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第181話 散りゆく姫達

ズドオオオオオオン

すさまじい轟音を立てて尾張の艦僑の甲板から上の部分4分3がへし折れ、それは更なる轟音を立てて右舷に落下しミサイルランチャーをもぎ取り海に落下し巨大な水柱をあげた。



砲弾は6発の内2発が艦僑を貫き1発は後部の飛行甲板近くの甲板をえぐり海に落下。

さらに1発は左舷甲板に飛び込みミサイルランチャーを破壊し砲弾は艦内に飛び込んだ。


「あ…く、痛い…痛い」


明は全身血まみれで甲板に倒れていた。頭からは大量の血が出ており脇腹は裂けて白い軍服を真っ赤に染めていた。

足からも血が溢れだし誰が見ても満身創痍の状態であった。







尾張のCICでは椎名と兵の怒号が響いていた。


「艦僑大破!バウソナーを除くレーダー各種全損!」


先程まで敵艦隊を移していた画面もホワイトアウトしてしまい何も写していない。

イージスシステムは死んだ。

艦僑にはレーダー各種が備わっていたのだ。


「ミサイルランチャー1、2、3、4!全損!」


「右舷航空機格納庫及び各所で火災発生!」


「右舷より浸水を確認!」


「隔壁を閉じろ!」

椎名は怒鳴なりながら自分を責めた。


(私のミスだ。私のミス…取り舵をとれば…敵に裂空弾があることをなぜ考えなかった…)



イージスは沈黙。

残る兵装はは手動による46センチ速射砲などの一撃。そして…


『核』


相手が持っていない圧倒的なアドバンテージだ。

椎名は一瞬の間に様々な可能性を模索する。



「し、椎名艦長!隔壁が閉じません!今の一撃で電気系統にトラブルが…火災が激しく修理が出来ないと言っています」


「…」


尾張は右に傾き始めた。

それは多少ではあるが確実に死のカウントダウン


(どうすればいい…どうすれば…)


尾張は死のうとしている。



「ミサイル接近!」


甲板のからインカム型の通信に入った言葉。

尾張のイージスは死んだ。

だが、


「迎撃する!残った尾張の全火力をミサイルに向けろ!」


127ミリ砲、46センチ速射砲、独立した迎撃機能を持つCIWSは機動戦艦から放たれたハープーンに向いた。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

凄まじい対空砲火が尾張から撃ち上げられる。

それは尾張の断末魔の叫びのように思える光景だった。


「鈴原ぁ!」


甲板でミサイルの接近を見て報告した尾張の兵士はその場に伏せた。

怒鳴った兵士も艦内に飛び込み扉を閉めた。



血の海に倒れる明は何も出来ない。

手にしていた槍は力無くして彼女の横に転がっていた。

白かった槍は血を吸い深紅の槍と化していた。



「ぐ…く…私は…未来を…日本を…」


ぐぐぐと体を激痛に耐えながら明は起こそうとしたが3発のミサイルは無情にも尾張に突き刺さった。


ズドオオオオオオンズドオオオオオオンズドオオオオオオン


「が…は…」


ビシャリと音がし血が明の口から甲板に撒き散らされる


戦艦にミサイルはあまり効果はないと言われる。

装甲が厚いからだ。だが、無傷というわけでない。

それに一発のハープーンは右舷の穴の開いた場所に飛び込み爆発した。

その炎は修理していた兵達を巻き込み更に隔壁のいくつかを破壊し浸水が激しくなる。


「は…あ…はぁ…」

明は槍を力無く掴み槍を杖変わりにして立ち上がる。

震える手で必死に槍を掴み立つ。

荒く息をはきながら激痛に耐え片目を血のせいであけることなく右目だけで彼女はトロンベを…ドイツの戦艦を睨みつけた。


「は…あ…はぁ…私は…こんな…ところ…で…死ぬ訳には…いかない…日本を…託してく…れた…みんな…のためにも…私は…死ねない」


トロンベ、ローレライからもはや動きが鈍った尾張にミサイル、砲弾が飛んでくる。

もはや勝負はついている。

なのに…







「…」


槍を杖に頭を下に向け血がぽたぽたと落ちていく。


「日本を…救う…日本を…」


うわごとのように彼女は口を開く。

気絶しないよに。

最後の一瞬まで諦めぬために…










「戦士への責めてもの情けだ」


ベルンハルトは最後の攻撃を命じた。

もはや放っておいても尾張は沈む。

だが、戦士の戦いにおいて情けは無用。結局、彼は…椎名は核ミサイルを使わなかった。

自爆という方法しかこの距離ではつかえまい。それに艦僑を破壊した時点でレーダーは死んでいるのだ。


「さらばだ…偉大な勇者『尾張』よ。私は君のことを忘れない。とどめをさせ!」


トロンベ兵士が砲撃のトリガーを引き、ローレライからは対艦ミサイルが放たれる。

速度の鈍った尾張に回避するすべはない。


「さらばだ…」


「べ、ベルンハルト艦長!ミサイル及び砲弾がきます!砲弾6!ミサイルは尾張に!」


「レーダーに感!大型艦です!距離5万!いきなり現れました!」


「何だと!」


ベルンハルトは目をまるくした。

瞬間。



ローレライに巨大穴が空いた。


「あ♪?」


その瞬間アテナは首を傾げて胸に空いた穴を見て声をあげた。

それが彼女の最後の言葉となった。


ズドオオオオオオン


ローレライが大爆発を起こして沈んでいく。


「敵艦の姿をモニターに出します」


赤外線カメラと望遠カメラに映し出された艦を見てベルンハルトは目を見開いた。


「ま、まさか!」


兵士が上擦った声で言った。

艦首の菊の紋。

三連装主砲


「大和…」


その名は日本を表す名。

日本海軍の切り札。

見えるものには見えただろう。

艦首に立ち薙刀を構えた怒りに燃える大和の姿。撫子の姿が…










燃える尾張を見た撫子は一目で致命傷だと分かった。


「すみません。明様遅れました。いくら謝っても許されることではありません。しかし!」


普段の彼女からは想像もできないような威感を出し薙刀を構える。


「これ以上はやらせません!絶対に!あなたたちは許さない!」


撫子は薙刀を重く、しかし、華麗に振り下した。


ズドオオオオオオン

大和の46センチ主砲が咆哮する。


作者「…」

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