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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
ヴァルキュリア作戦
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第219話 まどろみの中で

機動戦艦の艦長たちの会議が終わり、それぞれの艦長たちが各々の手段でフリードリッヒ・デア・グロッセを離れたその夜。

フリードリッヒ・デア・グロッセはフランス最大の軍港であるブレストの港にあった。

重要な人物が集まるためフリードリッヒ・デア・グロッセの警戒態勢が最大であった

頃と違い、静かな夜である。

オペレーション『エデン』作戦開始までは時間的な余裕がある。

完全に国内を固める必要もあるし、国内の国民とドイツの兵士達の信頼を得る必要もあった。

そのため、明日、ラジオによる演説と同時にベルリンにいる国防軍の兵士達の前でゲーリングが総統就任の挨拶をすることとなっていた。

現在、ゲーリングがいるベルホーフからベルリンまではジェット機を使えばわずかな時間で住むため今も彼はベルホーフでくつろいでいるのだろう。


フリードリッヒ・デア・グロッセは現存する機動戦艦の中では最強の戦艦であることに間違いない。

世界が恐怖するカイザー艦隊の頂点に君臨する艦なのである。

なのだが……


(どうしよう……迷った)


ユダヤ人の少女、ヘレン・ヴァイスは心の中で思った。

巨大戦艦で迷うのは万国共通なのか……

ヘレンはフリードリッヒ・デア・グロッセ、正確にはフレドリクに保護されてから1週間近く経過したが今だ、この巨大戦艦の内部にはなれない。

民間人がフリードリッヒ・デア・グロッセ内部を歩くには問題があるとエリーゼが主張したためへレンはフレドリク直属の従兵という形になっている。

階級はない。

あくまで便宜上の措置であるからだ。

とはいえ、ヘレンはこの数日、仕事はしていない。

表向きはフレドリクの従兵だが正確にはエリーゼの従兵と言う方が正しかった。

フレドリクは国内や国外を飛び回ることが多かったため。ヘレンを連れて回ることが

出来ないからだ。

ヒトラーが生死不明となった後も、ゲーリングはユダヤ人を解放しなかった。

そのため、ユダヤ人である彼女はフリードリッヒ・デア・グロッセを出ることは適わないのである。

無論、フレドリクはユダヤ人を解放するようにゲーリングに言ったが彼の返答はこうだった。


「ドイツ国民や兵士の憎しみや快楽を向ける相手やストレスを発散させる相手が必要だ。

そのため、ユダヤ人狩りは実に都合がいいのだよ。ドイツが世界を制覇したらやめればい」


重大な約束違反であったが、その時、フレドリクの言葉は「そうか……」の一言だけであった。

そのため、今、この瞬間もユダヤ人は収容所の中で死の恐怖と戦っているのである。


(私は恵まれてるんだ……)


艦内を歩きながらヘレンは思った。

ヘレンもつらい思いはたくさんしてきている。

父を殺され、母を殺され、親戚の友人の家に身を寄せ、最後にブレストの親切なフランス人の家の屋根裏部屋に厄介になっていたがついに見つかってしまった。

あのフランス人の優しい夫婦が無事か気になってエリーゼに尋ねたら一瞬、目をヘレンに向けてからパソコンに意識を集中。

あきらめていたら、次の日いきなりエリーゼは夫婦の無事を知らせてくれた。

収容所にも連れて行かれていないらしい。

そして、一言


「ユダヤ人については時間が解決してくれます」

と言っていた。


わざわざ調べてくれたらしいエリーゼに礼を言うとエリーゼは無表情だが少しだけ顔を赤くしてついでに調べただけですと言って消えてしまった。

その瞬間から、ヘレンはエリーゼという少女の一面を知った。

そっけないがその、本質はきっと優しいのだと……

フレドリクのことが大好きな1人の女の子なのだと……

仲良くなりたいとヘレンは思う。

そのため、暇さえあればエリーゼと話そうと努力するヘレンであり、この迷っているのも

エリーゼを探していたために起こってしまった不幸な出来事であった。


(うう……私って不幸)


