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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
米太平洋艦隊大反撃
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第17話 散る命と憎しみ 

「なんだと?中止?」


その報告が入ったのは日本東海岸からおよそ1500キロの地点にスルプーアンス艦隊が

到達したときにもたらされた。


「はい、ニミッツ司令より緊急の通信で直ちに作戦を中止し真珠湾に帰島せよと」


「何があったというのかね?」


参謀長が訪ねると


「はっ!ハルゼー提督の艦隊がほぼ壊滅したと」


「なんだと!」


スプルーアンスは声を荒げた。


「どういうことなのだ?」


「詳しいことは…」


スルプーアンスは知る由もなかったがハルゼーが真珠湾に送った電文は

我が艦隊壊滅せりとただ、その一言のみだったのである。

駆逐艦から続きを送ることは出来るのだがそれをすると日本艦隊に居場所を特定されてしまうかも知れないので無線封鎖を行いハルゼーは駆逐艦で必死に逃げていたのである。


「しかし、ここまで来て中止とは…」


「いや、中止しよう。すぐに真珠湾に引き返すのだ」


スプルーアンスが言った。

しかし、その判断は遅すぎた。


「長官!敵です!航空機の数およそ200機がこちらに突っ込んできます!速さからして

ジェット戦闘機です!」


兵士が血相を変えて飛び込んできた。

スプルーアンスも胃が締め付けられるように蒼白になった。


「逃げるんだ!戦闘機を全て挙げてジェット戦闘機を食い止めるんだ!」


その命令は司令としてはいささかずれている命令ではあったがこの時ばかりはそれは

最善の命令であった。

もっとも…最善が最善の結果を生むとは限らないが…




それは圧倒的な光景だった。

200機の神雷はミサイルを多く取り付けるためにステルス性能を殺して空対空ミサイル

を取り付けられるだけ取り付けてスプルーアンス艦隊を目指していた。

その速度はマッハ2である。

200もの数のためまるで黒い死神の編隊のように迎え撃ったグラマンのパイロット達は

思ったという。

グラマンはおよそ300機で神雷を迎え撃つ。

神雷がミサイルを発射した瞬間グラマンのパイロット達も一斉にロケット弾を発射した。

出し惜しみする必要などない。

どうせ、あの誘導弾ロケット弾は交わせないのだ。

それを理解していたパイロットの1部はロケット弾を撃った瞬間風防を空けて外に飛び出した。

しかし、それは一部である。

ミサイルの数は丁度300、そして、ロケット弾の数は1200というすさまじい数であった。

さすがの神雷も被弾する機体もあり2機の神雷が爆散した。


「やったぞ!」


グラマンから飛び降りたパイロット達はパラシュートに揺られながら神雷が堕ちていく

姿を見て狂喜して叫んだ。

しかし、300のグラマンは全て破壊されるという犠牲と引き換えであった。




2機の神雷が爆発する瞬間にシートが射出されたのを見て原子力空母加賀の攻撃隊を率いていた谷口 悟はほっとした。

独立機動艦隊において今まで戦死者は1人もいない。

初めての戦死者が出たかと谷口は一瞬不安になったがその心配もなさそうだった。

しかし、脱出したパイロットをアメリカに捕虜にされるわけにはいかなかった。

『尾張』、『加賀』もスルプーアンス艦隊を粉砕すればここに来るだろうし

救助ヘリも時おかずに来るだろう。

無論脱出したアメリカ兵も救助しなければならずしばらくは大忙しになるだろうが…

そんなことを考えていた谷口の目に敵の機動部隊が飛び込んできた。

輸形陣をとり空母を守るように戦艦や重巡が対空砲火を張っている。


「攻撃開始だ!」


谷口が怒鳴ると同時に神雷から一斉にミサイルが発射された。




「ロケット弾来ます!」


兵士が悲鳴をあげスプルーアンスは怒鳴る。


「伏せろ!」


あちこちで爆発音が轟きスプルーアンスの乗るヨークタウンも爆発が起こると

傾斜していくのをスプルーアンスは感じた。

ああ、私はここで死ぬのかと思いながらスプルーアンスの意識は途絶えた。




戦艦テネシーが必死に対空砲火を張る。

その艦長はその悪夢のような光景を見ながら


「こんな馬鹿なことが…」


と悲鳴を上げていた。


「ロケット弾来ます!艦橋直撃コースです!」


「うわあああああああ!」


誰かが叫ぶと同時にテネシーに艦橋が吹っ飛び続けて飛来したミサイルが右舷高角砲に飛び込むと火薬庫に引火したのか大爆発を起こしてテネシーは最後を迎えた。




駆逐艦を除く艦船が次々破壊されていく中でグラマンは勇敢に戦った。

制空隊は300機である。

雷撃機は上げられることなく空母と共に沈んでいく。


「ジャップゥ!」


そのグラマンのパイロットの1人ケリー=マッケンジーは叫びながら機銃を発射する。

ロケット弾は全て撃ちつくしものすごい速度で動き回る神雷に今ケリーは機銃のみで

戦っていたがやがてカタカタという音と共に弾切れを起こした。


「くそ!」


体当たりでもして敵戦闘機を道ずれにしてやろうと思ったが早すぎてそれすら適わない。

前方からミサイルが飛んできるのがケリーに見えた。

慌てて風防をあけて飛び出そうとするが間に合わない。

ミサイルが飛んでくるのをまるでスローで見ているかのように遅く見えケリーは最後に

ああ、そういえばシェリーの誕生日のプレゼント渡せなかったなと恋人のことを思いながらグラマンと共に太平洋の空に消えた。




そして、夕刻になる頃にはアメリカの駆逐艦は収容できるだけ兵士を収容すると

全速力で逃げていった。

空母は大破しているのものや中破ですんでいるものもある。

それらを処分する余裕すらなくアメリカ軍は撤退していったのである。

日本まで曳航していけば修理して使えるだろう。

それに正規空母が1隻中破で残っているのも幸いであった。

その戦闘が終わった海域に『尾張』、『加賀』が到着した。


「漂流している兵士を救助しろ。もちろんアメリカ兵も助けるんだ」


椎名の言葉通りボートが下ろされ救助活動が始まった。

重症と思われる兵は先にヘリコプターで尾張と加賀に運び込まれていたので

今頃医療班は戦場になっているだろう。


「…」


その救助の様子をじっと見ているのもがいた。


「どうした霧島?」


椎名が訪ねると霧島は「いえ・・」っと答えなかった。


「霧島。私達は人間なのだ。たとえ敵であろうと助けられる命は助けねばならない。

戦争をしている我らには矛盾したことであってもな」


椎名は霧島が何を考えてるのかを察して言った。

霧島はアメリカを憎んでいる。

未来日本を滅ぼしたのは他でもないアメリカの水爆なのだ。

ロシア、中国なども同様で霧島はそれら全ての国を憎んでいるのだ。


「それは…分かってます。でも…やはり私は…」


絶対に許せないと小さく霧島はつぶやいた。


明「世界最強の戦艦尾張の艦魂の明です」


凛「誰が世界最強よ!最強の戦艦は紀伊で決まり」


明「あら凛、まだいたんだ?」


凛「いたら悪いの?」


明「ロートル艦魂は基地のドッグにでも引っ込んでればいいのよ」


凛「うるさいこの2重人格艦魂!」


明「なんですって!どっちらが最強か教えてあげましょうか?」


凛「望むところよ!核ミサイル発射!」


明「こちらもよ!」


作者「やめてくれええええ!」


椎名「次回は紀伊の話だ。意見・感想もよろしく頼む」













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