表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/316

第166話 激突寸前

「敵戦艦をレーダーに捉えました。距離200」


ロシア連合艦隊旗艦『スターリン』の艦長は頷いた。


「噂に聞く日本海軍の戦艦か。よし、速力を落とすぞ。各艦にも発光信号で伝えろ」


「はっ!」


ロシア連合艦隊は戦艦『スターリン』を除けばソ連時代の艦ばかりであった。

地中海などでソ連艦隊はドイツ軍と激突したが結果は大敗北に終わった。

機動戦艦と渡り合うにはソ連の海軍は弱すぎた。

史実でもおそらく日本連合艦隊とソ連の海軍が激突した場合海上戦に限れば日本が圧勝していただろう。

海軍力ならソ連より日本の方が遥かに上だったわけである。

スターリンVS近江、いかにアメリカの最新鋭の戦艦を使用しているとはいえ錬度が違う。

日本海軍の兵達は猛訓練により世界最高水準の錬度を保っているのだ。

それは近江も例外ではない。


「それにしても艦長、作戦目的がよく分かりませんね」


参謀長の言葉に艦長は頷いた。


「ああ、妙な話だよ。近江を見つけたら艦隊決戦にてこれに当たれ。近江を補足したら砲撃可能範囲近くまで速力を落とせとはな」


「何かの作戦でしょうか?」


「私はこの作戦は日本海軍…いや、日本の戦力を北に向けさせるためだと思っている」


「北に?ということは南の方へナチスの軍が攻めるというのですか?」


「それは分からん。だが、この作戦には何か裏があるように思えるのだ。補給などの手配は整っているそうだがこの物量にものをいわせた作戦…陳腐としか言いようのない作戦だ。スターリンの馬鹿はやりそうだがな」


艦長はふんと面白くなさそうにして艦長席にどかっと座った。


「我が軍が押しているように見えます。日本軍もやられっぱなしのように報告を聞く限り思うのですが…」


「君は噂に聞いていないのか?」


「というと?」


「モンスター戦艦だ」


「モンスター…ナチのラグナロクという戦艦のことですか?確かにあの戦艦によりソ連艦隊は壊滅しました…恐ろしい戦艦です」


「違う、紀伊だよ」


「紀伊…日本の戦艦の名前ですな。空を飛ぶと聞きましたが…」


連戦連勝の日本海軍の裏には紀伊や尾張という戦艦が必ず出てきている。

ソ連海軍…いや、ロシア軍の中でも紀伊や尾張の噂は飛び交っている。

1隻でアメリカの全艦隊と渡り合えるだの空を飛ぶだの海にもぐっていきなり現れるだの

突然消えてしまうなど噂は様々だった。

ドイツがあえてその情報を流さなかったことも噂を広める原因となった。


「ふん、戦艦が空を飛ぶなどありえんさ。真実を確かめるにはその戦艦と戦う必要がある」


「そのためには近江を打倒し拝まねばなりませんね。その紀伊という戦艦を」


「ああ…」


そういいながらも艦長はそれは適わぬだろうと思っていた。

何せラグナロクと戦った友人によれば敵の戦艦は姿を見せることなくソ連艦隊を壊滅させて悠々と現れて降伏勧告を行ってきたというのだから…

もし、戦うことがあっても姿を見ずに沈められる可能性が高かった。

もっとも、ラグナロクの時のように降伏勧告をしてくれれば見えるのだが…


「いずれにせよ我々ロシア人はナチの捨て駒だよ…」


艦長は参謀達に聞こえないように小さく言った。

どのみち自分は…いや、自分達は裏切れない。

裏切れば…

艦長はポケットからケースに入れてある写真を取り出した。

そこには今年12歳になる娘が映し出されている。

たった一人の娘だった。

娘はドイツ本国へ保護という名目で捕らわれている。

裏切れば娘が殺される…

それは他の士官達も同じだった。

そう、彼らは裏切れない…人間を捨て冷酷な決断をしない限り…





(私はやっぱり死ぬんだ…)


スターリンの艦魂アリシアは艦長たちの会話を聞いて思った。

もう戻れない。

最新鋭の戦艦として就航したあの頃には…

仲間や姉妹達。

もう、私は会うことはない。

天国というところがあるなら早く行きたい…

栄光の合衆国海軍の英霊達に会いたい。

姉に会いたい…

会って胸の中に飛び込みたい。


だから…



(近江…私を殺して…)


アリシアは青い瞳より1筋の涙を流して敵である相手を思った。






「!?」


「どうしたの零?」


烈風の機内で淳一は零の周りの気が変わったのを感じて言った。


「今、敵の艦魂の声が聞こえた気がします」


「え?なんて言ってるの?」


「私を殺してくださいと…」


「それは穏やかじゃないなぁ…戦場で穏やかも何もないけどね。なんていう艦か分かる?」


「そこまでは…」


「そう、零と対峙する艦かな?」


「分かりません」


「そうか…でも僕らは早く敵の機動戦艦を見つけないとね」


今、烈風は敵艦隊の位置を報告してから他の海域に向かい飛んでいた。

択捉島や国後島などはまだ、日本軍とロシア連合の陸戦が続いている。

2島ともそれなり大きな島なので攻略に時間がかかっているようだった。

ロシア連合はどうやら戦場を分散させているらしい。

日本軍からしたら愚かな行為だがあれだけの陸上戦力があるロシア連合だからこそ出来る無茶な戦法といってもいい。

『物量』、ロシア連合の脅威はまさにそこにあるだろう。


「行くよ零」


「はい」


淳一と零の烈風はドイツの機動戦艦を探すため戦場の空を飛ぶのだった。


激しい攻撃を受け戦艦草薙は大きなダメージを追ってしまった。艦僑に直撃し大ダメージを受けた作者の安否は…


兵士「なんてこった…参謀達は全滅か」


作者「…」


兵士「艦長!衛生兵!」


戦艦草薙中破、どうなる特攻の海?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