消灯時間が近いためかフリードリッヒ・デア・グロッセのドイツ兵の姿は少ない。

そもそも、機動戦艦というのは機械化が進んでいるため昭和の戦艦ほど人員を必要としない。

そのため、この時間にあると道を聞こうにも人とすれ違うことがない。

もちろん、部屋のドアを開ければ誰かいるかもしれないがそれはしたくなかった。

なぜなら、ヘレンはフレドリクが保護したユダヤ人ということで艦内でもかなりの有名人になってしまっていた。

初めて、彼女を見た人は必ずああ、あんたかと好奇の目で見てくるのだ。

階級が上であるはずの士官ですら敬礼してくる。

この艦内でのフレドリクへの信頼度の表れであろうがヘレンには少しつらい部分でもあった。


「どこにいるんですかフリードさん!」


真名を許されていないヘレンはエリーゼのもう一つの名前の愛称を叫び

歩きつかれて壁にヘレンは持たれかかる。

もしかしたら、自分は方向音痴なのかもしれないと自分の内面に新たな発見をしていた時


「どうかしましたか?」


ヘレンが声をした方を見ると自分と同じぐらいの年代の少女が立っていた。

黒いシャツに大き目の黒いズボン。

カイザー艦隊全般の兵士がトレーニングや就寝の際に使用している服装であった。

長い金髪ポニーテールにし後ろに流している綺麗な少女だ。


「……」


「あの……」


へレンがその少女の美貌に見とれていると少女が声をかけてきた。


「あ、いえ人……艦魂を探してて」


ヘレンは慌てて言うが同時にしまったと思った。

艦魂という存在を見れるものは限られている。

少なくても見れる人間はそう多くはないと教えてもらったのである。

艦魂が見えないものに艦魂という固有名詞は通じない。

むしろ、変な目で見られるのが落ちだ。


「すみません! なんでも……」


「艦魂ですか? フリードリッヒ・デア・グロッセ?」


「……ないです……え?」


へレンが間抜けに聞き返すと少女は右手で髪を上げながら


「艦魂ですよね? エリーゼさんなら多分右舷か左舷甲板だと思います? 場所分ります?」


「い、いえ」


へレンが慌てて首を横に振ると少女は微笑んだ。


「いいですよ。ついてきてください。潮風に当たるために甲板には上がるつもりでしたから」


「は、はい!」


少女の言葉には逆らえない感じがあった。

ヘレンは少女に並んで歩き始める。


(女性の兵隊の人かな?)


そう思いながら歩いていると少女の髪がわずかにぬれているのに気がついた。

シャワーを浴びた後なのかも知れない。

潮風に当たるためというのは涼みに行くという意味かもしれない。


「ありがとうございます。えっと……」


「ステラ・ツヴァイクです。あなたの名前は?」


「へ、ヘレンです! ヘレン・ヴァイス」


「そうですか。よろしくお願いしますヘレンさん」


「よろしくお願いします」


こうして、ヘレンは2人目の世界最強クラスの機動戦艦の艦長と知り合いになった。















その頃、エリーゼはといえばステラの言うとおり右舷甲板にあった。

空を見上げれば少し欠けた月が見え、目線を落とせばブレストの町の光が見える。

灯火管制などはされていない。

空爆する最大の脅威であったイギリス本島のグレートブリテン島は陥落し、アメリカもまた、ドイツに爆撃するだけの航空機を持ってはいない。

唯一、機動部隊艦載機のみがドイツに空爆する手段であるが、それを成すにはヨーロッパ各地に張り巡らされているレーダーの警戒を抜けねばならず。

少なくても現在のアメリカの技術力では天がひっくり返っても打撃を与えることは不可能だった。

いや、アメリカ艦隊全艦隊を犠牲にすれば一撃は可能かも知れないが現実的ではないのである。


「……」


エリーゼは静かに目を閉じている。

最近、あまり寝ていないので正直眠い。

まぶたを閉じればひんやりと心地いい。

このまま、眠ってしまいたかったがやることは多い。

世界統一を目指すドイツ艦隊のトップの艦魂ともなればやることは多い。

人間の軍人達も忙しいが艦魂をまとめるというのもまた、難しい。

特に鹵獲艦の艦魂は反抗的な艦魂が多くサラのように隙あらば襲い掛かってくる艦魂もいる。

無論、刺されたり切られたりしても艦魂なので死にはしないが痛みはあるので気絶ぐらいはする。

それに、痛いのは誰だって嫌である。

しかし、そこはドイツ艦隊のトップの艦魂である。

武芸に関してはトップクラスの実力を持っている。

しかし、強いといっても睡眠欲には勝てない。

それは、全世界共通でありエリーゼとて例外ではなかった。


(いけません……眠ったら……まだ……そろそろも戻って仕事を……)


甲板の壁にもたれかかりエリーゼの意識は急速に消えていった。












「……ーゼ」


(眠い……)


「…リーゼ……」


誰かが呼んでいる?


「エリーゼったら!」


(眠いです……)


エリーゼが静かに目を開けるとそこにいたのはあのヘレンとよく似た女性であった。

長い金髪に青い瞳、少し儚い感じのするその少女を見てエリーゼは捨てたはずの表情が驚愕で目が丸くなる。


「っな……! シンシア? なぜあなたが!?」


「あなた?」


女性はおかしそうに笑った。


「あなたって何、エリーゼ? 寝ぼけてる?」


辺りを見回すとどこかの家のようだった。

先ほどまでフリードリッヒ・デア。グロッセにいたはずである。


(ここはもしかして……)


見覚えはあった。

タイムスリップする前に住んでいた家だ。

エリーゼは混乱した。

しかし、その混乱はなぜ、自分がここにいるというよりは目の前の女性にあった。

なぜなら、目の前のいる女性はもうこの世のどこにもいない人だから……


「シンシア……」


その名を呆然ろエリーゼはつぶやくと女性は再び不思議そうな顔で言う。


「何? エリーゼ?」


「なんでも……ない……よ。シンシア」


昔の口調でエリーゼは涙を流してその名を呼んだ。

彼女はシンシア、フレドリクの妻であり、エリーゼがフレドリクと同じくらい好きだった

人だった。




作者「なろほど、進路はこうとって敵艦隊の目を欺くか……すると……」


京子「何をしておる草薙?」


作者「ん? また、試験海域に突入するからその対策を」


京子「またか? 懲りぬ男じゃ」


作者「どういう意味ですか!」


京子「どうせ落ちる試験なぞ受けんでいい。時間の無駄じゃ」


作者「そうは行かない!次こそあのエリーゼ率いる悪魔の艦隊を打ち破って合格本島に突入する」


京子「1度目は確かに前線したようジャが2度目の突入は合格本島すら見えんかったではないか」


作者「まあ、いろいろあって支援艦隊の支援がなかったのも大きいですが……」


京子「物資援助(応援)はあったんじゃろ? 有効につかわんからじゃ」


作者「いや……質の前に物量は無力だよ」


京子「アメリカはそれで史実では皇国に勝ったんではないのか?」


作者「いいかですか京子様? あなたが日向一隻を指揮しているとしますよ?」


京子「うむ?」


作者「地球破壊爆弾を持つ敵に勝てますか?」


京子「そ、それは極論じゃろ!」


作者「まあ、そういういうことです」


京子「つまりは絶望的過ぎるということじゃな」


作者「ハハハ……」


京子「本当になんで受けるんじゃろうな」


作者「あの試験は私がかつて夢見た職業の扉なのさ」


京子「ほう」


作者「夢を終えるのは限界がある! 就職している会社を保険にして試験は受けるのさ」


京子「保険じゃと?」


作者「簡単なことです。試験に落ちても就職しているから無職にはならないということですな」


京子「ほう、汝の更新速度が落ちてきた理由がそこにあるか」


作者「いや、まあ紀伊もこの先はいろいろと複雑になるから更新速度の低下はその影響もある。

まあ、何よりの理由は忙しいんですよ」


京子「どのように忙しいんじゃ?」


作者「なんだよ新しい新人……いつまでもアルバイト感覚でいやがって……何が「僕新人ですから」だ……社会人をなめるんじゃねえ……」


京子「く、草薙、黒いオーラーが出ておるぞ」


作者「はっ! いやいやなんでもないです本当に」


京子「そ、そうか?ならよいんじゃが……」


作者「ハハハ、さて世間では終戦の日ですね」


京子「1日過ぎておるがな」


作者「きちんと黙祷を捧げました」


京子「そういえば汝の世界の首相、靖国に参らんかったそうじゃな」


作者「ああ、どうせ中国や韓国を刺激したくないんでしょ?」


京子「A級戦犯が祭られておるからか? 死者に区別なぞあろうに……」


作者「思惑は違えど彼らは日本を守るために戦った偉大な方々です。彼らの犠牲を忘れず日々を生きていきます」


京子「汝の世界は第2次世界大戦の話や日本連合艦隊の話をしただけで引かれる有様じゃう……嘆かわしい」


作者「そうですね……今の日本人に『長門』といえば何を連想すると聞けば戦艦と答える人は何人いるでしょうね」


京子「有名な奴のせいで鈴も哀れよのう」


作者「また、大和をたいわと呼ぶ芸能人もいる始末」


京子「まあ、どこかの町の名がその呼び方だったはずじゃが……大和はやまとと呼んでほしいのう」


作者「大和の名前は軍事関連者の間では恐れ多い名前ですからね。一説では大和の名前は影響力が強すぎるから自衛隊の護衛艦に命名できないという本を読みました」



京子「当たり前じゃ、中途半端な艦に大和を名は恥さらしもいいとこじゃ」


作者「とはいえ、イージス艦に大和の名前が駄目となるととなるんですが……」


京子「それも中途半端な空母では名前負けじゃな」


作者「世界一の空母でも作らないとやはり名前負けか……」


京子「うむ、では草薙、そろそろ我は寝る」


作者「ん?ああ、もう4時46分か、いくら休みでもそろそろ寝ないとやばいか。でも最近不眠ぎみなんだよな」


京子「安心せい、我が吹き飛ばして眠らせてやろう」


作者「どんな睡眠法ですか! え、遠慮するっす〜!」


京子「こら!逃げるでない!草薙! ええい!眠らんか!」


作者「UWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!]


ズドオオオオオオオオオオオオオオン

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