第15話 死闘!『武蔵』VS『アイオワ』
「敵艦発砲!」
距離が3万7千を切った瞬間その報告はあった。
「距離を考えればあの先頭の戦艦はアイオワか」
と、山本がつぶやいたまさにその時だった。
ズズウウン
というすさまじい衝撃が武蔵を襲い山本は床に叩きつけられた。
「右舷に被弾!」
「消化急げ!」
有馬が怒鳴ると同時に兵士が慌てて山本に駆け寄った。
「長官!」
「大丈夫だ」
山本は頭を抑えながら立ち上がった。
「指揮は私が取ります。長官はお休みください」
と、有馬が言ったが山本は首を振り
「いや、私に任せてくれ。武蔵はまだ、戦えるな?」
「はい!主砲は健在です!」
「よし!撃ち返せ!」
ズドオオン
再び武蔵の巨砲が吼える。
「敵先頭艦に損害を与えました!」
「よし!このまま沈めてしまえ!」
ハルゼーが怒鳴ると同時に武蔵が発砲した。
次の瞬間アイオワにすさまじい衝撃が走る。
ハルゼーは慌てて倒れないように壁にもたれかかった。
「3番砲塔に被弾!使用不可能です!」
「くそ!負けるな!撃ち返せ!」
その時ついに他のアメリカ戦艦も射程に到達して砲撃を開始する。
武蔵の周囲に水しぶきが上がった。
きわどいところで直撃を受けることを避けられたのである。
「のんびりするな!敵の数を減らさなければ!」
その時長門以下の戦艦も射程に到達し砲撃を開始した。
「あの速度が落ちてる戦艦を狙うぞ!撃てぇ!」
ズズウウンと武蔵と長門が砲撃を行なった。
「ニューメキシコ大破!戦闘不能とのことです!」
ハルゼーはぶんぶんと腕を振り回しながら怒鳴った。
「撃ち返せ!奴らを生かして返すな!」
アイオワを始めとする戦艦部隊の砲が火を吹く。
「ああ!山城が!」
戦艦山城が燃えている。そこへアイオワの砲弾が直撃し戦艦山城は大爆発を起こして
海中へと没した。
「山城の敵だ!あの被弾している戦艦を狙え!撃てぇ!」
(奏…)
山本はほんの一瞬だけ友を思った。
(敵はとってやるぞ)
続けざまに爆発が起こった。
アメリカ艦隊の2隻の戦艦が爆発して沈んだのである。
「うわあああ!」
アイオワももはや戦闘続行は不可能だった。
「火薬庫付近で火災!危険です長官!」
「おのれジャップ!」
ハルゼーはじたんだ踏んで悔しがった。
「よし!最後の1発を撃て!それが住み次第総員退艦だ!」
アイオワ、武蔵がほぼ同時に火を噴いた。
それはハルゼーが駆逐艦でアイオワを離れたまさにその瞬間だったのである。
ズドオオオオオオンとすさまじい爆音と共にアイオワが爆沈する。
「ああ!アイオワが!」
駆逐艦の兵士が悲鳴を上げた。
ハルゼーもまた、信じられない気持ちだった。
アイオワはまだ、戦線に出て1月も立っていないのだ。初戦で轟沈とは情けない気持ちでいっぱいだった。
「全艦撤退するぞ!後はスプルーアンスに任せるんだ!」
そして、アイオワの放った最後の悪あがきとも言える主砲の砲弾が武蔵の右舷に直撃した。
「うっ!」
再び床に投げ出されそうになる山本だったが今度はなんとか踏ん張った。
「機関部に直撃!速度落ちます!」
「あ!敵が逃げていきます!」
「何!」
有馬艦長も外を見ると駆逐艦が逃げようとしているのが見えた。
「よし!追撃戦に移る!主砲撃てぇ!」
武蔵の巨砲が吼える。
それはハルゼーのの乗った駆逐艦に当たるかと思われたがそこへ戦艦ワシントンが割り込み轟沈した。
「追撃だ!」
山本が怒鳴った。
戦艦部隊は追撃戦に移ったのである。
その結果敵が見えなくなる頃には敵戦艦を全て大破、または轟沈と言った大戦果という結果が兵士達を喜ばせたのである。
しかし、米戦艦部隊を壊滅させることに成功したがハルゼーの駆逐艦は逃げ去りこちらは
山城を失った。
さらに武蔵も中破という結果で艦隊決戦は日本軍に軍配があがったのである。
後に史上最大の艦隊決戦と言われたこの戦いは後の歴史に「太平洋海戦」として深く刻まれることとなったのである。
史実では対艦攻撃を一切しなかった武蔵の勇姿が歴史に残っ瞬間でもあった。
凛「世界最強の戦艦の座は大和級戦艦に決定ね。
次回予告は他の艦隊の話みたいね。ご意見・感想お待ちしておりますと」