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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
米太平洋艦隊大反撃
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第18話 『紀伊』―食堂にて

「ほら桜!ニンジンこっちに渡して!」

「ジャガイモが足りないぞ!早く皮むきを終わらせてくれ!」

機動戦艦紀伊の食堂、正確に言えばその厨房は昼前のこの時間は戦場である。

巨大戦艦であるがその中にいる人数は通常の戦艦よりも少ないためまだ、ましな

方だろうがそれでも300人以上の食事を作っているのはこの食堂である。

本日のメニューはカレーである。

未来から望まずタイムスリップしてしまった藤宮 桜は高校生であった。

まさか、昭和の日本にこのまま放り出すわけにもいかず日向が独立機動艦隊の中で働かないかと持ちかけたのである。

日向としては安全な独立機動艦隊の基地で働けるようにしようとしたのだが

桜の希望でこの紀伊で働くことになった。

しかし、正直なところまだ、どこで働くか決まっておらずこれまでもいろいろなところで

試験的に働かせてみたのだが未だに働く場所が確定しない状況が続いていた。

そして、今日は食堂で働き今ようやく休憩時間に突入したのである。


「はぁ〜。疲れた…」

ぐったりと食堂のテーブルに突っ伏した藤宮 桜の前には彼女の昼ごはんであるカレーが

置かれている。

「この程度で疲れてるようじゃ食堂勤務は無理ね」

桜の前でカレーを口に運んでいる女性が言った。

名前は古賀 美野里。

紀伊の参謀長古賀 美崎の妹である。

年は18歳で桜とも年齢は近い。

「うぅ・・・だって、家では私家事なんてやらなかったし…」

「それが甘いのよ。私なんてずっと軍隊生活よ。まあ、普通の軍隊とはぜんぜん違うんだけど…」

笑顔で美野里は言った。

まるで太陽のような子だと桜は思う。

「古賀さんはすごいなぁ」

「美野里でいいよ?姉さんがいる時分かりにくいしね」

「じゃあ、美野里さん」

「さんも要らないし。敬語もいらないよ?年も近いんだから友達ってことで」

「うん、分かった」

いい人だなぁと桜は思った。

美野里と友達になれたならこの世界でもうまくやっていけるかもしれない。

「しまった!もう、終わっちまったか!」

その時食堂の入り口から声が聞こえたので2人が顔を向けると独立機動艦隊司令長官の

日向 恭介が絶望的な顔をして立っていた。

どうやら昼ごはんを食べ損ねたらしい。

「あ!日向さん!」

桜は立ち上がろうとしたがそれより前に美野里が飛ぶようにして日向の元に向かった。

「日向長官!食事にこられたんですか?」

「ん?ああ、古賀の妹の美野里ちゃんか。そうなんだよ。部屋で寝てたらいつの間にか

こんな時間になってて」

なんとなく桜は時計を見てみた。

時刻は午後2時を少し回ったところ。こんな時間まで寝ていたというのだろうか彼は…

「なんか食べられるものない?少し腹が膨れればそれでいいんだけど」

「はい!今すぐ持ってきます!私達も食事中ですのであそこで待っててください!」

うれしそうに美野里は桜の方を指すと厨房に飛び込んでいった。

「よう、桜ちゃん。紀伊の生活にも慣れたか?」

「あ、はい。おかげさまで」

桜は少し顔を赤くして言った。

そうかと日向は言いながら美野里が座っていた隣の席に座った。

桜から見れば斜め右になる。

「あのこの時間まで寝てて大丈夫なんでしょうか?」

「へ?何が?」

と、日向は何のことだかと首をかしげた。

「え?何のことって紀伊は作戦行動中で敵とか現れたら…」

ああっと日向はうなずいてから

「大丈夫。俺には優秀な参謀長がいるからな」


その時CICの薄暗い闇の中にいた古賀 美崎はくしゃみをした。

「風邪ですか古賀参謀長?」

兵士の1人が聞くと古賀は首を横に振り

「きっとどこかの怠け者が私の噂をしているのよ」

と、額に怒のマークでもつきそうな感じで言う古賀であった。




「それにしても凜もひどいよな。起こしてくれてもいいのに」

「紀伊さんは起こしてくれなかったんですか?」

桜が聞くと日向はうなずき

「そうなんだよ。セットしたはずの目覚ましもなぜか止まってるし凜はどこにもいないし」

桜はこの戦艦で凜の存在を知っている数少ない1人だった。

始めはお化けかと思って大騒ぎになったのだがまあ、それは別の話。

艦魂ということは知っているが日向が言うような凜という真名を呼ぶことは許されていなかった。

「何の話をしてるんですか日向長官!」

その時美野里はお盆にカレーを載せて戻ってきた。

「はい、どうぞ!長官」

「お!サンキュー」

日向はスプーンを手に取るとカレーを食べ始めた。

美野里は桜に向き直ると

「ねえ桜。日向長官と何の話をしてたの?ずいぶん楽しそうに見えたんだけど?」

笑顔で言う美野里だがなぜかその笑顔が怖い。

「あ、あのね…」

と桜が言おうとすると

「俺が怠け者って話と美野里の姉さんの話だよ」

日向は言ってからカレーをほうばる

「そうなんですか?長官は怠け者なんかじゃないですよ。この間だってアメリカ軍を

やっつけたじゃないですか!それに次々と作戦を考えてるし」

「いや〜、俺なんかの器は探せばごろごろいるって」

「そんなことありません!私は長官のこと尊敬しています!」

「ハハハ、照れるな」

本当にと桜は思った。

日向 恭介という人はつかみどころのない人だと思った。

あの気難しい紀伊も日向に対しては心を開いているし自分も含めて人望も厚い。

美野里は日向のことをもしかしてというより好きなんだろう。

もし、気難しい人が長官だったら自分は今どこにいるのだろうか?

「!?」

と、桜が思った時ひっと彼女は息を飲んだ。

食堂の入り口に恐ろしい顔で投擲体制に入っている紀伊こと凜がいたのだ。

日向は気づかない。

「あぶ…」

「この女たらしがぁああ!」

ドゴオオオ

「ぐぁ!」

とすごい音がして何かが日向の頭に当たり日向はカレーの皿に顔を突っ込んだ。

「きゃあああああ!日向長官!」

「ふん!」

桜の目にはすぅっと実体化を解く凜が見えていた。

まあ、こんな日があってもいいかなと桜は思いながら日向に駆け寄った。


凛「恭介の女たらし!ああ!腹が立つ」


明「嫉妬?かわいいわね凛」


凛「うるさい!帰りなさい!」


明「や〜よ。それにしても恭介って結構年下にもてるのね。私も狙おうかしら」


凛「!?」

 ↑

阿修羅のような目で明をにらむ


明「冗談よ。私の趣味じゃないし」


凛「じじい趣味は消えなさい!」


明「なっ!私は別に浩介のことなんて…」


凛「あ〜ら。私は別に椎名のことなんていってないけど?」


明「くっ!覚えてなさい凛」

走り去る明


凛「二度と戻ってこないでね♪」


恭介「いい加減にしたらどうだ?」


作者「まったくです。ではここでうれしい報告があります。今回初めてアクセスランキングの戦記でアクセス数1位になりました!1日のみの栄光でしょうが応援してくださった読者の方々のおかげです。

ありがとうございます!

では、ご意見・感想お待ちしております。

次回も紀伊の話です」

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