第150話 日本海軍の希望『近江』『大鳳』出撃す
ロシア連合による侵攻を受けて大本営では緊急会議が開かれた。
「満州へ侵攻したロシア連合、これはソ連の兵器を使ったものがほとんどのものですが
ジェット戦闘機がいることからドイツの差し金かと思われます。戦力は少なく見積もっても70万はいるかと思われます」
参謀副長が説明する。
「千鳥列島と樺太に侵攻した軍はどうなっている?」
東條首相が聞いた。
「入ってきている報告によりますと南樺太は戦線の維持が困難として降伏いたしました。
玉砕を禁じている陛下の命を受けての行動です」
「うむ」
参謀総長が頷く
「千鳥列島は占守島を始めとする島々は上陸艦艇1000隻を越える兵力により壊滅しました。敵の水上艦の中には戦艦が1隻確認されミサイル攻撃を受けたという報告もあります」
ざわと大本営のメンバーが騒いだ。
「それはドイツの機動戦艦ということかね?」
東條が聞いた。
「はい、断定は出来ませんがその可能性はあるかと思います」
「独立機動艦隊は今どこにいるんだ?機動戦艦がいるとなれば対抗できるのは彼らと近江しかおるまい」
敵侵攻の報告を受けて独立機動艦隊は紀伊を始めとする全艦隊が日本海から北海道を目指していた。
「すでに出撃しています。半日もあれば到着するかと」
「海軍は油断したな」
「なんだと!」
陸軍の将校が馬鹿にしたようにいうと海軍の将校が怒りに顔を真っ赤にして立ち上がった。
「貴様ら陸軍が満州の国境を安々と突破されていなければこんなことにはならなかったんだ!帝国陸軍は腑抜けぞろいか!」
「貴様ぁ!」
両者が立ち上がって椅子がガタアンと倒れる。
殴りあいになるかと思われたが
「やめろ!やめんか!」
東條だった。
額に十字の血管を浮き上がらせて顔を真っ赤にしていた。
2人の将校は慌てて怒鳴りあいをやめる。
「過ぎたことを言ってもしかたなかろう?今は皇国を守ることを考えろ!」
その場を諫めてから東條が再び参謀副長を見た。
「満州の戦況はどうなっている?原子爆弾研究所は無事なのか?」
「今のところは無事かと思いますが長くは持たないかと…」
敵の侵攻軍は100万を超えているのでかき集めても30万にしかならない関東軍では防衛など土台無理な話である。
「増援は?」
東條が聞いた。
「千鳥列島へは『近江』と新鋭空母『大鳳』を中核とした機動部隊が太平洋方面から向かっています。こちらのほうが独立機動艦隊よりも早く到着すると思われます。しかし、満州方面は手図まり状態です。関東軍は新京付近で防衛線を張るとのことですが…」
「ううむ…」
東條は指を机にトントンと鳴らしながら唸った。
できることはあまりに少なかった。
できることは北海道方面への侵攻に備えることと朝鮮半島で侵攻に備えるなどである。
しかし、侵攻があれば守りきることは難しい。
本土はハワイや南太平洋へ戦力を割いているのですかすかの状態に陥っていた。
後、半年か1年もあればそれなりに戦力を整えることも出来ていたであろうがないものねだりしてもしかたないのだった。
フェンリルの襲撃により見直しは図られていたがすぐにはどうしようもない。
「やはり彼らに頼るしかないのか…」
日本海、太平洋より敵を目指す2つの艦隊の戦力こそが日本の最後の希望なのだ。
大本営が緊急会議を行う少し前、日本の五大軍港であり先日壊滅的な打撃を受けた呉から
1隻の巨大戦艦と空母が出撃した。
任務は北方の連合艦隊撃滅である。
51センチ砲を持ちドイツの未来戦艦を破壊して大きな傷を負った近江はまだ、修理は終わっていなかった。
ジェット機関の1基がまだ、調整中であり北へ向かいながら修理は継続されることとなった。
2艦が高速艦であるためついていける艦は存在しない。
そのため高速艦でない艦隊は函館の北海艦隊と合流して攻撃を仕掛けることになっていた。
日本に残る海軍をかき集めた艦隊である。
緊急編成された第7艦隊の戦力の要はなんといっても近江であった。
独立機動艦隊の艦載機は全て満州へ向かうということになっていた。
「ジェットエンジン作動!」
「ジェットエンジン作動!」
近江艦長森下が言うと近江に取り付けられているジェットエンジンからドーンという爆発するような音がし青白い炎が噴出した。
体が後ろに引っ張られる感覚に襲われるが事前に警報が出されている。
主砲発射並にこのジェット機関は危険な代物なのだ。
隣を航行する空母大鳳も同様であった。
大鳳は初めてジェット機関を本格的に搭載した空母となった。
格納庫は密閉式でなく開放式であり甲板はアングルデッキでありカタパルトも設置されていた。
搭載戦闘機は竜神である。
2艦の兵達は艦内放送で祖国が攻撃を受けていることを知った。
「皇国の興廃まさにこの一戦にあり。各員奮闘努力せよ」
この言葉で締めくくられた第7艦隊は50ノットの高速でロシア連合との決戦の海に向かうのであった。
兵士「左70ド偵察機2機!」
作者「対空戦闘!」
兵士「対空戦闘!」
作者「主砲三式弾砲撃始めぇ」
ズドオオオオオオン
京子「それにしても感想が急に増えたのぉ」
弥生「うれしいよねぇ」
桔梗「せやな、感想は小説を書く原動力や」
京子「しかし、奴は大丈夫なのか?偵察機に発見されおったぞ」
桔梗「合格本島は遠いんや…最後は面白く散るのを期待してるで作者」
弥生「お、鬼だよね京子お姉ちゃんと桔梗お姉ちゃん」
京子「うむ、愛のムチじゃ」
桔梗「せや、感想が増えた以上更新する義務があるしな」
弥生「次は50話ごとの節目だから」
京子「恒例のこれまでのあらすじゃな」
桔梗「ほな、また明日なみんな」