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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
プロローグ―変わりゆく太平洋戦争
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第1話 危うし連合艦隊?迫りくる『紀伊』

ミッドウェー海戦による機動部隊の壊滅。

それによりミッドウェー攻略が絶望的になり主力に位置づけられた日本連合艦隊は

一路、日本目指して撤退中で会った。

その戦力の中核は


戦艦:大和、長門、陸奥、伊勢、日向、扶桑、山城、金剛、比叡

の戦艦部隊。

さらに

軽空母:瑞鳳、鳳翔

に加え重巡、軽巡、駆逐艦が多数いた。

さらには潜水空母や水上機母艦といった艦船も存在していたがそれらは

いずれも日本本土に敗走していたのである。

正確なことを言うならばこの主力部隊は敵と交戦は行っていない。

世界最強といわれる『大和』の46cm砲も1発も放たれることなく

大和の初陣は終わりを告げようとしていた。





「大艦隊を補足。編成、規模から見て日本連合艦隊の主力部隊と推定されます」


CICからの報告を聞きその男はにやりと笑った。

若い男である。まだ、30かそこらの男の名は日向 恭介。

イージス戦艦『紀伊』の艦長である。


「よし、予定に変更はない。戦闘態勢を取りつつ大和を叩くぞ」


ちなみにこの時点で大和艦隊と紀伊の位置は数百キロ近く離れているが

イージス戦艦『紀伊』に搭載されているレーダーには艦隊の位置がはっきりと

移っていた。


「本当にやるのですか長官…」


「ん?」


日向連合艦隊司令長官は声のしたほうを見ると眼鏡をかけた女性がこちらを見ていた。

彼女の名は古賀 美崎。『紀伊』の参謀長であると同時に日向長官の秘書も兼任する

女性である。


「なんだ古賀?不満か?」


すると古賀はむっとした表情を浮かべて日向を見る。


「作戦中は参謀長と及びください。長官」


「ハハハ、悪い悪い」


作戦中だというのに戦艦『紀伊』の艦橋の空気は重い感じは一切なかった。

自分達の長官と参謀長のいつものやり取りを見て内心で笑っているのだ。


「笑い事ではありません長官。私は、この作戦には反対です」

「とはいってもな…」


日向長官は海を見ながら


「『尾張』も『三笠』もすでに作戦行動に移っているだろうし俺達だけが予定と

違う行動を取るのは足並みを乱す原因となる」


「しかし、『蒼龍』、『飛龍』、『赤城』、『加賀』の4艦と輸送艦をあの海域においておくことは危険すぎませんか?」


日向長官は古賀の方を見た。


「大丈夫だろ?レーダーもソナーもこの時代のものとは比べ物にならない性能を

持っているし『神雷』もいつでも飛び立てるようになってる。心配は無用さ」


ポンと古賀の肩を日向長官は叩いた。

古賀はふぅー、とため息を吐くと黙った。

これ以上言っても無駄だと判断したのである。

それを日向長官は笑いながら見ていた。




4時間後、太陽が徐々に沈み始めていた頃、偵察任務のために4方に散っていた

零戦隊の1人、坂田少尉は水平線の彼方に何かを見た気がした。


「ん?」


一瞬気のせいかと思ったがそれは確かにいた。


「戦艦か?」


味方の艦隊かと思ったがどうやらその影は1つ。

しかし、


「な、なんだあの戦艦は!?」


坂田少尉は仰天した。先ほどまで水平線に見えていたはずの戦艦の影が大きくなっている。自分もそちらに向け飛んでいるわけだがそれを差し引いても相手の速度が速すぎる。


「て、敵艦を発見!相手は戦艦、旗は確認できず」


坂田少尉は慌てて『大和』に無線で連絡した。




「どうやら見つかったようですね」


「らしいな」


古賀の言葉に日向はうなずく。

すでに『紀伊』は戦闘準備は出来ているので特にすることはない。

上空を零戦が旋回し始めていたがそれに対する攻撃命令を日向は出さなかった。


「ハリアーを出しますか?」


古賀が返答が分かりきっている質問をした。


「必要ない」


と、予想通りの返答を日向は返した。


「さてと…」


日向は子供がいたずらをする時みたいな笑みを浮かべた。


「第4戦速だ!」




「ば、馬鹿な!」


坂田少尉は仰天した。

謎の戦艦は一瞬ゆらりと揺れたかと思うとさらに速度を増した。

慌てて後を追う。

さすがに引き離されるということはなかったがそれでも船の速度としては

考えられない速度であった。

50ノットは出ているだろう。

ここで坂田少尉が見た謎の戦艦の形が判明した。

まず、目に入るのはその巨大さである。

共に行動をしたことから坂田は世界1大きい戦艦『大和』を見ているわけであるが

それよりも一回りは大きい。

次に目に付くのは武装である。

前部と後部に砲がついているのが見える。

単装砲が前と後ろに1つずつ。

口径は大和とほぼ同じくらいだろうか…

前艦橋と後艦橋の間には蜂の巣のような正方形の物体が並んでいる。

後部にあるのは飛行甲板だろうか?

さらに艦のいたるところに機銃が並んでいる。

坂田少尉は知る由もないがこれはバルカン砲である。

艦橋の上、大和でたとえるならレーダーに当たる部分もおわんのようなものが乗っていいる。

連合艦隊が危ない!

謎の戦艦はまっすぐに日本連合艦隊を目指していた。

そして、同時に連合艦隊の空母から発艦した攻撃隊も『紀伊』を目指していた。

しかし、それをレーダーで察知している日向長官の顔から笑みが消えることはなかった。


ご意見、感想お待ちしております。

『紀伊』の名は八八艦隊計画からですが超大和に名づけられるはずだった名です。

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