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第199話 連合艦隊最後の演習

昭和18年4月31日、尾張が撃沈されて2ヶ月が過ぎた。

ハワイの沖合では大日本帝国の力の象徴たる戦艦や空母が猛訓練に励んでいた。

アメリカとの決戦はもう目の前だった。

「ジェットエンジン起動!」


高速戦艦、武蔵の艦僑で有馬艦長の声が響いた。

続けてドーンという音とともに兵士達や士官は備え付けられた椅子に押し付けられた。


ぐんぐんと武蔵が速力をあげ50ノットまで、増速した。

これは一昔前の魚雷よりも早い速度である。


「やはり、簡単には慣れませんな山本長官」


艦僑の椅子に座っていた黒島 亀人が言った。


「俺はもう慣れたぞ」


山本は顔を黒島に向けて言うと黒島は感心した声で


「流石は長官ですな」


「乗っていたら慣れるさ。なあ、有馬艦長」


武蔵の艦長有馬は山本を見ると


「はい、私はもう慣れました。加速する瞬間など今では心地いいくらいですよ」

「そんなものですかな?」


黒島はついていけんとばかりにため息をついた。

よもや、彼とて戦艦50ノットで加速するなど思いもしない。

彼が体験しているのは可能性の歴史の一つなのだ。


今、武蔵は艦隊行動を取っている。

武蔵を旗艦とし大和、紀伊、三笠を除く全戦艦部隊が参加している。

空母は離れた海域で訓練を行っているはずであった。


武蔵を戦闘とし長門、陸奥と続いている。

周囲を警戒するのは駆逐艦である。

独立機動艦隊より提供された日本海軍の唯一のイージス艦『村雨』は空母の護衛のため、随従していない。


この演習は艦隊決戦を想定した演習であった。

なぜ、艦隊決戦なのか?

