第145話 原子爆弾研究所攻防戦
凪が見た空から見た機甲師団は指揮する戦車はT34の戦車部隊であったが大部分はT26などの戦車であった。
日本軍が主力とする五式戦車の前では敵ではない戦車ではあったが五式重戦車は数が圧倒的に足りていなかった。
向こうはぱっとみただけでも300両は軽く越えているのに対して五式戦車はわずか70両しか配備されていなかった。
「撃てぇ!」
関東軍の指揮官が双眼鏡を片手に怒鳴ると
配備された五式戦車の105ミリ砲が一斉に火を噴いた。
ズドオオン
すさまじい爆音と爆炎を巻き取らす。
それは次々とロシア連合軍の機甲師団の戦車や歩兵に命中した。
地面が抉れ爆風で宙を飛ぶロシア連合の兵士。
「やった!」
関東軍の兵が拳を握り締めて叫んだ。
「馬鹿!こんなもの焼け石に水だ!」
塹壕にいた兵が言った瞬間ロシア連合軍の戦車が一斉に火を噴いた。
ズドオオオン
ドドドオオン
と雷が鳴ったようなすさまじい爆音が轟き兵士は爆風で首を吹き飛ばされないように塹壕にいるものは頭を引っ込めた。
だが、外にいた兵士は砲弾に体が吹き飛ばされ血しぶきを上げて弾けとんだ。
榴弾である。
空からはフォッケウルフがバリバリと20ミリ機関砲を放ち地上の兵士達を次々と死体へと変えていく。
五式戦車の対空機銃が火を噴くが当たらない。
ジェット戦闘機にそんなものが当たるわけがないのだ。
このままでは…
彼らの後ろには原子爆弾研究所と基地があるのだ。
その時1人の兵が、機甲師団が2手に別れているのに気がついた。
その兵は知る由もなかったが1手は原子爆弾の爆発ポイントに向かっているのであった。
さて、その原子爆弾の爆発させるポイントに向かった理由はこうだった。
「建物があるだと?」
上空で偵察を行っていた偵察機からの報告で今彼らが目指している基地から離れたところに鉄条網で囲まれた建物や鉄塔が立っていると一人の元帥が聞いたのだ。
制空権を握り圧倒的なロシア連合軍は部隊を2つに分けた。
1つは報告のあった建物の破壊である。
1万人の部隊をそちらに裂いたのだった。
だが、彼らが戻ってくることはなかった。
永遠に…
基地の放棄を決めた関東軍は原子爆弾研究所に爆弾をセットさせて車に走った。
富嶽で逃げたいところであったが破壊されてしまったのだ。
関東軍の総司令と参謀長が捕まることなどあってはならない。
彼らはトラックやジープを使い脱出を図った。
上空ではフォッケウルフが暴れまわっているので命がけである。
「早くしろ!」
ズドオオン
ダダダダダ
と戦場の音を耳に入れながら彼方はトラックに乗り込もうとした。
「あのドイツの捕虜はもう乗せたの?」
誘導していた兵に彼方が聞いた。
「捕虜は捨てておけと総司令が…」
「っ!」
彼方はトラックから飛び降りるとドミニクが閉じ込められている部屋に向けて走り出した。
「中将!」
後ろから兵の慌てた声が響くが彼方は構わず走った。
前方からフォッケウルフが突っ込んできて機銃を発射した。
ダダダダダと地面を抉りながら彼方に近づいてくる。
「あ!」
彼方はとっさに建物の影に飛び込んで事なきを得た。
「何やってるのよ、凪…」
彼方は空を見上げて言った。
まあ、無茶ではある。
1機で戦局を変えられる戦闘機など存在しない。
それはいくら凪であっても同じだった。
質も大切だがやはり数が多ければそちらが有利となるのは自然だった。
数の暴力という奴だ。
「天城中将!」
「あれ?君は?」
彼方のいる建物の影に飛び込んできたのは桜井 幸樹であった。
一緒のトラックに乗り込んでいたのだが追ってきたらしかった。
彼は彼方の手を失礼しますと握り引っ張ろうとした。
「早く!トラックが出てしまいます!」
「駄目!ドミニクを見捨ててはいけない!あいつの情報はこの先の戦いで役に立つかも
しれないんだから!」
手を振りほどこうとするが幸樹は手を離さない。
「命あってこその情報です!お願いします!一緒に来てください!」
「嫌!駄目よ!」
「くっ…」
幸樹はとっさに彼方を気絶させてでも連れて行こうと考えたが
ヒュウウウウウという不吉な音を彼は耳に入れた。
「危ない!」
「え!きゃ!」
幸樹が彼方に覆いかぶさるように地面に押し倒した瞬間、すぐ近くの建物が爆発した。
ズドオオオオン
建物の破片が飛び散り炎が辺りを荒れ狂った。
「っく…大丈夫ですか中将?」
ぱらぱらと降りかかる小さな破片を頭から払う。
「う、うん…」
2人は立ち上がった。
2人のいる場所からドミニクが監禁されている部屋まではおよそ300メートルほどだがそこへ行くまでは一気に走り抜けなければならない。
ぐずぐずしていれば機甲師団がこの基地になだれ込んでくるかドミニクがいる建物が破壊されて終わりである。
「どうしてもいかれるんですか?」
彼方が建物を見ていたので幸樹が確認するように聞いた。
彼方はうなずいた。
「ええ、行かないと行けない」
「では、中将は戻っていてください。私が行ってきます」
「そんな…」
彼方はそういいながら思わずトラックが置いてあるほうを見て…
「その必要は無くなったわ…」
「というと?」
「見て…」
幸樹は彼方が指したほうを見るとトラックが土煙を上げて発進して遠ざかっていくところであった。
幸樹は絶句した。
「関東軍総司令を乗せてるんだしね。小娘の命なんてどうでもいいということかしら?」
せめてもの救いは原子爆弾研究所の研究者達を全員連れて行ってくれたことだ。
独立機動艦隊から来ている研究者もいるので安全に逃げ切れる保障はどこにもないが
置いていかれるよりはずっとましである。
「そんな…これからどうしたらいいんだ…」
トラックが行ってしまったのでは脱出する手段はない。
走って機甲師団から逃げることは出来ないのだ。
「方法はひとつしかないわね…」
彼方は腕時計と空を交互に見てから行った。
耳につけてある通信機のボタンを押して震電と繋げた。
「凪聞こえる?」
作者「大和はまだか!」
零「…来るんですか?」
作者「いやのりでいっただけです」
零「ひどいです…」
作者「ごめんね…でも大和クラスの戦力がこないとこの劣勢を覆すことは…ドイツの機動戦艦がいたら日本は…」
零「新年早々こんな暗い話で始めるなんてひどいです」
作者「やりたくなかったさ!でもこうなったんだからしかたないのさ」
零「この後どうなるんですか?」
作者「神のみぞ知るです」
零「嘘です。このパソコンを見れば書いています」
作者「や、やめ!ネタバレは駄目ぇ」
零「きゃあああああ」
桔梗「私の妹になにしてんねん作者ぁ」
作者「ぎゃああああ!」
ズドオオオオオオン
零「お、お姉ちゃん」
桔梗「よしよし大丈夫か?怖かったな?」
零「パソコンが…」
桔梗「ん?私らが負けるわけあらへんやろ。信じるんや」
零「うん」
作者「ちくしょう…今年の二回目は武蔵か…ガハ」
パタ