第161話 北海艦隊全滅ス
ズドオオン
ガガガガガ
北海道上陸軍と日本軍の砲音と機関銃の轟音が轟く中ニヴルへイムの艦魂ステラは自分の体である船に入ってくる情報を整理しながら思った。
「これで終わる」
日本攻略作戦。
この北海道上陸作戦さえ成功すれば日本との戦いは陸戦に突入する。
この時期の日本軍の戦力はハワイと満州に新兵器を集めているために大した反抗はかないはずだ。
「もっとも失敗しても問題はないけど」
ステラは肩にかかった金髪を右手で後ろに回しながら言った。
このロシア連合軍によるこの作戦は空母がいないため一見航空戦力が惰弱なものに見えるがニヴルへイムのイージスシステムのおかげでその防空能力を完全にカバーしている。
ロシア連合には空母がないためドイツがニヴルへイムを派遣したのだ。
ズドオオン
ひときわ大きな砲音に目をやるとそこにいるのは戦艦スターリンがいた。
さすがは46センチ砲といったところだがドイツで最新兵器を見ているステラには旧式艦としか映らなかった。
錬度も悪い。
まあ、スラブ人ごときが戦艦を運用するなど身に余る行為である。
その時、ステラのレーダに反応があった。
数は水上艦、数は少し多い。
「やっと来たわけね」
ステラはレーダーはCICに転移した。
「レーダに感!艦影9!速力20ノットで北上中!距離300!」
「来たか」
ニヴルへイム艦長のジークベルトが言った。
彼らの役割の中にある近づく艦船の撃沈、圧倒的な射程を誇る対艦ミサイルでの上陸艦隊支援はニヴルへイムの主任務なのだ。
「目標にロック完了しました」
ジークベルトは頷いた。
「トマホーク…砲撃始め!」
ズドオオオ
すさまじい爆音と共にニヴルへイムのVLSから9発のトマホーク2が発射された。
目標到達は20分後…
それを見ていたステラはレーダに映る9の光点を見つめてつぶやいた。
「出てこなければ長生きできたのにね…」
ミサイルが発射されたことに気づいていない北海艦隊は『利根』を中核として北上を続けていた。
「お姉ちゃん!」
主砲の上にいた利根の艦魂、理恵が振り返ると髪をポニーテールにしている妹の筑摩の艦魂、千佳がこちらに歩いてくるところだった。
「どうした?一応戦闘配備中だぞ?」
理恵は金剛の艦魂、柚子と同じような性格規律には厳しいが妹には優しい艦魂だった。
その表情は北の海を見ていたときよりもやわらかい表情であった。
「うん、ごめんね。なんとなくお姉ちゃん会いたくなったんだ」
「私に?一体どうしたというんだ?」
理恵は首を傾げた。
いつもはこんなことを言うような妹ではないのだが…
千佳は黙って理恵を見つめている。
この世に生まれた。
たった一人の妹を理恵はなんなんだと思って口をあける。
「何もないなら帰れ」
「えー、別にいいじゃないお姉ちゃん」
「駄目だ!さっさと帰らないと今度柚子さんにあった時に…」
「対空戦闘!」
突如その声だけが理恵の耳に響いた。
「なっ!」
理恵が振り返り前を見た瞬間何かが突っ込んできて大爆発を巻き起こした。
「がああああ!」
「お姉ちゃん!」
肩が張り裂けて血しぶきを飛び散らせて床に倒れる直前理恵は千佳の声を聞き意識を保ったが
ズドオオン
「ぎゃあああ!」
理恵の目に見えたのは彼女の後方で爆発を起こした重巡筑摩と全身から血を噴出して倒れる妹、千佳だった。
「千佳!」
何とか近づこうとする理恵だったが激痛が彼女を襲う。
ズドオオン
ズドオオン
そして、立て続けに起こったのは利根を守るように航行していた駆逐艦だった。
悪夢のように飛んでくるミサイルが味方を破壊していく。
ズドオオン
軽巡長柄が船体を真っ二つに折って海に沈んでいくのを横目に理恵は千佳の下になんとかたどり着いた。
「千佳!しっかりしろ!」
「お姉…」
彼女は何か言おうとしたがそれは適わなかった。
その瞬間筑摩が大爆発を越して海に消えたからだ。
千佳の体も時、同じくして船体の死により光の粒子となり消えた。
「あ・・・あ」
たった、今まで何気なくしゃべっていた妹。それが死んだ…
死んだ?
理恵は何が起こったかわからなかった。
いや、知識では理解していた。
あれはミサイルだ。
自分達が届かないはるか遠方から放たれた死の矢なのである。
ズドオオン
ズドオオン
総計9つの爆発。
全ての艦にミサイルが直撃したのだろう。
重巡利根も船体が右に傾斜しており兵達が海に飛び込んでいるのが理恵には見えた。
「ガハ」
びしゃりと口から血が吐き出され甲板を赤く染めた。
理恵はその場にどっと倒れると仰向けになった。
黒い炎が空に立ち上っている。
自分は死ぬのだ。
妹の敵もとれずに…
「柚子…司令…すみませ…ん…私は…ここまでのようです…日本を…」
彼女の体が張り裂けるように一瞬、見えた瞬間重巡利根は弾薬庫に火がつき大爆発をこして北の海に沈んでいった。
9隻の北海艦隊は何も出来ずに全滅したのだった。
ステラはパネルに移る9つの光点が全部消えたのを見て目をつぶりその場から消えた。
兵士「二次試験海域に突入!」
作者「なんだ!何もいないだと?」
兵士「チャンスです。合格本島へ突入するのです」
作者「よし!機関さ…」
兵士「か、艦長!あれは」
作者「な、あれはなんだ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ海が盛り上がり何かが出てくる。
兵士「ち、超巨大戦艦出現!ヴォルケンクラッアーではありません!なんて大きさだ!ヴォルケンクラッアーより大きいぞ」
作者「イレイズ砲発射ぁ」
キュイイイイイインパシュン
兵士「バリアに弾かれました!すごい防御力です」
作者「く…」
兵士「艦長!超巨大戦艦より打電!我ハジェノサイド、最終連合艦隊ノ諸君、君達ハココマデダ。安ラカニ眠ルトイイ」
ジェノサイドの周りにあるリングが周りだしたかと思うと全ての穴から波動砲が放たれた。
作者「波動砲の隙間に入れ!取り舵いっぱぁぁぁい!」
ビシャアアアアアア
兵士「艦長!支援艦隊に波動砲が!」
作者「いかん!」
『ジェノサイド』
全長 24キロ
武装 リング型波動砲数計測不能
バルムンク連射式、数計測不能
ミサイル各種計測不能
バリア搭載型
兵士「艦長!ジェノサイドの周りに敵艦隊が現れだしました!転移で離れていたようです」
作者「いくぞ!この海域を突破すれば合格本島は目の前だ!」
兵士「イエッサー!」




