第247話 日米最終決戦―米海軍切り札竜を防ぐザ・シンク―!
(死ぬのか……)
敵の爆弾がさく裂する瞬間が非常にゆっくり見える。
人が死ぬ瞬間というのかこういうことか……
ハワイ沖で死にかけたあの感覚である。
しかし、艦橋より上空で何かにたたき落とされた爆弾は艦橋のガラスを破ったのにすぎなかったのである。
「被害を報告しろ!」
誰かが叫んだ。
「見張り員が全員戦死! 古村艦長戦死!」
「な、なんだと!?」
防空指揮所で指揮を取っていた武蔵の艦長が戦死。
艦の士気は副長にゆだねられることとなった。
「大丈夫か宇垣?」
山本が体をおこしながら言うと宇垣参謀長は腰を押さえながら
「私は大丈夫です」
よし、幸いなことに飛んできたガラスで軽傷を負ったものはいたが艦橋内にいた参謀たちは皆、無事のようだった。
指揮所も炎を浴びただけなので使用は可能だろう。
ヘルダイバーの爆弾を吹き飛ばしたのは村雨の速射砲である。
間一髪のところで艦橋の直撃は免れた。
「防空指揮所に上がります」
武蔵の副長がドアから出ていき衛生兵達が指揮所の遺体を運び出していく。
嫌なにおいがしたが硝煙の臭いで紛らわした。
今や、この戦場の海では死体など山ほど出ている状況だった。
一歩間違えればああなるのは自分だ。
山本は指揮を回復させるため指示を出し始めた。
「見えたぞ! 米艦隊だ!」
第1次攻撃隊の中隊長の言葉通り、編隊を組む日本の第1次攻撃隊は眼下に広がる大艦隊を目撃した。
竜神の積んでいるミサイルは熱探知式のミサイルである。
あれだけ、艦が密集していては狙った相手に当たるかは微妙なところだった。
ただ、魚雷と違いほぼ確実に当たるこの攻撃は有効なはずで駆逐艦1隻を減らすだけでも攻撃の意味はある。
「隊長! あの周りの船は何なんでしょう? 駆逐艦にしては砲すらつんでないなんて……魚雷艇ってわけでもなさそうですが……」
遠目だからはっきり見えないその500隻の謎の船はところどころに見受けられる。
だが、今ドイツの戦闘機が上がってきていないこの時こそ千載一遇のチャンスではないか。
「攻撃開始!」
迎撃のシューティングスターと戦う竜神を除いた竜神はそれぞれの位置から一斉にミサイルを発射した。
その数は80を越える
「来ました! 誘導ロケット弾です!」
兵が怒鳴ると同時にマスクを着けているハルゼーは怒鳴った。
「ザ・シンクーファイア!」
その声と同時に米艦隊の各所から一斉に巨大な炎が巻きあがった。
その炎は1000メートルまで達するとんでもないものであった。
「なんだ!? 被弾か!?」
竜神の日本兵が驚愕したように言った。
一斉に炎が巻きあがるその光景は壮観である。
そして、その炎は500隻の艦隊から巻き上げられていたのだ。
80のミサイルは突然の高温の出現で迷走し、あるものは高温を吐き続ける艦に命中し、あるものは空中の炎に反応してか明後日の方角に飛んで行ってしまう。
「馬鹿な……」
竜神の対艦ミサイルが無力とかした瞬間であった。
当然のことながら、第1次攻撃隊はさらに攻撃を仕掛けた。
しかし、結果は同じでザ・シンク―を搭載する艦にはあたるものの空母や戦艦にダメージを与えることは出来なかったのである。
その報告を聞いた山本は想定外の事態に驚愕した。
「炎を巻き上げる艦だと?」
「どうやら米軍は熱探知式のミサイルの弱点をついてきたようです長官。 攻撃を続けるなら独立機動艦隊の神雷や烈風のミサイルかあるいは、保険のために
積んできた天山と彗星による爆弾と魚雷しかありません。
竜神は上空警戒と護衛に専念させるのがいいかと」
「そうだな……」
いいながら、山本は米軍が全てこちらの先を読んでいると気付き始めていた。
(やはり、ドイツか……)
その頃、アポクリファ艦長、ステラはモニターを見ながら戦況の推移を見守っていた。
最低限の防御しか行わず、米軍への日本の攻撃は完全に無視を決め込んでいる。
