第194話 歴史への扉を知る男
次の日の朝、紀伊の艦内の取調室に使われている一室には彼方、凪、ドミニク、小川の他に記録を残すための兵士が一人の計5人がいた。
中央の机でドミニクと相対し彼方と凪が彼と向かい合う。
小川はドミニクの後ろで彼を睨みつけていた。
そのため部屋には重苦しい空気が流れ、小川の直接の部下である凪は胃が痛い思いだった。
白衣姿の彼方も似たようなもので居心地悪さを紛らわすようにドミニクを睨んでいる。
もう一人の兵士は私は記録を残すのが役目とばかりにパソコンの画面を青い顔で見ながらキーに指を置いていた。
「な、なあ彼方ちゃん」
そして、ドミニクも空気に耐え兼ねて口を開いた。
「何よ変態?」
彼方はぎろりとドミニクを睨みつけたがドミニクは気にした様子もなく
「後ろのおっさん何とかしてくれないか?」
「嫌」
彼方は即答した。
ドミニクはそれ以上は無駄と思ったのか今度は凪を見て
「凪ちゃん……」
ドミニクは期待に満ちた目でいうが
「無理です」
凪もまた、即答であった。
というより階級的に小川をどかせる権利があるのは中将の彼方だけであるが彼女はそんな気はまるでないらしい。
というよりざまあみろという顔でドミニクを見ている。
ドミニクは諦めたのか
「ま、いっか。凪ちゃんと彼方ちゃんに尋問してもらう権利は得たしな。ついでに手錠も外してくんないかな?」
ドミニクはじゃらっという音を立てて手錠を持ち上げて見せた。
「嫌」
再び彼方が言う。
まあ、そうだろう。護衛がいるとは言え凪はともかく彼方は戦闘訓練を受けていない。
普通に考えれば手錠は外れるはずもない。
いささか彼方の場合怨みがこもっているようであるが……
「へいへい。分かりましたよ。何だよ、戦闘機の中でちょっと胸に手があたったことまだ怒ってんのか?」
ぴくっと彼方は震えドミニクを睨んだ。
「いっそ殺してあげましょうか? 私ってそれなりに権力持ってるから簡単よ? 太平洋のど真ん中でゴムボートだけでほうり出してほしいのかしら?ドミニク・ハート?」
黒いオーラーを発っす彼方を見てさすがにドミニクもいいすぎたかという顔をした。
「わ、わりい!」
「悪いですって……」
彼方は更にドミニクに何かを言おうとしたが
「天城特別中将」
部屋に静かに声が響いた。
その声で部屋の空気があっという間に入れ代わった。
小川は彼方を見ながら
「その男がした無礼は後日に改めて罪に問えばいいと思います。今は本題をお願いします」
ドミニクは助かったという表情をし彼方はしぶしぶ引き下がった。
凪はというとさすがだなぁとか小川を見ながら思っていた。小川は怖いが尊敬できる上官なのである。
ちなみに記録をとる兵は一度も小川を見ようとはしなかった。
「で? 簡単に自己紹介しなさい」
ようやく本題に入る彼方達。
ドミニクは約束は守るようで口を開いた。
「ドミニク・ハート2022年8月14日生まれ、生まれた場所はベルリン、都会生まれだな、年齢は20歳で好きなのは可愛い女の子と遊ぶこと」
ドミニクは凪と彼方を見ながら言った。
「あなたの世界の歴史を話して」
ドミニクはにやりとし
「そんなこと聞きたいのか?話してやってもいいが条件がいるな」
「条件?」
彼方のと頬の筋肉が少し震えた。
ドミニクは頷きながら
「とりあえず凪ちゃんと彼方ちゃんの尋問の条件は守ってくれたけどさ、俺の安全を保障してほしいんだよ」
「保障してるじゃない!」
彼方が睨めつけながら言うとドミニクは違う違うといいながら
「司法取引ってやつだ。俺の知ってる限りの情報をやるよ。ただし……」
「無罪放免しろっていうの?随分虫のいい話しね」
再び彼方が言ったがドミニクは同じく首を横に振る。
「違うって。無罪放免でもいいけど日本にほうり出されても俺憲兵に捕まるじゃんか?ドイツには帰りたくないしな」
「何出ですか?ドイツはドミニクさんの故郷じゃ……」
凪が首を傾げて言った。