それは、機動戦艦に対する訓練であった。

日本ではアイギスを破る砲弾を開発していると聞く。

量産のめどはまったく立っていないが量産が決まった=訓練では遅い。

技術を磨くのも日本海軍の伝統である。

「……」


山本は黙って時計を見た。

時刻は10時を指そうとしている。










増速して風がすごいと武蔵の艦魂、桔梗は思った。


「ええ、風や」


ばたばたと大将旗がなびく強風だが、桔梗にとっては潮風なら台風みたいな強い風でない限りどうな風でも心地よい。


青い晴天の空に青い海。

常夏の楽園と言われるハワイの海の潮風も桔梗は好きだった。


「こんな日はのんびり昼寝でもしたいわ」


桔梗は空を見上げながら言った。


「ん?」


ふと、背後に気配を感じた桔梗が振りり向くと腕を組んだ艦魂、鈴が仁王立ちしていた。

その顔にあるのは怒りである。


「たるんどるぞ桔梗」


長い黒髪をポニーテールにしている鈴は桔梗を睨み付けるが桔梗の反応は


「ええやん、こんな所に敵なんかおらへんし」


と、微笑を浮かべながら言ったのだが、それは、鈴の逆鱗に触れたらしく


「貴様……」


顔を真っ赤にして腰の軍刀に手が伸びる鈴を見て桔梗は慌てた。


「ちょ! 暴力はあかん! 姉さんが帰ってきたら怒るで?」


「うるさい黙れ! そこに直れ!」


ついに軍刀を抜き放った鈴は桔梗に飛び掛かる。


「あかん!」


桔梗は鈴に背を向けて逃げ出した。

とても、世界最大級の巨大戦艦『武蔵』の艦魂とは思えない逃げっぷりである。

「またんか! それでも貴様は栄光ある日本海軍の艦魂か!」


「これは逃げるんやない!転進や!」


「言い訳を!」


どたどたと武蔵の甲板を走り回る桔梗と鈴。

止めるものがいないから終わらない鬼ごっこである。

捕まれば軍刀で……というしゃれにならない鬼ごっこではあるが……


その頃、鈴を止められる力を持つ戦艦伊勢の艦魂、剣と比叡の艦魂、朱里は武蔵や長門とより更に後方の単純陣の中の戦艦日向の第1主砲の右側でひなたぼっこをしていた。


「すーすー」


日向の艦魂、京子は姉の剣にひざ枕をしてもらい寝息を立てて眠っている。

剣は微笑みながら妹の頭を撫でる。

時折、京子は

「もう蒸し芋は食べられん」とお決まりに近い寝言を言い剣に笑われていた。


「可愛い妹ね剣」


朱里は姉妹の横でその光景を見ながら言った。


「本当に手がかかる妹よ」


剣は京子を見ながら言った。


「可愛がってるくせに」


「べ、別にそんなことはないわよ? ほうり出すのも可哀相だから」


「剣、あなたってツンデレ?」


「ツンデレって何?」


剣が首を傾げる。

当然だがこの時代にツンデレなんて言葉は存在しない。


「明に前に聞いたのよ。 普段はツンツンしてるくせに急にデレデレする人のことを言うらしいわよ」


「……」


剣は京子を見てから少し考える顔をして


「そうなの?」



と、自分を指さしたので朱里はこくりと頷いた。


「ふーん」


実は剣はツンデレの意味をまだ、完全に理解していなかったので納得した。

彼女が2000年の時代を本格的に見れば全力で否定しただろう。


「……」


剣は空を見上げながら


「これが最後の大きな演習ね朱理」


「ええ……この演習が終わったらアメリカ太平洋艦隊と決戦。そして、ドイツ軍と激突する」


アメリカとの決戦も無傷ではすまないだろう。

誰が、死ぬのか。

剣や朱里は生まれた時から死は覚悟している。


「京子だけでも生きていてほしいわね」


剣は再び京子の頭を撫でた。

京子はううんと小さく身じろぎする。


「……そうね。私はこの戦争に生き残ったとしても待っているのは解体だから未練はないこけどね」

朱理は金剛型戦艦2番艦である。

金剛型はとっくに艦歴を越えた戦艦なのである。

戦争が終われば解体は免れない。


「山本長官に頼んでみたら?長官なら記念艦として残してくれるかも。炎樹元帥みたいに……」


朱里は静かに首を振った。


「彼に頼めばできるかもしれないけど駄目。 解体は艦魂の宿命だから……他にも手段がないわけじゃないけどね」


そう、艦魂という存在の最後は決まっている『解体』『撃沈』『記念艦』の3つである。



「まあ、記念艦になるとしても大和になるんじゃないかしら?」


朱里は言った。


「そうね……」


剣は再び京子を撫でた。

戦争が続けば長く生きていられるかもしれない。

複雑な思いだがそれでも


「私は平和が来るのを願ってるわ」


平和を取り戻すこと。それが、兵器に与えられた使命なのだ。


「そ……」


朱里は同意しようとしたができなかった。


「合戦用意!」


「「!?」」


日向の甲板に兵の怒鳴り声が響き渡った。


「むにゃ?」


京子が目を開けた。

「なんじゃ?騒々しいのう」


「敵!」


剣が立ち上がる。

朱里も立ち上がった。


「京子!敵よ!」


剣が言うと京子の目が見開かれた。


「な、なんじゃと? 潜水艦か?」


「とにかく艦僑に行きなさい。私達は戻るわ」


「あね……」


京子が姉を呼ぼうとしたが二人は光の粒子となり自分の艦に帰ってしまう。


「こうしてはおれん」


京子は慌てて甲板に飛び出してくる兵士を見てから艦僑に転位した。

そして、それぞれの艦魂が艦僑で聞いたのは


『ドイツ機動戦艦1隻接近中!距離10万!』



京子「なんじゃと!」


作者「一隻か……」


京子「汝!ここで消耗すればアメリカと決戦どころではないぞ」


作者「フハハハ!さあ、どうする連合艦隊」


京子「阿保がぁ!」


作者「ぎょあああああ!」


ズドオオオオオオン






さて、お知らせですがこの度、私草薙は艦魂作家で作る『連合艦隊極大権限保有最上級艦魂会』の司令長官元帥に就任致しました。

黒鉄陛下が引退を宣言したため黒鉄陛下に任されたものです。

分かっています。

純粋な艦魂を少し逸脱している私が司令長官になるのは……と考える人もいるかもしれませんが黒鉄陛下に任された以上は精一杯やらせて頂く所存であります。

そして、極上艦魂会に入会希望の方は黒鉄陛下ではなく私に希望を提出するように変わりましたのでこの場でいいます。

そして、黒鉄陛下は引退しても我々艦魂作家からしたら偉大なる大元帥であると思っています。


連合艦隊極大権限保有最上級艦魂会司令長官草薙元帥

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