。

独立機動艦隊では優秀な日向の参謀として名を残しており部下の信頼も厚いのだが…

「長官、今日は逃がしませんよ。今日は第32軍の牛島 満司令官が来るんですから長官がいてくれないと私が困ります」

「いや、だってみんなは非番なのに…」

日向が言うとぴくっと古賀の額に怒りのマークが浮かんだ。

「私も非番がいいですね。ビーチに出て日焼けするんです」

「無理はしないほうがいいぞ?もう、三十路だろ?」

それは言ってはいけなかった。

古賀はますます怒りのマークを増やしながら自分の机のパソコンに目を向ける。

「ところでさ。大和乗組員の教育はどうなってるんだ?」

その一瞬の沈黙に耐え切れずに日向は古賀に話しかけた。

古賀は無言でパソコンからUSBを取り出すと日向に投げつけた。

「うわ!危な!」

それを受け取った日向はパソコンにつなぐとふむふむと閲覧しだした。

「うわ…こりゃ悲惨だな。艦長はまあ、いいとして参謀達もひどいな…

ハリアーのパイロットとシーホークのパイロットも…お!これはなかなか」

ちらりと古賀は日向の方を見た。

彼は今口元に笑みを浮かべながらデーターを閲覧しながらなにやらカチャカチャとパソコンを使っている。

何をと思って声をかけようとしたがやめた。

自分のパソコンへと向き直りしばらく集中する。

今古賀が悩んでいるのは大和の乗組員達のカリキュラムの作成だった。

多く時間を取ればいいというわけでもなくかといって少なくてもいけない。

実習は尾張か紀伊で行なわれることになっているので今洋上に出ている尾張では

大和に乗る乗組員が必死に訓練を行なっているはずであった。

問題は帰ってきた後のカリキュラムである。

「あの、長官」

しょうがない相談してみるかと古賀は顔を上げたのだが日向は消えていた。

ガタンと椅子を蹴倒すように古賀は立ち上がるとパソコンに駆け寄った。

電源はついてメッセージが書かれている。

『後は任せた』

「あの馬鹿長官!」

古賀が思わず叫ぶと追伸と書かれた部分があった。

その部分を読んでみると

『俺なりにカリキュラムメニューを作ってみたから参考にしてくれ』

そして、古賀がそのメニューを見ると完成度の高いカリキュラムメニューが書き込まれていた。

「長官…」

古賀は言った。

「こんなことで許すとでも?」

と口元を歪める古賀であった。

ちなみにこの後第32軍の牛島 満司令への対応の時間には日向は戻ってきていた。




元々海軍と陸軍は仲が悪い。それにこのところ海軍ばっかりが大活躍している状況で会ったので正直温厚な正確で知られている牛島 満中将も独立機動艦隊なる新組織を自らが指揮する部隊がいる沖縄に来た以上見定めるつもりだった。

防衛においての荒探しも忘れないつもりだった。


「独立機動艦隊司令長官日向 恭介特別大将です」

日向が敬礼して言うと牛島も敬礼を返した。

特別大将というのは臨時に設けられた階級であり陸軍には大将と同じくらいだと説明が

なされていた。

「第32軍司令官牛島 満中将です。失礼ですがずいぶんとお若い司令ですな」

牛島が言うと日向は

「よく言われます。ですが今は基地の案内をしましょう。三式戦車と五式戦車も後で

お渡しいたしますよ」

牛島がここに来た理由の一つはその戦車に興味があったからでもある。

その最新式の戦車は(この時代では最新鋭である)満州や他の部隊に優先的に回され

沖縄にはまだ、1両もない。

この基地には規模は小さいが戦車を作る工場もあるらしく三式戦車と五式戦車を1両ずつ

32軍に配備してくれるというのである。


案内にはヘリコプターが使われた。

牛島は始めその妙な乗り物に怪訝な顔で乗り込んだがやがてプロペラが回り飛び立った時には驚くと同時に興奮を隠し切れないでいた。

そして、飛行場から紀伊や他の空母がある基地まで来ると上空から下を指しながら牛島は

聞いて回った。

「あれはなんですかな?」

「あれはミサイルランチャーですね。陸上に配備されていますが100キロ以上離れた敵を

攻撃できる兵器です」

「ミサイルとはなんです?」

とこんな感じである。

牛島は新兵器が山のようにあるこの琉球基地をすごいと思う反面複雑な思いでいた。

元からある陸軍の飛行場にある飛行機はレシプロ機でも時代遅れとなりつつある『隼』が

中心である。

ところがこちらの独立機動艦隊所属の航空機はといえば新型のジェット戦闘機やヘリコプターといった新型が山のように存在する。

日向の話ではこの部隊は新兵器をテストする部隊でもあるということでそれで新兵器が多いのだという。

「我々にもミサイルという兵器を配備してもらえませんかな?」

と、日向に交渉を持ちかけたのである。

無論日向はこれを断った。

どうしてもほしいなら大本営に直接掛け合ってほしいと突っぱねたのだ。

もっとも大本営でもこのミサイルは量産に限度があることはそれとなく伝わっているので

うなずくことはないだろうが…


「いやはやすごい…」


牛島は先ほどからすごいを連発しながら歩いていた。

兵器もすごいが1番驚いたのは基地に女がいたことである。

初めて女を見かけたときは民間人が紛れ込んだのかと怒鳴りつけてやろうとしたのだが

その女はこちらを見つけると歩み寄ってきて牛島をちらりと見てから2人に敬礼すると

牛島に自己紹介した。

「雨宮 葵大佐です。空母蒼龍の艦長を務めています」

「か、艦長だと!?」

牛島は仰天した。

女が軍艦の艦長に…しかも空母と来たか。

海軍は軟弱になったものだと牛島は始め思ったが逆も考えてみた。

逆に陸軍が遅れているのではないかと…

「独立機動艦隊では男も女も関係ありません。実力重視なのです」

日向が説明する。

なるほどと牛島は思った。

優秀な人材なら男も女もないというわけか。

それにしてもこの日向という男にしろ雨宮という女といい若い。

日向にしても30代どころか20代かもしれない容姿であり雨宮に至っては10代ではないのかという印象を受ける。

本当に実力重視ならば相当な実力を持っているのだろう。

「では、日向長官、牛島中将、私はこれで失礼します」

「ああ、呼び止めて悪かったな」

日向が言うと葵は牛島に見えないように肩目をつぶってみせ

「いえ、では失礼いたします」

「うむ」

牛島もうなずいた。

雨宮が言ってしまうと牛島は次は工場を見学したいと日向に言った。

ミサイルも見てみたいし出来れば独立機動艦隊の艦船も見てみたいと言ったのである。今や牛島は当初の目的を忘れすっかりと新兵器の山に心奪われているのであった。




ところで蒼龍と桜だがその頃基地の北側にある運動場へと足を伸ばしていた。

ここは兵士が運動やトレーニングをする場所でそのトラックを走っている兵士達がいた。

別に強要されているわけでなくあくまで自主トレーニングで走っているのである。

「あれは本土から来てる『炎神』のパイロット達」

蒼龍が運動場を見ながら言った。

「炎神って確か…」

「炎神は俺達が乗る新型の戦闘機さ」

「え?」

桜が振り返るとそこには坊主頭のというより普通はみんなそうなのだが男が立っていた。

「民間人がこんなところで何をしてるんだ?見つかったらただじゃすまないぞ?」

「あ!私は紀伊の食堂で働いているものです!」

「紀伊の?ほぅ、女がいると聞いてたがやはり本当なんだな」

その男はふーんというように桜を見た。

思わず後ずさる桜

蒼龍がやる?と右手を軽く男に向けているので慌てて首を横に振った。

すると男は怪訝な顔で何してるんだと首をかしげた。

「あ!いえ、あの…あなたの名前は?」

慌てていたので桜は相手に名前を聞いてしまった。

逃げ出す気でいたのに…

男は俺かと言うと

「俺は加賀 隆平だ。階級は大尉で帝国の最新の戦闘機ハリアー3のパイロット候補生だ」

「ハリアーの?」

桜は目を丸くした。

ハリアーはこの時代では作れない2045年からの超戦闘機である。

大和に10機配備されるという話を聞いたがということは…

「おう。男の戦艦大和に乗ることが決まってる。あ!これは機密だからしゃべるんじゃないぞ?」

そういって加賀はにかりと笑った。

蒼龍が次に行こうと桜の服の後ろを引っ張る。

桜はうなずこうとして

「ところでその子は?まさか、その子も紀伊の食堂で働いてるなんて言うんじゃないだろうな?」

桜はびくりと跳ね上がった。

加賀という男は艦魂が見える?

蒼龍を見ると彼女も目を丸くして加賀を見ていたがやがて口元を軽く笑ませるとふっと姿を消した。桜にも見えなくなる。

「うわ!き、消えた!?」

加賀は仰天して辺りを見回した何がどうなってるんだと加賀はパニックに陥ったようだった。

桜はこれは天がくれた最後のチャンスだと思い全速力で駆け出した。

「あ!おい!」

加賀の声が後ろから聞こえたが追ってくることはなかった。

建物の角を曲がるとそこに蒼龍はいた。

「蒼龍ちゃん!」

桜が声をかけると蒼龍は桜を見て疲れたと建物に持たれかかってずるずると座り込んでしまった。

蒼龍に聞いてみると艦魂が見えるものから完全に姿を消すのはものすごく疲れるらしい。

置いていっていいと頑強に言う蒼龍に対して桜は駄目と言って蒼龍を背負って空母蒼龍へと向かうのだった。蒼龍は恥ずかしいのか顔を赤くしておりその途中で蒼龍は

「桜、真名読んでいい」

と言われて桜はうれしかった。

「うん、星菜ちゃん」

結局基地めぐりは半分も消化できなかった。

ところで小西だが彼は後で日向に笑い飛ばされ上官の森田兵曹には怒鳴りつけられた。

結局殴った犯人は分からないままだった。

ちなみに加賀大尉はといえばお化けを見たといって部下に内心笑われていたのであった。


星菜「第32軍って史実では…」


凛「ここでも歴史が変わってるみたいね…」


明「バタフライ効果の影響は思った以上に大きいみたいよ2人とも。これはもしかして…」


星菜「次回はドイツの話を…」


凛&明「また言われた!」



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