第141話 予兆
ロシア共和国という名の国がある。
ソ連が解体され後のロシアがいかな謀略を用いて悲劇を生み出したかを知っていた
ドイツはソ連を解体し無数の小国をソ連領にばら撒いた。
ドイツで旧型となった兵器などを供給し他国と戦わせる傀儡の連合軍隊がそこにはある。
その国は満州と国境を接しており旧ソ連領から集められた軍が集まっていた。
その数実に40万である。
黒竜江からロシア側に数十キロの集結場所には機甲師団やジェット戦闘機を始めとして
旧ソ連のレシプロの木製戦闘機のヤコブレフが所狭しと並べられている。
ジェット戦闘機はドイツで開発されたフォッケバインではなくフォッケウルフである。
フォッケウルフは日本でいう炎神である。
ジェット戦闘機開発の踏み台のようなジェット戦闘機でありドイツが現在主力戦闘機として量産しているフォッケバインと比べれば劣悪な戦闘機である。
しかし、劣悪でもソ連のレシプロ機よりはましという形でロシア連合軍に供給されてた。
フォッケバインのような最新の技術を渡さないのは反乱を恐れてであった。
もっとも今現在に旧ソ連領の各国が兵を挙げたところで返り討ちにあうのは目に見えていた。
特に海に近づこうものならバルムンクやミサイルにより跡形もなく消し飛ばされる。
ドイツの戦力はそれほどに強大なものだった。
だから従っていれば命が助かる。
「準備は着々と進んでおります元帥」
「うむ」
参謀の言葉を聞きロシア連合軍元帥ヴァシレーフスキーはうなずいた。
「日本軍の動きはどうなっている?」
「国境より100キロほどのところに基地がありそこに集結している戦力があります。
国境に配備されてる関東軍は軽く蹴散らせる規模です。
「ふん…」
ヴぇシレーフスキーは面白くなさそうに言った。
「元帥?」
兵士がいぶかしんで声をかける。
「なんでもない。準備が整えばまた報告に来てくれ」
「はっ!」
兵が走り去るのを見ながらヴァシレーフレスキーは思った。
(くそ…こんなナチの犬のようなことをしなければならんとは…スターリンの馬鹿が)
ソ連という国は正直ヴァシレーフレスキーは大嫌いだった。
正確に言えばスターリンが行った
粛清が気に入らなかった。
あれのおかげで優秀な人材は次々と死んでいった。
だからドイツに負けたんだと彼は思っているのだった。
スターリンが死んだと聞いた時には喜んだものだがドイツの支配となるとドイツはとんでもないことをしてくれた。
ソ連の完全解体、小国への分裂。
ロシア共和国を除く国家の領土はほんのわずかとなりロシア連合などという軍隊があっても結局はドイツのために戦う奴隷である。
されとて反旗を翻して勝てる相手とも思えなかった。
(くそ!せめてこの怒りを奴らにぶつけてやるからな…)
虐殺だとヴァシレーフレスキは口元を歪めた。
2月10日に凪達が満州に到着してから1週間過ぎた。
原子爆弾の爆発実験は思ったより手間取っているようだ。
もっとも目処は立ってきているので後2日か3日はかかるとの事。
「さすがに暇だな…」
凪は震電の中で何気なく言った。
2月17日…いや、0時を過ぎたから18日に深夜、凪は格納庫の震電のコクピットにいた。
魔法瓶に熱いお茶をいれて持ち込んでいるのだが満州ではおいしいデザートもない。
藤宮 桜の作るスイーツがなつかしくなるころだった。
たこ上官を返り討ちにしてからというものこの基地の中では凪を見る目は2つに変わった。
尊敬と嫉妬である。
嫉妬の大半は女であることが関係しているらしいがまったく…
「馬鹿らしいですね」
「うん、こうやって待ってるだけだからやることがないよ」
後部席から聞こえる声に凪は声を返した。
「凪はパイロットして優秀ですから臨時の教官とかすればいいと思いますよ」
「向いてないよ私は…」
月明かりが入る窓の向こうに見える空を見ながら
「飛ぶだけで精一杯の半人前だよ」
「あなたが言うと嫌味にしかなりませんよ?」
「そ、そんなことないよソラ」
凪が振り返るとその少女は首を横に振りながら
「いいえ、嫌味です。そういうことは撃墜されてから言いなさい」
黄色いリボンで止めたポニーテールは背まで伸びてその瞳は凪と同じく青い
『空』、それが凪が彼女に与えた名前だった。
どこまでも空を飛んでいく彼女を思って…
彼女は飛魂、真のエースパイロットが操る機体にしか宿らずまた飛魂は真のエースにしか見えない。
凪は震電を受け取ってまだ、間もないが震電では計11機落としている。
彼女の言うところそれだけでは飛魂は見えないものらしいが彼女の場合は彼方や未来の技術者達が込めた希望が上乗せさせられて凪が見える時期を早めたらしい。
よく分からないが凪は友達が出来たと思っていた。
始めこそ驚いた凪だが凪は艦魂と付き合いがあるので飛行機に宿る魂があっても驚かない。
自分が真のエースというのはやめて欲しいが…
「聞いてるんですか凪?」
「う、うん聞いてるよソラ」
この飛魂の少女は何かと説教くさい。
年は凪と同じくらいの外見なのにこれじゃお母さんだよと凪はよく苦笑していた。
共に飛びたかったがここ数日凪は空を飛べずにいた。
原因はたこ上官かもしれない。
独立機動艦隊ではいかに自由だったかを身を持って体感する凪であった。
「そういえば凪、ロシアのことですが」
「うん?」
話題が分かったので凪はソラの言葉を聞いた。
自分も気になっているのだ。
「国境近くに集結しているロシア共和国でしたか?大丈夫なんですか?」
もちろんそれはここの守りのことである。
現在満州の兵力は20万、公称では30万となっているが実質は20万でも正規の兵は
わずか10万しかいない。
「無理じゃないかな?」
凪は仮に国境のロシア軍が満州になだれ込んできたら防ぎきれまいと思っていた。
彼方を通じて入る情報では相手は30万を越えているそうだ。
関東軍は蹴散らせるといきまいているがそれは無茶というものだ。
確かに竜神や重戦車は満州に配備されつつあるが絶対数が足りない。
「凪はどうするんですか?ロシアが攻めてきたら?戦うんですか」
凪は首を横に振った。
「ううん、逃げるよ。彼方を連れて沖縄に戻る」
それは日向にも言われたことであった。
仮に満州に敵が攻め込んできたら沖縄に彼方を連れて逃げろといわれているのだ。
「ここの人たちを見捨てて?」
「…うん」
ソラに返すその言葉はなぜか胸がとても痛んだ。
凛「ちょ!これどう考えても!」
作者「ハッハッハ、なんのことでしょう?国境に100万以上のロシア連合がいるなんて私は知らないな」
凛「とぼけんじゃないわよ!伊東が書いてるあれに対する挑戦のつもりこのデータは」
作者「げっ!それは」
凛「どうなの!」
作者「決して挑戦などでは偶然重なっただけで内容もまったく違うし…しかし…黙秘する!」
凛「消えなさい!」
作者「みなさん!よいお年を!今年はありがとうございました!紀伊はまだまだ続きます。来年もよろしくお願いします!さあ!こいやあ!」
凛「撃てぇ」
ピカ ズドオオオオオオン