表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
204/316

第198話 連合艦隊司令長官の敗北

昭和18年2月27日、月末のこの日昭和天皇を始めとする大日本帝国の上層部にドイツの未来戦力の詳細が伝えられた。

誰もが絶句する戦力に対して日本は神国であり負けることなどありえん言うものは誰もいなかった。少なくても紀伊や尾張の戦闘力を知っているものは言葉がでなかった。

なにせ、紀伊一隻でやろうと思えば米太平洋艦隊を壊滅させる力を持っている。米太平洋艦隊と機動戦艦1隻が同等としてもドイツの残りの機動戦艦は8隻。

つまり、米太平洋艦隊が8つあるようなものである。

空母や他の艦船も入れたらドイツの有する戦力は世界最大と言っていい戦力であった。


この情報は、当然、連合艦隊司令部のある、ハワイにも伝えられた。

暗号文ではあったがその内容はアメリカに解読されているであろう古い暗号が使われた。

ドイツの戦力をアメリカにも流しアメリカに危機感を持たせることが狙いでもあったのだ。










連合艦隊司令長官、山本 五十六はその暗号を伝えられた夜。

長門の長官室にいた。

机の上には将棋が置かれており山本の対面で腕を組んで座っているのは長門の艦魂、鈴である。


「お前の番だ山本」


「うーむ……」


山本は唸りながらごましお頭を抑えた。将棋やギャンブルには滅法強い山本であるが、この鈴は将棋が恐ろしく強い。

そのため、山本はよく鈴と将棋を指すのである。


今の所、勝敗は山本24勝、鈴23勝といい勝負であった。


「なあ、鈴よ」


「待たんぞ」


鈴が釘を指したが山本は首を振って


「いや、昼間の話だ。艦魂達はなんと言っている?」


ドイツの戦力の暗号が届くと山本はその日の訓練を中止させて宇垣や黒島といった連合艦隊司令部の頭達を集めて会議を開いた。とはいえドイツとの戦いの主力となる独立機動艦隊の士官達がいなかったので戦力を確認するだけに終わる会議であった。

そして、時、同じくして艦魂達にもこの情報は伝えられた。本来、艦魂の連合艦隊司令長官は撫子なのだが不在のため長年旗艦を務めた鈴が会議を取り仕切ることになった。

武蔵の艦魂の桔梗がやってもよかったが彼女は任せるわと鈴に一任したのである。

連合艦隊司令部でもそうしたように艦魂達も士官のみにこの情報は伝えられ会議は行われた。

士官のみに伝えられた理由は無用な混乱を避けると同時に士気の低下を避けるためでもあった。

なぜなら、駆逐艦や潜水艦の艦魂に伝え彼女達の艦に自分が見える人間がいたら情報はあっという間に拡散してしまうからだ。


「衝撃を受けたものもいたな」


鈴は腕を組んで言った。

長い黒髪を軽く揺らしてにやりとして山本を見た。


「だが、心配はしてない。奴らは誇りある大日本帝国海軍の艦魂だ。弱音を吐くものがいれば鉄拳制裁で気を引き締めてやるだけだ」


「ほどほどにな」


山本はその光景を頭に思い浮かべて苦笑しながら言った。


「ああ、分かってる……む……そうくるか」


鈴は将棋を見ながら唸った。


「待たんぞ?」


今度は山本がにやりとして言った。


「むぅ……」


鈴は唸りながら盤上を凝視しながら考え込んでいる。

余談だが、将棋はチェスよりも戦略性の高いゲームである。

2042年になってもコンピュータはチェスの名人を打ち負かせても将棋は名人が勝利する。

山本がよく将棋をするのは趣味も入っているが戦略を考える頭を鈍らせないという狙いもあったのである。


「もうすぐ、アメリカ太平洋艦隊との決戦か……開戦前の頃を考えるなら信じられない状況だな」


山本は開戦前にアメリカと戦争になった場合、1年は暴れて見せましょうと言った。つまり、1年以上先は保証できなかったのだ。

本来の歴史では山本は今から2ヶ月後にブーゲンビル上空で戦死することになっているがその歴史はやってこない。

全ては彼らが……



「凛達か……奴らがいなければ我々は負けていたのだな」


鈴は遠い目をした。本来の歴史、昭和18年、山本が戦死した次の昭和19年6月、日本連合艦隊はアメリカとの決戦であるマリアナ沖海戦に挑み、日本の機動部隊は壊滅し、武蔵や扶桑などの戦艦達の多くが散り、日本連合艦隊は壊滅した。

