第174話 神雷VSメッサーシュミット1000
キイイイイイイインとジェット戦闘機特有の音を立てながら闇の中を飛ぶ航空機の編隊があった。
琉球基地から離陸してきた独立機動艦隊の戦闘機『神雷』である。
F22を思わせるのっぺりとした形はステルス戦闘機として日本が開発した機体だからだ。
第1次攻撃隊120機である。
対するメッサーシュミット1000は100機。
両者は日本の最終防衛ラインである宮古島より北10キロの上空で激突した。
「全機攻撃開始!」
両者の隊長機の命令で互いにミサイルをロックし発射する。たちまち空はフレアやチャフ、爆散の光で小さな太陽、あちこちで生まれた。
両者の性能はメッサーシュミットが上であったがミサイルの技術は同レベルであった。
第1次攻撃隊の中の『ウルフ』小隊は3機編成である。
ウルフ3のナンバーを持つ碇 信二少尉は24歳のパイロットである。
彼は初撃のミサイル発射を成功させ敵のミサイルにも運よく狙われなかった。
メッサーシュミットの編隊と神雷の編隊は互いにマッハ3の速度ですれ違うと旋回行動を開始する。だが、旋回能力は神雷がわすかに上だった。
「フォックス2」
信二はロックの音を聞き対空ミサイルを発射した。
しかし、狙った相手はチャフを撒き散らして回避する。
それ以降は神雷、メッサーシュミットは入り乱れて小隊ごとの空戦に突入した。
「ウルフ3!後ろだ!つかれているぞ!」
ウルフ1の隊長機からの通信が信二の耳に入り機体を敵のミサイルのロックから外そうとしたが遅くピー
というミサイルロックオンの警告音が響く。
「くっ!」
信二はチャフを撒き散らして逃げようとしたがミサイルの警告は鳴りやまない。
「脱出しろ!ウルフ3!」
「神雷は貴重な戦闘機なのに…」
神雷は1943年では作れない戦闘機である。
なんとかミサイルを交わそうと試みたがその気持ちが彼の寿命を縮めることになってしまった。
ズドオオオオオオン
ミサイルが信二の神雷に直撃し爆散する。
「碇ぃ!この馬鹿やろぅ!」
ウルフ1の隊長機、高坂 洋二は怒りをぶちまけるようにメッサーシュミットにミサイルを発射した。
メッサーシュミットと神雷は航空戦と同時に互いの目標を目指す神雷は敵機動艦隊。
メッサーシュミットは琉球基地。
「敵影30接近!」
「迎撃しますか?」
副長が微笑を浮かべたままのベルンハルトを見る。
「いや、必要はないだろう。彼等を迎えるのは空の騎士達がしてくれる。アイギスを張りたまえ」
「了解!」
トロンベ、ローレライ、アースガルドの周りに薄紫のバリアが展開される。
そのため速度は50ノットまで減速した。
メッサーシュミット20機が30機の神雷を迎え撃つ。
両者はミサイルを発射し5機の神雷が機動戦艦を捕らえた。発射されたミサイルは狙い違わずローレライに向かったがアイギスを突破できず爆発を起こすだけでダメージを与えることはできなかった。
「やはり、航空機では機動戦艦を沈めることはできんか…なら!」
5機の神雷はアースガルドにねらいを絞った。
敵からの対空攻撃はない。
アイギスはこの状況では絶対防御の守りだがアイギスを張る限り速度は20ノット落ちるし攻撃も出来ない。
もちろん航空機の発艦もだ。
神雷隊は独立機動艦隊の空母が短時間しかアイギスが張れないということを前提に対艦ミサイルを発射するが効果はない。
「駄目か…」
しかし、速度が落ちているならまったく無駄というわけじゃない。
尾張が最終防衛ラインまで到達する時間稼ぎが出来る。
「効かなぁい♪効かなぁい♪何故効かなぁい♪」
彼女はローレライの甲板で歌うように言った。長い金髪の前髪で目が見えない艦魂である。
顔も俯いているので暗い印象を受ける。真名はアテナ
ズドオオオオオオン
再びミサイルがローレライのアイギスに命中する。
「効かなぁい♪効かなぁい♪…なぜ効かなぁい♪それはぁ♪私が強い♪からぁ♪だから帰りなさぁい♪それが生きる道ぃ♪」
彼女は不気味に歌うよう話続けた。
アースガルドの艦魂は飛行甲板の上で飛び回る神雷を見上げていた。
ミサイルが飛んで来るがドイツの潜水空母は核融合炉が使われている。
つまりアイギスは無限なのだ。
「もう、なんで分からないのかな?効かないわよジャップさん」
年は9歳くらい。
まったくの子供容姿を持つ艦魂であった。
長い金髪で大きな赤いリボンがつけられていてかわいらしい艦魂である。
「頑張れぇ!」
ぴょんぴょんと跳ねながら彼女は無邪気に笑いながらドイツの国旗の小さな旗を振り回した。
自分は攻撃していないので拳銃は腰のホルスターの中だ。
ボゥと炎をあげて神雷がこちらに突っ込んでくる。
普通なら悲鳴をあげる場面だが彼女はあっかんべーした。
「効かないよーだ」
ズドオオオオオオン
その言葉通り神雷はアイギスに辺りバラバラになり海に落下していった。
それを見届けた彼女は再び応援に戻る。
「フレーフレー!メッサーぁ!やっつけちゃえ!」
彼女はアースガルドの艦魂。真名はレティ。
「12時の方向、敵機30接近」
「シースパロー射程まで約5分」
「航空隊を抜いてきたか。対空戦闘用意」
「対空戦闘用意よし」
尾張は沖縄へ向かうメッサーシュミットの編隊を確認した。基地にも防空設備はあるが行かせる訳にはいかない。
「射程に到達!」
「シースパロー発射!」
「来たわね」
尾張の前甲板で明は空を見上げて言った。
闇なのでよく見えないがレーダーの目を通じてそこにいるのがわかる。
「こんな所で負けたら凜に顔向けできないのよ!」
明は手に持った槍を風を切って振り下ろした。
同時に尾張のVLSからシースパローが次々と飛び出して言った。
アテナ「日本はぁ♪滅びるのぉ♪」
レティ「みんなのアイドルレティちゃんだよ!よろしくね」
作者「うおお!また、扱いにくい艦魂が現れた」
ラキア「どういう意味よ」
アテナ「気に〜♪な〜る♪」
作者「き、気持ち悪いというか怖い…見た目幽霊見たいだしアテナさん」
アテナ「それは〜♪失礼〜♪だ〜よぉぉぉ♪」
作者「!なんだ!頭が痛い…」
アテナ「ああああああああ♪」
レティ「…」
ラキア「…」
専用の耳栓で塞いでいる二人。
作者「ぐわあああ!まさかこれは歌がうますぎるやつのお約束の超音波攻撃か!ぎゃあああああ!頭がぁ」
アテナ「ああああああああ♪」
作者「た、助けてくれぇ!」
ダダダダダダダダ
耳栓を外すラキアとレティ
レティ「すごく上手かったよアテナちゃん」
ラキア「耳栓を付けてると絶妙よね。コンサートホールで聞いたらこれいらないけど」
アテナ「ありが〜と〜〜♪」
レティ「それじゃあね。読者のみんな。日本滅ぼして尾張が沈むの期待しててね。がんばっちゃうよ」
ラキア「見たければみれば?」
アテナ「さよ〜な〜ら〜〜♪きり〜まるさ〜ん♪か〜んめーいありーが〜とぉ〜〜♪」