「いや、俺上官殴って中国共産党のデブの所に送られたから帰ったら今度は北極に飛ばされるんじゃねえかな? そうなるなら日本で働き口でも見つけようかなぁってな」
まるでいい加減に就職活動をする若者ような言動に凪は少しア然としていた。
彼方も同じらしく軽蔑した目でドミニクを見て
「最低……」
と一言つぶやいた。
「最低はないぜ彼方ちゃん! まあ、もう一つの理由はあのアドルフ・フレドリクが嫌いなこともあるけどな」
本当に嫌いらしくドミニクは吐き捨てるように言った。
「アドルフ・フレドリク……」
凪が呟いた。
日本最大の敵にして圧倒的な巨大戦力を握る男。
ロシアを滅ぼしイギリスを陥落させアフリカを掌握しドイツを世界3大勢力に押し上げた男。
「以外ね。ドイツはアドルフ・フレドリクを筆頭にまとまってると思ってたんだけど。それともあなただけが反感を抱いてるの?」
フレドリクの情報は日本にもほとんど入っていないので彼方が興味深そうに言った。
「ああ、嫌いだね。俺よりモテるしあいつ」
一瞬にして部屋の空気が冷たいものに変わる。
「ねえ、ドミニク・ハート」
フルネームで彼方が静かに言った。
怒りがにじんでいるのが凪は分かり沈黙。
ドミニクも冷や汗を流して彼方を見てよせばいいのに
「な、何怒ってんの彼方ちゃん?安心していいよ。俺は彼方ちゃんひと……」
「真面目に答えなさい!」
バンという音と共に彼方の拳が机にたたき付けられ凪はビクリと痙攣した。
ドミニクもこりゃまずいと思ったらしく
「わ、分かった真面目に答える」
「それでいいのよ」
と彼方は腕を組んで椅子にもたれ掛かった。
「まずはあなたの世界の歴史を話しなさい」
「あ、ああ。でも俺の働き口は……」
「心配しなくていいわよ」
にやりと彼方はドSたっぷりの薄笑いを浮かべ
「私の下でこき使ってあげるから」
「いや、俺できれば凪ちゃん見たいな大人しい子のほうが好みなのかもし……」
「もうひとつの選択肢はミサイルにくくりつけてドイツに送ってあげることよ!」
「死ぬだろ絶対!」
「なら私の下でこき使ってやるわ」
「いや、やっぱり牢屋でも……」
「返事は!」
「わ、わかったよ……彼方ちゃんの下でいいよ…」
彼方は満足そうに頷き
「そう、じゃああなたの世界の歴史を話して」
「トホホ……なんでこうなるんだ? 俺の世界の歴史は日本がアメリカに……」
歴史を話し出すドミニクを見ながら凪はもしかしてこの二人って相性よかったりするのかなと考えていた。ちなみに小川はと言えば終始表情も変えずにドミニクを睨みつけていた。
京子「少し更新速度復活じゃな」
作者「いや、私波が激しいから……メッセージでひどいこと言われたからテンションが激減したのが原因」
京子「ほう?どんなこと言われたんじゃ?」
作者「いいたくない……とにかくひどいこと……」
京子「撃たれ弱いやつじゃな」
作者「毎回感想書いてくれる読者さんもいるからそれも結構書く原動力になるんですけどね。まあ、メッセージのせいでショックが大きいというか……というか見て腹が立つぐらいならみなければいいのに……」
京子「批判するなら改善する場所も書いてほしいのぅ」
作者「まあ、面白みのかけらもないなんて書かれたらねぇ……」
京子「なんだかんだでアクセスは一応、艦魂の中では最高ではないか
作者「不思議だよ……批判する人はいるのにアクセスは多い。まあ、これも書く原動力」
京子「アクセス数は?」
作者「ん?PVは75万を越えてるしユニークは……14万8千ぐらいだったか……」
京子「まあまあじゃな」
作者「まあ、うれしいですよ。さて次回は読者も待ち望んでいるであろう……」京子「ほぅ、日本がアメリカに大勝利を納めた世界の歴史をドミニクが語るんじゃな」
作者「先に言わないでよ……あ、今日は大和が沈んだ日(4月7日)です。みんな大和の冥福を祈りましょう」
京子「読者は何人覚えておるかのう」
作者「さぁ?ミサイル防衛をお祭りなんていう日本人も多いからなぁ…」
京子「ぬう…」