第137話 満州の日々と出会い
満州に到着した天城 彼方はすぐに迎えに来た原子爆弾研究所の研究員達に連れて行かれてしまった。
この場所はソ連が崩壊し建国されたドイツの傀儡国家ロシア共和国との国境から100キロ以上離れている荒野であった。
この研究所から30キロほど離れた場所に今回実験が行われる場所がある。
この飛行場も隣接された研究所がある基地は駐屯する関東軍も多く守りは厚い。
満州には貴重な竜神も多数配備されているし三式戦車や五式戦車の姿も基地を歩いていれば見える。
ハワイや南方に回されている関東軍ではあったがそれだけこの基地の重要性が高いのだ。
万が一占領されて原子爆弾のデーターが敵に渡れば取り返しのつかない結果になる。
なぜ、こんなロシアに近い場所に研究所を作ったのかといえば適した場所がなかったからである。
日本国内でなど論外だし朝鮮半島にもそんな場所はない。
地下で爆発させてもいいが大本営の軍人にもその破壊力を見てもらうためには地上での爆発は不可欠であった。
そのため撮影を行いこれを大本営で流す予定だった。
独立機動艦隊が未来から持ってきた原爆実験のデーターはあったがやはりこの時代の研究者が関わったデーターの方が大本営納得度は高いだろうということであった。
凪はとりあえず従兵という名の少年兵が絶えずついてくることとなった。
悪く言えば監視といっていい。
まったく陸軍と海軍の仲の悪さはどうにかして欲しいと凪は思って従兵と動き回ることとなった。
ちなみにドミニクは監視つきで部屋に閉じ込めてある。
独房にしろと言われたが彼方が階級と権限で強引に押し切った。
逃げ出したら射殺は認めるといったら関東軍の上官はににやりとしていた。
もちろん暴行などは認めない。
そんなことをすれば軍の上層部とつながりのあるうちの長官が黙っていないと脅しをかけるのを忘れなかった。
ドミニクとの約束は待遇と命を助けることが情報開示の条件だったからだ。
凪が止まるため用意された宿舎は研究者(独立機動艦隊から派遣された女性の研究者もいるため関東軍がだいぶ前から用意していた)などが泊まる建物であった。
ちなみに彼方もそこに止まっているが…
2月12日、朝の食事の男も女も時間はやはり共通であり男と女は同じ場所で食べる。
男は急いでメシをかっ込んでから訓練に出てしまうのでなんとなく凪もそれに習って
早く食べてから外に出る兵に続いて出ようとしたところに彼方は死にそうな目でやってきた。
「あ、彼方」
2日前に別れてから1日ぶりとなる彼方との対面であったが彼方の目にはクマが出来ていた。
「おはよう…凪」
めちゃくちゃ調子の悪そうな声で言う彼方である。
トレードマークの白衣もよれよれでもしかしたら2日寝てないのかも知れない。
「もしかして寝てない?」
彼方に聞くと彼女はうなずいて椅子を引いて座った。
「何考えてるのあの研究者達…信じられない…言ったことまったく分かってない…
そもそも核分裂というのは…」
ぶつぶつといいながら凪の従兵 桜井 幸樹(下士官で内地から徴兵されて満州にやってきてしごかれている少年でパイロット希望で凪より2歳年上)。
に濃いお茶を持ってきてもらい彼方に渡す。
「コーヒーはないの?」
凪は幸樹を見ると彼は聞きに言ってくれたがないということだった。
「持ってきたらよかった…」
恨みがましく言いながら
彼方はお茶を飲み干して頭をふらふらさせながら言った。
「大丈夫?少し寝たら?」
食堂には幸樹を含めて3人だけ。片付けをしているものはいるが数に含んでいなかった。
「そうしたいけど私がいないととんでもない方向に転がりそうで怖い…ありがとう」
「はっ!」
幸樹が新たに持ってきてくれたお茶を飲みながら彼方は小さくあくびした。
「ふぁ…」
「やっぱり寝たほうがいいよ。せめて1時間ぐらい寝ないと持たないよ?彼方が倒れたらそれこそ本末転倒だよ?」
「ん…」
分かっているのか分かっていないのか目をしょぼしょぼさせている彼方を見ていると美少女が台無しである。
だが人は誘惑には弱い。
特に少しくらいならという誘惑には…
「じゃあ少しだけ寝ようかな?後で研究所の誰かに伝えといてくれる凪?」
「うん、分かった」
ガタンと立ち上がると彼方はふらふらしながら出て行った。
よほど眠いのだろう。
後ろから2人の兵がついていくのが見えたがおそらくは護衛だろう。
万が一誘拐でもされたら大変な人材である。
「アハハ…」
凪は苦笑しながらお茶が入っていた彼方の湯のみを洗い場へ持っていこうとした。
「私がやります中尉!」
と幸樹が言ってくれたが凪は私がやるよと洗い場まで持っていってしまった。
呆然としている幸樹を見て凪はあっもしかして上官に怒られるのかなと思い。
「もし、上官に怒られたら私の名前を出してもいいよ?」
「はっ!ありがとうございます!」
と敬礼した。
凪としては年上にそこまでかしこまられるのは苦手なのだが軍隊なのだからしょうがないとも思う。
でも
「あの桜井さん」
「はっ!桜井と呼び捨てでおよびください!」
「あ、はい、じゃあ桜井さん。あんまり敬語とか要らないですよ?私だってただの兵士なんですから」
「し、しかし…」
軍隊とは規律が絶対である。
こんなこと関東軍では言われないため幸樹は戸惑っているのだろう。
「中尉はちゅういかと…」
悩んだ挙句彼は結局言葉を変えようとはしなかった。
独立機動艦隊ではあまり階級では呼び合わないので気楽だったものだがやはり外の軍隊は
こんなものなのかと凪は思った。
2042年の日本空軍はもう少し融通が利いたものだがこの時代は鉄拳制裁が当たり前の時代である。
まあ、日本空軍でもなかったといえば嘘になるがやりすぎは駄目だった。
独立機動艦隊では日向が禁止しているためよほどの理由がない限り破れば営倉へぶち込まれる。
「じゃあ、せめて凪さんにしてくれませんか?私のいた場所では大体は名前で呼んでもらえるので。上官がいるところでは強制はしませんが…」
幸樹はそれでも渋っていたがやがて分かりましたといってくれた。
なんだかいじめたような感覚に陥ってしまった凪であるがとりあえずまとまったのでほっとした。
さて、訓練でもするかと凪は立ち上がったのだが凪はこの後、災難に巻き込まれることとなるのだった。
作者「実際どうなんだろ?」
凛「何が?」
作者「満州での日々なんて書いてますが実際関東軍の航空隊がどんな訓練をしていたかとか調べてもなかなかわからないんですよ」
凛「いいんじゃない?メインは原子爆弾なんだし」
作者「どうなることやら…」
凛「ふん…結構先まで書いてるくせに。知ってるのよ?訂正いれながら毎日更新してるの」
作者「ハハハ!なんのことでしょう?」
凛「気に入らない!」
作者「ぎゃああああ!」
ズドオオオオオオン




