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第228話 パーティーを開こう

闇夜の太平洋の海に浮かぶ機動戦艦は見ようによれば鯨に見えるかもしれない。ドイツ神聖帝国連合艦隊の所属となった機動戦艦グングニルと潜水空母アースガルドの二隻は敵の襲撃を受ける事なく静かに水上にその存在をさらけ出していた。









エレベーターの駆動音がし、銀色の機体が下りてくる。

エレベーターが止まると整備兵達が駆け寄り整備を始めた。


最後に着艦したフランカはマーナガルムから降りるとヘルメットを近くにいた兵に渡した。


「壊すんじゃないわよ?」


フランカは整備兵に一言言うと。


「少尉エドガー艦長がお待ちです。こちらに」


若い兵を見てフランカは無言で歩き出し、兵と格納庫から出て言った。


それを見届けてから整備兵達は新型の戦闘機を見上げた。


「おっかない女だったな」


機体を見ながら兵の一人が言う。


「そりゃそうだろ?マーナガルムといえば隊長のユルゲン大尉を除いて性格にかなり問題があるからな」


「じゃあなんでそんな奴らがパイロットなんだ?」


「おい、聞かれたら殺されるぞ! まあ、腕はヴェルナー少尉やフランカ少尉はいいからな。 機体の性能差もあるとはいえメッサーシュミット1000、 30機を3機で圧倒したらしい」

「本当かよ?メッサーシュミット1000といやぁ……」


整備兵達はグングニルの格納庫に並ぶ戦闘機に目を向ける。メッサーシュミット1000は現在のドイツ軍の未来の艦の主力戦闘機である。

多様性を求められるだけに垂直離陸機能を備えた万能戦闘機である。

性能も日本の神雷や烈風に引けをとらない性能を備えていた。

それを圧倒するということはかなりの腕が必要になる。


「しかし、そんな奴らが一体なんでこの艦に? 隣には空母型のアースガルドがいるんだからそっちに着艦したらいいのに」


「エドガー艦長が用があるらしい。まあ、エドガー艦長はこの艦隊の実質的な司令だからな」


「かなり大掛かりな作戦が始まる見たいだな。アースガルドと合流したんだから航空作戦かな?」


「分からんが噂では日本軍の拠点ハワイへ攻撃を仕掛けるらしい」


「本当かよ? あそこには大和や紀伊もいるんだろ? それに空母だっているはずだ。二隻じゃ流石にきついぜ」



「合流予定があるんじゃないのか?」


「あくまで噂だって」


「おらおまえらいつまでもしゃべってやがる! 整備は終わったのか!」


「!?」


上官に怒鳴り付けられ兵達が散っていく。

この時の整備兵達の会話は正しい部分もあったが間違っている部分もあったということは後に彼等は知ることとなる。










ユルゲンを始めとする3人はグングニル艦長エドガーに敬礼してから勧められたソファーに座った。


「まずは試作戦闘機のテストご苦労と言っておこうか」


カチャリと中指で眼鏡をかけ直しつつエドガーが言った。


「軽い仕事でしたよ。遊びと変わらない」


ヴェルナーはまるで近くに買い物にでも言ったような口調で言った。


「てかさぁ、あの無人戦闘機必要な訳? 」


「フランカ」


ユルゲンが上官の前だと嗜めるように言った。


「はいはい」


フランカはめんどくさそうに出されたミネラルウォーターを口に運ぶ


「すみませんエドガー艦長、部下の非礼をお詫びします」


「いやいや、構わんよ。 私は無能な者は大嫌いだが有能な者は大好きだ。 この程度の非礼などなんとも思わんよ」


「ありがとうございます」


ユルゲンが言う。


「ところで君達は今後どうするんだ?」

「ワシントンの任務完了後は太平洋艦隊に合流し、追加の命令があるまで待機しろと言われています」


「私がその命令を出す立場だな。本国から君達に対する命令は来ていないが我が艦隊はある作戦を開始する君達も参加して貰えるかな? もちろん、体調を優先して断ってくれても結構だ。 マーナガルムと君達は我が国の宝だからな」


「その作戦とは?」


ヴェルナーは黙って紙をユルゲンに渡した。


「見てみたまえ」


ユルゲンが紙に目を落とすとヴェルナーとフランカも覗き込むように紙を見る。


「おいおい、こりゃ……」


「まじ? ぞくぞくする作戦じゃんこれ」


ヴェルナーとフランカが嬉しそうに言った。

ユルゲンはしばらく紙を見つめていたが顔をあげた。


「エドガー艦長、二人はやる気のようです。 この作戦に参加させてください」


「もちろん歓迎するよ。 ただ、この作戦開始時刻は明日だ。しっかり体を休めておいてくれ」


エドガーは言いながらマグカップに入れられたコーヒーを口に運ぶのだった。












独立機動艦隊司令長官日向 恭介は紀伊艦内の様子を見て回っていたCICや格納庫などを回った後参謀長の古賀から通信が入ったが居留守を使った。

古賀はもちろん怒り狂い自分を探してるだろうがCICの兵には口裏を合わせるように頼んである。CICの協力なしにこの巨大な艦から人逃げ回る一人を探すのは容易なことではない。