「米軍もなかなかやるものですな艦長」
初老のアポクリファの参謀長が言うとステラは
「そろそろですね。 ユルゲン少佐達を引き揚げさせてください」
「アイマム」
状況に変化はない。
全ては、予定通りに進んでいる。
マーナガルムにより、日本の航空戦力を削り、攻撃を通させる。
「……」
ステラは腕時計を見た。
時刻はPM:12:23分、太陽が沈むまでに互いに第3次か第4次攻撃隊までが殴り合うことになる。
そして、日本軍が諦めないなら米軍は艦隊決戦に持ち込むはずだった。
そして、日本はおそらくこれを受ける。
そこで米海軍を撃滅し、違う場所で進んでいるあの作戦が成功すれば日米講和はなるだろう。
ドイツは日米講和を邪魔する気はない。
むしろ、手伝ってやっている状況にある。
ドイツの作戦目的はただ一つ、オペレーションエデンの完遂。
ドミニク「ザ・シンクー?」
作者「つい最近まで知らなかった平気なんですがとある先生に聞いてよし!と考えて出したわけです」
ドミニク「史実にあったのか?」
作者「はい、このザ・シンク―はイギリスで開発されて実際地上に少数実戦配備されたまあ、簡単に言えば巨大な超強力な火炎放射機です」
ドミニク「1000メートルまでとどくのかよ! ドイツに使ったのか?」
作者「実際はほとんど撃墜はなかったようで欠陥兵器だったんでしょうね」
ドミニク「それを作者はアメリカに渡らせてアメリカはそれに着目して装備したわけか」
作者「まあ、ザ・シンク―はどうやら恐ろしくマイナーな兵器らしく、知ってる人がほとんどいないのが現状です。 なんとWikipediaでも検索しても出てこないほどマイナーです」
ドミニク「まあ、ただの強力な火炎放射機だしな」
作者「まあ、それはそれとしてあの兵器、使ったら空気中の酸素が大変なことになるんだよな」
ドミニク「そういやハルゼーはマスク付けてたな」
作者「ちなみに500隻のザ・シンクー搭載の船はね。 使い捨て用でミサイルが迫ったらすぐに海に飛び込めるようにいろいろ工夫がされてるんだよ」
ドミニク「なんか、艦魂の特攻みたいで嫌な兵器だな……」
作者「あえて艦魂はかかなかったけど……いや、船魂かこの場合?」
ドミニク「しかし、見事に押されてるな日本海軍、どうすんだよ」
作者「ザ・シンクーが有効なのはあくまで熱探知のミサイルのみだけどまあ、ドイツがいるから神雷や烈風が攻撃参加するわけにはいかない……となると彗星や天山の攻撃……それと」
ドミニク「なるほど、夜戦の艦隊決戦か?」
作者「艦隊決戦に持ち込んでもはっきりいって日本海軍は不利だね。 レーダーの性能はいいけど問題は46センチ砲を持つアンドロメダ級戦艦、対して日本は武蔵しか46センチ砲搭載艦はない」
ドミニク「おい! やばすぎだろ!」
作者「まあ、正確にいうなら三笠は46センチ速射砲があるけどアポクリファが間違いなく阻止にかかるだろうね」
ドミニク「おいおい……」
作者「さて、明日でGWも終わりか……また、執筆できない日々が続きそうだよフフフ」
ドミニク「1週間に1回くらいはしろよ?」
作者「がんばるよ決戦は一気に書いてしまいたい思いがあるからってドミニク?」
フィリア「キャハハハハハ! 見つけたぁ!」
作者「ぎゃあああああああああああああああああああああ!」
ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン
ドミニク「ふぅやべやべぇ毎回吹き飛ばされてたまるかよ」
彼方「何をさぼってるのあんたは!」
ドミニク「げっ!彼方ちゃん」
彼方「やりなさい!」
凛「死んで」
ドミニク「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!」
ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン