209話 ヒトラー死ス!? バルキュリア作戦発動−未来を変える一撃
「笑えるじゃないか」
ドイツ第三帝国総統アドルフ・ヒトラーは持っていた紙を握り潰した。
その紙の内容はブレストでのフレドリクのしたことが書かれていた。
「やはり、あの男は信用ならなかっのです」
得意げに話したのはナチス親衛隊隊長、ハインリッヒ・ヒムラーであった。
彼を経由し、この情報はヒトラーに届いたのである。
彼の率いるナチス親衛隊は国軍を上回る規模を持つ。
世界制覇を目前にしたドイツの中ではヒムラーはヒトラー、フレドリクに継ぐ権力者である。
実は彼、フレドリクのことを嫌っていた。
いきなり現れて巨大な権力を手にいれた若造。
隙あらば追い落としてやろうと機会を彼は伺っていた。
それがついに来たのだ。
ユダヤ人を助けるなどヒトラーは彼を許さないだろう。
しかし、フレドリクという男の背後には巨大な戦力がついている。
機動戦艦を含めたカイザー艦隊。
全世界の海軍と互角以上に戦える悪魔の艦隊。
おいそれと手を出せる相手ではなかった。
しかし、ヒトラーやヒムラーはこの時、増長していた。
理由は簡単である。
フレドリクから未来の技術を受けナチス親衛隊の装備は格段に上がった。
ジェット戦闘機フォッケバイン、新型戦車レオパルドなどである。
いかに、カイザー艦隊が強力でも所詮は人間が作り出したもの、弾薬も無限ではあるまい。
物量で攻めれば落ちよう。
しかし……
「なんとかカイザー艦隊を親衛隊に吸収できんかヒムラー」
「それは……」
ヒムラーは黙ってしまった。
力ずくならば勝てよう。
ヒムラーにはその自信がある。
海戦では万が一にも勝ち目はないが陸上の航空戦力を使えば勝てる。
「総統、もはやカイザー艦隊は無用ではないですか?」
ヒムラーは言った。
「どういうことだ?」
「アメリカから分捕った戦艦や空母を含め海上戦力は充実しています。あの男の力なくともあれの完成は可能でしょう」
ヒムラーはにやりと笑った。
「もはやあの男の出番は終わったのです」
「……そうだな…」
ヒトラーは頷いた瞬間、ヒムラーは勝ったと思った。
これで、ゲーリングを追い落とし自分は更に上にい行ける。
しかし、時すでに遅しであった。
高度3万という高空を飛ぶ戦闘機があった。
世界一頑丈であり、不死身の男が乗るジェット戦闘機ハインケルである。
「ぞくぞくするじゃねえか」
不死身の男ルーデルは言った。
彼のハインケルには対地ミサイルが満載してある。
そして、彼の今いる場所はドイツ第三帝国首都ベルリンの上空である。
これほど高空から侵入できる戦闘機は未来の戦闘機以外存在しない。
ルーデルはにやりと笑うと
機体を垂直に降下させた。
すさまじいGがルーデルを襲うがルーデルにとって、テンションが上がるにあがり過ぎていてほとんど気にならない。
落下は撃墜されまくっているこの男にはお手のものである。
雲の隙間から総統府が見えてきた。
航空レーダーにはヒトラーに埋め込まれた発信機から反応がある。
ヒトラー爆殺は始めから決められていた計画なのだ。
「おらあ!抹殺!」
ピーとロックオンの音が出た瞬間ルーデルは対地ミサイルを発射した。
ジェット戦闘機の音が聞こえたヒトラーは慌てて窓に駆け寄って空を見上げた。ヒムラーも同様である。
ジェット戦闘機が何かを発射した。
ミサイルだとヒムラーは思った。
ヒトラーはその一瞬で全てを悟った。
あれは、フレドリクが送った刺客だ。
「おのれ!フレドリクぅ!」
ヒトラーは怒りに任せて憎悪の叫びをあげた。
「総統!」
兵がヒトラーに飛び掛かり彼を押し倒した。
ズドオオオオオオンズドオオオオオオン
巨大な炎が総統府に突き刺さった。
連鎖的な爆音と爆炎、轟音が辺りを揺らす。
まさに、未来を変える一撃である。
「あばよ」
ハインケルは直ちに離脱に入る。
しかし
ピー
上空まであがった所でロックオンの音がコクピットに響いた。
ベルリンに設置されていた対空ミサイルがようやく火を噴いたのだ。
「ちきしょうふりきれねえ!」
ルーデルは回避運動をとったがミサイルはハインケルに直撃した。炎を巻き上げてハインケルは落ちていった。
バルキュリア作戦の開始であった。
作者「さらばヒトラーまた、会う日まで」
エリーゼ「終わりましたね」
作者「いやぁ、ヒトラーのことだから生きてたりして」
エリーゼ「ありえますね。あの男は奇跡と運に恵まれた男ですからね」
作者「ルーデルは死んだのかな?」
エリーゼ「あの男は不死身でしょう……フレドリク様も彼の戦闘機を何機か用意してますからね」
作者「必ず生きて帰ってくる対地破壊の悪魔のエース」
エリーゼ「それよりバルキュリアですが……」
作者「ドイツは内乱状態に陥るのか?」
エリーゼ「ありえません。あのヘレンを助けたこともフレドリク様の作戦に違いありません」
作者「ヒトラーがいなくなれば名実ともにドイツは思うがままですからね」
エリーゼ「ユダヤ人を罪なく皆殺しにする必要もなくなります」
作者「まあ、独裁者狩りは続くでしょうね」
エリーゼ「世界制覇は後少しです」
作者「さて、実はメッセージにメールアドレスを添えて送ってくれた方がいますが私は自分のメールアドレスを曝す気はありませんから返信は不可能です。作者登録してメッセージを送れるようにするか『艦魂同盟録』というサイトにおいでください」
エリーゼ「なんのことですか?」
作者「教えないよ〜んヒャハハハハ」
エリーゼ「罰です」
作者「ぎゃああああ!」
ズドオオオオオオン