従って日向は今、艦内の機関室、つまり、核融合炉が置かれている艦の心臓部に向かい廊下を歩いていた。

途中何人かの兵とすれ違うがいずれも苦笑いしながら敬礼したり古賀参謀が探してましたよと言ってくる。


日向はいいんだよといいながら廊下を歩く。


「ん?」


そんな時、ふと日向は足を止めた。

声がしたような気がしたのだ。

しかも、女の声だ。

「……」


周りを見渡しても廊下が続くだけで耳をすましてもわずかに機械の駆動音がするだけで静かだった。何となく古い日本の映画に出てくる髪の長い女が床をはいながら廊下の先から出てくるんじゃないかと日向は想像してしまい苦笑いしながら声のした方に歩きだす。

そして、声の主は廊下を曲がった場所にい。

うずくまり壁の方を見てぶつぶつ何か言っている。

知っている艦魂だったので日向はにやりとして彼女の後ろに立った。

しかし、彼女が日向に気づいた様子はない。


「どうせ私なんか……どうせ私なんかうざいんです……私なんか……」


何やら言っているが日向は迷わなかった。

息を吸うと一気に吐き出す。


「よう!」


バンと艦魂の肩を叩いた瞬間


「きゃあああああああ!」


空に飛ぶんじゃないかというほど彼女は飛び上がり慌ててこちらを振り向いた。


「な、ななな……何事ですか……って日向長官」


「よう、刹那どうかしたのか?珍しいなこんな所で」


「びっくりしましたよぅ……」


よほど驚いたのか涙目で刹那は言った。


(うーむ、柚子あたりにばれたら決闘を挑まれそうだ)


日向は金剛の艦魂柚子を思い浮かべて言った。

ちなみに刹那は戦艦霧島の艦魂

さらに詳しく言えば刹那は4姉妹の1番下で上から戦艦金剛、戦艦比叡、戦艦榛名、戦艦霧島と続く。


「ハハハ、悪い悪い。 つい脅かしたくてな」


「もう……」


「で?なんで紀伊に?」


「は、はい……あ……」


思い出したくないことを思い出したのだろう。

再び刹那はズーンと落ち込んでしまう。

「おーい、刹那ぁ?」


「うう……日向長官……私って凛に嫌われてるんでしょうか?」


なるほどなと頭の回転の早い日向は納得した。

どうやらあの凛に声をかけてこっぴどく拒絶されたらしい。


「そうだな……」


日向 恭介は少し考え込んでからポンと手を叩いた。


「よし、パーティーを開こう」


「え?」


突然何を言い出すのだと刹那はア然として彼を見ていたが彼の行動は高速を越えて神速である。


「そうそう、艦魂達には伝えといてくれ……え? 柚子や鈴が怒る? 大丈夫大丈夫決戦前に兵の士気を高めるとか適当に言い訳してくれよ」


耳につけた通信機越しに恭介は誰かに連絡をとっているようだ。

一瞬関西弁が聞こえたので武蔵の艦魂桔梗なのかもしれない。

次に恭介は再び通信機をいじくり誰かに連絡している。


「……てわけて今夜その場所使わせてくれ」


通信機から怒鳴り声と宥めるような声が聞こえてくる。

確か、天城 彼方特別中将と神崎 凪中尉のものだ。


「さて、場所も確保したし……」


再び通信機する長官を見ながら刹那は再び


「あ、あの……」


「ん?」


恭介は通信をやめて刹那を見る。

悪巧みを考えた少年のような笑み


「パーティーって……何が目的なんですか?」


恭介は通信機のボタンをいじくりながら説明してくれた。


「ま、決戦前に宴をするのは日本海軍の艦魂達の常識だからな。 とりあえずそれに合わせてあいつの誕生日も祝おうと思ってる」


「誕生日?」


「昭和だから実際は生まれてないようなもんだが4月3日つまり明日は凛の誕生日なんだよ」


「!?」


刹那の目が大きく見開かれ、それは笑みに変わった。












余談だが刹那がプレゼントを探すと消えた後、恭介は古賀に今日の晩は俺不在と言ったが意外にあっさりとゆっくり休んでくださいと許可が出た。

その背景には遊んでいるように見えて裏で動き回っていた恭介を見た上での古賀の判断だった。


もっとも恭介は断られてもパーティーに出席する予定であったのは言うまでもない。


作者「いわゆるお約束みたいなもんですよ」


星菜「何が?」


作者「艦魂達が大きな戦いの前に宴をすることです。まあ、こちらは近未来の艦魂がいますからパーティーですけどね」


星菜「楽しい?」


作者「うーむ、このパーティーって考え方によっては大変なんですよね……何が大変かは残念ながら言えませんがわかる人にはああ、なるほどとわかるはずです。特に、同じようにパーティーをした先生方は……」


星菜「……」


作者「それにしても活動報告してから一気に書き上げてしまいました。 アハハ!明日も仕事なのに馬鹿だぁ私」


星菜「……アホ」


作者「ぬう……否定できん」


星菜「早く寝ないと事故を起こす……」


作者「大丈夫! 今期のアニソンを焼いて入れたCDをガンガンにかけて出社するから!」


星菜「路上?」


作者「いや、車」


星菜「車持ってるの以外……」


作者「私はスバル派なのですよ。 トヨタやホンダなんか興味なし」


星菜「誰も聞いてない……」


作者「フフフ……しかし、ガソリン車も締め付けがひどくなってくんだろうなぁ……新車でローンがあるのに……」


星菜「電気自動車?」


作者「やだ! 見た目格好悪いから」


星菜「贅沢……」


作者「なんとでも言え。 活動記録で言った風邪の菌を移してやるゴホンゴホン!」


星菜「死ね……ダニ」


作者「ペペロンチーノ!」


ズドオオオオオオン

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