第22話 脅威の未来戦艦
黒煙の中に飲み込まれる直前の紀伊の中では以下のことが起きていた。
アメリカ航空機の攻撃が飛び込んでくる。
「今だ!バリアを張れ!」
日向が怒鳴った。
閃光が弾けるようにして辺りを覆うと轟音が当たりに轟く。
敵の攻撃が一斉に炸裂した音だった。
ただし、爆発したのは紀伊に当たる直前でありその衝撃が紀伊に届くことはなかった。
悲鳴を上げた航空参謀の木下が照れ隠しのようにして日向を見た。
古賀もほっとして日向を見ながら
「どうやら成功のようですね」
「だから大丈夫だって言っただろ?」
このバリアは核融合炉の有り余るエネルギーから生み出すものだった。
未来日本でも日本のみが実用化に成功したものである。
ただし、未来日本戦いで使われることはなかったが…
日向は腕時計を見ながら
「時間だ。バリア解除!攻撃を再開しろ!」
紀伊を覆っていた紫色のバリアがスゥーと消えると再び紀伊のミサイルランチャーから
ミサイルが放たれた。
そして、1機のグラマンを消し飛ばした。
以上が紀伊の中で行なわれた行動である。
その結果はアメリカ軍を動揺させる結果に繋がった。
統率の取れなくなった軍隊ほどもろいものはない。
ステルス戦闘機『神雷』は今回はステルスを優先しウェポンベイのみのミサイルで
グラマンを始めとしたアメリカ航空隊に襲い掛かった。
250機の神雷が一斉にミサイルを放つ。
浮き足立っていたものも多かったが迎え撃ったグラマンもいた。
しかし、そのグラマンは全てミサイルに消し飛ばされた。
グラマンのパイロット達は思っただろう。
なぜチャフが効かないと。
理由は簡単である。
今回紀伊に搭載されていた艦対空ミサイルは全て沖縄で作られた初期生産のミサイルであり簡単な実験はすでに済んでいたが実験を兼ねて今回実戦に使ってみた。
結果はチャフさえなければ合格だったわけだが電子防壁は今沖縄の工場で作られている
ミサイルには取り付けられている。
従ってここさえ離脱すれば実験としては成功ということになる。
付け加えて置くなら今、援護に来た『神雷』の空対空ミサイルは全て2045年で作られたミサイルで当然電子防壁も存在するのである。
従って100発100中である。
ただでさえ浮き足立っていたアメリカ軍の航空隊は大混乱に陥った。
簡単に言うなら総崩れである。
神雷は情け容赦なくミサイルを放ち続けついには機体を捨てて飛び降りるパイロットも
いる始末だった。
それほどまでにミサイルの恐怖が大きかったといえる。
「最大戦速!一気にこの海域を突破する!日本に帰るぞ!」
日向が言うと同時に紀伊がグンと加速した。
70ノットの超速度である。
アメリカ航空隊が追おうとするが神雷にブロックされる。
やがて紀伊は見えなくなり航空隊に帰還命令が出た頃には
航空機の数は500を切るという大敗北となっていた。
海面では脱出したパイロット達が駆逐艦に救助されている。
紀伊と神雷は攻撃してくる駆逐艦は容赦なく破壊したが救助に走る駆逐艦には
攻撃を仕掛けなかった。
それがアメリカのパイロット達を多く救うという結果に繋がったのだがそれを聞いた
太平洋艦隊司令長官チェスター=二ミッツはおかしいと思っていた。
何がおかしいのかは自分でも分からない。
しかし、あの戦艦はこれまでの日本軍とは何かが違うと二ミッツは思ったのだ。
「いずれにせよ1度大統領に会うこととなるだろうな。あるいは解任されるか…」
二ミッツは総司令室で静かに目を閉じて思った。
この時点でアメリカ太平洋艦隊は一時的にだが再び壊滅したのである。
艦隊の指揮を取ったハルゼー、スプルーアンス両名は真珠湾に命からがら
逃げ帰りスプルーアンスは怪我をして入院した。
艦船の被害も莫大である。
被害は次の通りである。
空母 45隻 撃沈あるいは鹵獲
戦艦 16隻 撃沈
航空機 5900機喪失、ただし、パイロットの生存率は高い
重巡、駆逐艦、軽巡、潜水艦 詳細はまだ不明だが多数が破壊。
真珠湾基地 燃料タンク、造船設備の完全破壊。滑走路は無傷
一方これだけの犠牲を払っておきながらアメリカ軍が日本に与えた損害らしい損害といえば戦艦山城の撃沈とその他の戦艦の小破。そして、武蔵の中破、そして、神雷を2機落としたぐらいである。
犠牲に見合わないどころか歴史的大敗北である。
その報告を聞いたルーズベルト大統領が放った第1声が
「なんという悲劇だ」
だったという…
一方日本だがこの歴史的大勝利に国民は大喜びした。
中でも新聞に踊った戦艦の名である。
『武蔵』、『紀伊』、『尾張』の3戦艦の名が一気に国民に知られた瞬間でもあった。
無論未来から来た戦艦ということは伏せられているが
日本を守る守護神として後に大和と並び日本民族の心に深く刻まれることとなる。
いずれにせよ日本は勝った。
アメリカはこの大敗北で守りに入るだろう。
準備が整えば日本は攻勢に出ることになる。
ハワイを取りアメリカに休戦を迫るのである。
ハワイ攻防戦こそが日本の命運をかけた戦いとなることは間違いないのであった。
凛「雑魚!撃破!」
明「その雑魚にいいように攻撃を受けてたあなたがよく言うわね」
凛「うるさい!この2重人格!」
明「ふん、いまさらそんなこと言われたって…」
凛「泣き虫!シスコン!」
明「なっ!」
↑
真っ赤になる。
凛「私が死んだって大泣きしたのよね♪」
明「ま、まさか!浩介が言ったの!?…いやああああああ!」
↑
悲鳴を上げて走り去る。
凛「このところ私の連勝ね。さてと作者はよみがえったかしら?」
作者「もちろん私は不死身です!」
凛「生きてたか…」
作者「それはまあ置いておいて実は作者に対するあるメッセージがありまして実は返信できないんですよね〜。それでこの場を借りてありがとうございますといっておきます」
凛「はぁ?誰に対するお礼とか何に対するとか言いなさいよ?」
作者「いえません!殺されても言えません!」
凛「なら!死になさい!」
作者「だ、だから核ミサイルは!ぎゃああああああああああああああああ」
ズドオオオオオオオオオオン
凛「というわけで次はルーズベルト大統領とキング長官の話みたい。意見と感想もお待ちしておりますと」