大和や長門と言った戦力は残っていたがもはや、これ以後、日本はまともな反撃はできなかったという。

だが、紀伊や尾張がタイムスリップしたことにより歴史は変わり。

日本軍はハワイを手に入れアメリカ本土を伺う所まで来ていたのだ。


「尾張は残念だったが悲しんでばかりもいれん。一刻も早くアメリカを降さねばならん」


「だが、お前の策には戦力が足りてないぞ?」


「ああ、近江の穴は仕方ないとしてもな……」


「紀伊か大和、あるいは三笠殿に補って貰えばいいではないか?」


「俺の艦隊の配置はまず、三笠は日本防衛、大和、紀伊は機動戦艦に備えてもらう」


「アメリカ艦隊との決戦に機動戦艦を使わないのか?豪気だな」


鈴はクククと笑いながら将棋を打つ。



「出来れば参加してほしい。まあ、日向も断らんだろう。だが、ドイツの動きが不気味すぎるのでな」


「何か懸念することがあるのか?」


二人はパチパチと将棋を打ちながら話を進めた。



「ああ、南アメリカに偵察に出した伊号がな。聞いたことのない音を海で聞いたらしい」



鈴が山本を見た。


「機動戦艦か?」


「分からん。だが、奴らに対抗できるのは独立機動艦隊だけだ」

「忌ま忌ましいなそれは……」


「忌ま忌ましいか?」


山本が聞き返すと鈴は頷いた。


「敵がいるのに手も足もでずに他人任せというのは私の性に合わん」


「ハハハ、役割分担だよ鈴。我はアメリカ艦隊を破り独立機動艦隊は機動戦艦に備える」



「そうか……だが、山本」


鈴は山本を睨むような目で見ると口を開いた。


「いいか?一度しか言わんぞ?この戦い……」


「……」


ごくりと山本は息を飲んだ。


「現状のままでは我々に勝機はない。アメリカに勝っても……独立機動艦隊がいてもドイツには勝てん」


「……」


山本は無言だった。

そして……


パチ


山本の目が見開かれた。


「王手だ」


長官室に鈴の声が響いた。

山本は目を閉じると


「参った。だが鈴」

今度は山本が自分を睨んでいる鈴を見た。

普段の山本からは想像もつかないようなビリビリと空気が痺れるような感覚を鈴は感じた。


「俺はどんな手を使ってでも日本を滅ぼさせはしない。舞達との約束のためにも俺はアメリカとドイツを軍という力を使い必ず倒す」


連合艦隊司令長官としての言葉であった。

鈴は山本としばらく睨み合っていたがやがてふっと微笑んだ。


「なら、証明してみせろ。山本、私達はお前に従うよ」


「ああ、ところで鈴よ」


「ん?なんだ?」


「もう一局いくか?」


「好きだな貴様……」


「ハハハ、戦争が終わったらモナコに行って隠居生活だ。長生きできたらラスベガスにも行きたいもんだ」


「時代が許さんさ生きていたら山本、お前は首相になるぞ」

「その時は逃げてやるさ」


「まあ、無理だろうな」


鈴はいいながら将棋の駒を並べ終わった。


「さて、今日は3連勝させてもらおうか」


「甘い甘い。次は俺の勝ちだよ」



ちなみにこの勝負の最中、勝負に熱中する余りつい山本は従兵を呼んでしまい、飲み物を持ってきた従兵は艦魂が見えないため宙に浮く将棋駒を見て腰を抜かして山本長官は幽霊と将棋を打っていただの魔物と将棋を打っていただのと尾鰭がつき基地に広がったのは余談である。

鈴が怒ったのも余談である。

京子「アメリカとの決戦じゃが……」


作者「毎日、頭の中で考えてますよ。日本側の戦略はすでに決まりました」


京子「アメリカはどうなんじゃ?」


作者「うーん……考えてはいるんですがシューティングスターは航続距離が短いからシューティングスター改みたいな航続距離を延ばしたジェット戦闘機を」


京子「シューティングスターの後継機は流石に間に合わんか」


作者「アメリカには技術援助してくれる人がいないから無理無理」


京子「まあ、アメリカが強化されるのはドイツとの戦いでよい」


作者「うーん……シューティングスターの機体を少し大型化してドロップタンクを4つつけられるようにすれば……しかし、そうすると空母に載せられなくなるかも……いや、陸上からの限定で……でも……」


京子「何をぶつぶつ言っておる!」


作者「誰かシューティングスターの改造案ないかな……参ったなぁ……」


京子「む、無視するでない草薙!」


作者「ぶつぶつ」


京子「草薙ぃ!」


作者「ぶつぶつ」


京子「こんの!たわけがぁああああ!」


作者「はっ!な、な……」


ズドオオオオオオン

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