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第171話 更なる絶望

偉大な勇者が死ねわずか一時間前。

北海道攻防戦は続いていた。


敵上陸部隊は宗谷岬から能取岬までの広範囲の海岸線からの上陸を計っていた。その数実に100万を越える大部隊であった。

敵上陸から8時間近く経過した夜半になっても敵部隊の進攻は止まらなかった。

特に能取岬周辺の海岸線はT34戦車などが陸揚げされ日本軍の94式戦車を散々に撃ち破った。



「くそ!ごちゃごたゃと!」


大鳳からの攻撃隊は輸送船団を始めは集中的に狙っていたが味方が押されはじめるにつれて陸の援護に切り替わって言った。


敵の目的は北海道制圧である。

ドイツお得意の電撃作戦を真似て北海道を制圧するつもりなのだろう。


北海道を…いや、北海道の半分でも取られれば前線基地となり日本は…


「くそ!」


竜神のパイロットは最後のミサイルを放つと補給のため離脱した。










「情けない奴らだ」

この上陸作戦の指揮を取っているロシアの元帥は言った。

彼がいる司令部から先は北海道の台地が広がっている。

後ろは輸送船団で海上の脅威もないため悠々と物資揚陸を行っていた。

戦場はすでに北海道内陸に移ろうとしている。

うっとおしかった敵の航空機も陸の戦力を叩くために輸送船団攻撃を明らかに減らしていたのだ。

今、元帥の後ろの海には新な上陸部隊が輸送船から下りようとしているところだった。



「まったく。ジャップは陸戦はとんと駄目ですな」


「まったくだ。海戦は滅法強いと噂だがこれでは日本海軍も雑魚の塊さ」


参謀長に元帥はにやりと笑いながら言った。


「バルチック艦隊を破ったのはまぐれという訳さ。東郷は運のいい男らしい」


「まったくです」


「ハハハ」


しかし、彼等の笑みはもろくも崩れさることになる。

慌てた兵が司令部にしている建物に飛び込んできたのだ。


「げ、元帥!大変です!」


「なんだ?」


「み、ミサ…」


ズドオオオオオオンズドオオオオオオンズドオオオオオオン


外からは明らかに陸側からではない爆音が響いた。

しかも、爆発は続いている。


元帥は慌てて参謀達と飛び出し海を見た。


「おお!」


そこには壊滅していく輸送船団があった。

次々にミサイルが輸送船団を沈めていく。


「まさかニブルヘイムが裏切ったのか!」


真っ先に元帥が思い至ったのはニブルヘイムであった。

ミサイルを搭載しあれだけのことができる艦は他は…

元帥ははっとした。


「ジャップのモンスター戦艦が来たんだ!」


元帥は悲鳴をあげて言った。


輸送船団を攻撃しているのは紀伊であった。

姿は見えないがミサイルなら説明はつく。










紀伊は石狩湾で輸送船団に攻撃を開始した。

偵察機を飛ばし座標の確認と戦場を確認した上での攻撃だった。

衛星がないため増毛山地などのせいでレーダーだけではミサイルの射程に入っても攻撃はできない。そのため電子戦用の烈風を飛ばして攻撃を行っているのだ。

炎を巻き上げて紀伊のVLSからトマホーク改やハープーン改が発射されていく。

ミサイルの搭載数は護衛艦などとは話にならないほど違う。一隻いれば戦局を変えてしまう。

それが機動戦艦なのだ。

紀伊は敵の戦車に対しても攻撃を行った。

西の空から飛んで来る多数のミサイルの攻撃を受けロシア連合の輸送船団は壊滅し上陸部隊にも輸送船団壊滅の情報が伝わりおまけにミサイルが飛んでくるとなると混乱が起き逆に日本軍はミサイルによる敵への攻撃の凄まじさに勇気ずけられ反撃を開始した。その結果元々強制で送り込まれた部隊である。

全体的には有利であるにもかかわらず自分達は負けていると思い込み敗走を開始した。

指揮官が怒鳴ってもうるさいと射殺されてしまう有様だった。

囚人を軍に入れたつけが回ってしまったこととなった。












「さて、北海道の救援はひとまず成功だな」


「そうですね。機動戦艦がいない以上紀伊の敵ではありません」


紀伊のCICで日向の言葉に古賀が反応して言った。



「でも、敵の動きがおかしいよな…機動戦艦がこないのは地方の反乱を抑える役目だと思うんだが…」


「ではやはり?」


古賀の問に日向は頷いた。


「保険はかけといたがどうなるやら…」


「保険?」


日向の左側に立っていた紀伊の艦魂、凜が言った。

彼女はCICの中では日向しか見えない。

日向は凜の方を見て頷いた。


「やはり、敵の目的は…」












独立機動艦隊の琉球基地は独立機動艦隊の生命線である。

1943年の技術ではできないミサイルや艦の修理などが行える設備が調っている。つまりここがやられれば独立機動艦隊は補給に問題をきたすのである。



機動戦艦尾張は北海道防衛にも満州への援護にも行かなかった。

理由はドーバー海峡の戦いの傷が癒えていなかったからだ。



尾張の艦魂明は警戒態勢に入っている基地の中を一人で歩いていた。

艦魂である彼女は転移という能力があるためすぐに艦に戻れるための行動だった。

海の方角を見れば自分の体である尾張が海に浮いている。

尾張はドッグを出ているのだ。


沖縄の海は青く美しいが今の時間は闇。月明かりはあるが海は黒く不気味であった。


「嫌な夜ね…」


明はそういいながら歩き出そうとしたがそれは敵わなった。

ウーーーーーーーー

沖縄本島に響き渡るその不気味な音を聞き明ははじけるように空を見上げた。


「空襲警報!」


叫ぶと明の姿は転移の光に消えた。










「孝介!」


尾張艦長椎名の部屋に飛び込むなり明は言った。

椎名は部屋を出るところで明も後ろに続く。


「何があったの?」

歩きながら椎名は口を開いた。


「ドイツの機動戦艦だ。台湾方面から来る。まだ、ミサイルの射程ではないがな」


「何隻?」


一隻ぐらいなら最悪相打ちに持っていけると明は思ったがその言葉は絶望の数字だった。


「敵機動戦艦は3隻だ」


警報が鳴り響く中でも椎名の声は明にははっきりと聞こえた。

作者「悲しみを越え戦艦『草薙』発進!」


兵士「こんどは空中に飛ぶ機能を」


作者「いや、ないよそれは」


兵士「ええ!」


作者「さあ!いざ合格本島へ」


兵士「いっきまーす」


戦艦草薙再発進

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