第133話 大空の青き騎士
凪達一行を狙った戦闘機は中国共産党の所有する戦闘機だった。
ヤコブレフというレシプロの木製機である。
ソ連がドイツに崩壊させられて敗走するソ連兵の武器などの一部が中国に流れ込み抜け目ない毛沢東はソ連兵達を保護して戦闘機を使っているのだった。
今回の襲撃では要人が蒋介石と会うというある特定の情報を元にした襲撃だった。
「戦闘機が2手に別れたぞ」
中国共産党の戦闘機隊を率いていたワン大尉が言った。
ワンは部下の戦闘機隊に攻撃を命じようとして仰天した。
「なんだあいつは!」
一瞬前には遥か遠くにいたはずの青い敵戦闘機がみるみる近づいてくる。
ものすごい早さである。
実はワンを始めとする共産党軍はジェット戦闘機を相手にするのは始めての経験だった。
「う、撃ち落せ!」
慌てて命令すると同時に青い戦闘機の機関砲は火を噴いた。
ドドドドドド
そのすれ違いはほんのわずかにも関わらず2機のヤコブレフが炎を巻き上げて落ちていく。
一機は機関砲で翼が砕け散り炎を上げて墜落しつつある。
木製のソ連機はよく燃えた。
「っ!くぅ」
すさまじいGに耐えながら彼方は悲鳴を上げた。
戦闘機のGというのはすさまじく耐G機能のあるパイロットスーツを着ているとはいえ
デスクワークの彼方にはきつい。
「大丈夫彼方?」
ヤコブレフの編隊とすれ違い、彼らの遥か後方まで来た震電の通信機越しに聞こえる彼方の苦悶を聞き凪が言った。
かなりきつい加速であるが凪にとってはなじみのGであった。
最大速度はまだまだ出ていない。
「だ、大丈夫…だからさっさと倒してしまって…」
やはり苦しそうだった。
凪はミサイルを安全装置のカバーをちらりと見てミサイルで一気に方をつけるかと思ったが満州に行くとき何が起こるかわからない。
ミサイルは温存したかった。
「彼方、もう一回行くよ」
「分かった」
絶望的に聞こえる声を聞きながら凪は操縦根を倒した。
ありえないとワン大尉は思った。
やはりこんな攻撃は無茶だったのだ。
ワンの上官はあれを手土産にやってきたあの金髪に騙されたのだ。
確かに敵のルートは正しかった。
だが、まったくかなわないではないか。
ワンはたった1回のすれ違いですっかり戦意をなくしていた。
無理もない。
シューティングスターや炎神クラスの戦闘機ならまだ対処の使用はあっただろうが
ワンは知らないが相手は最新鋭を越える超戦闘機である。
勝てる見込みなどなかった。
「逃げろ!逃げるんだ!」
恥も外聞もなくワンは部下達に怒鳴った。
しかし、それは一歩遅かった。
ドドドドドド
再び響く不吉の…いや、自分達を死に追いやる機関砲の音。
ボンと炎を巻き上げて3機の機体が炎に包まれて落ちていく。
「ぐっ!」
ワンは嫌なものを見た。
コクピットで体中に炎を纏いながら暴れまわる部下を見たのだ。
昨日共に酒を飲んだ仲間であった。
青い戦闘機は再び前方から旋回して突っ込んでくる。
中世のランスを持つ騎士の戦い方に似ている。
「英語でブルーナイトとでも言うのか?あれは…」
それが彼の最後の言葉となる。
すさまじい旋回速度で旋回した震電が再び機関砲を発射したのだ。
ワンはコクピットを30ミリ機関砲に貫かれて死んだ。
他の戦闘機も同じく炎を巻き上げて落ちていった。
「お、終わったの?」
死にそうな声で言ってくる彼方の声を聞き凪は機体を巡航速度に戻した。
「終わったよ彼方」
「結果は?」
「10機撃墜」
「よくやった」
「うん、ありが…」
その瞬間震電の中の警報装置が鳴り響いた。
「え?ミサイルロックの警告音?」
彼方が言ったときには凪は機体を加速させていた。
ミサイルは種類にもよるがマッハ2以上は出る。
未来のミサイルは戦闘機よりも遥かに早いミサイルもあるのだ。
凪は航空レーダーを見ながら相手を確認。
敵は下に隠れていたようだ。
下は森だから垂直離陸とたと考えるのが自然。
そして、ミサイルを使える国はただ一つ
敵はドイツの未来の戦闘機に相違なかった。
共産党の戦闘機がやられたのを森の中でレーダー越し見ていたパイロット
ドミニクは悪態をついた。
「なんだよ。せっかく奴らの通る道を教えてやったのにやっぱりチャイニーズは使えないねえ」
金髪のドミニクはヘルメットをかぶると風防を閉めた。
エンジンを点火させる。
「さて、奇襲と行きましょうか?」
グンと操縦根をドミニクは引きながらミサイルの安全装置を外した。
上昇して巡航速度まで落ちている敵の青い戦闘機を捕捉する。
「…」
ロックオンの表示が出た瞬間
ドミニクは無言で赤い発射ボタンを2回押し込むと震電に向けて2発のミサイルが発射される。
最大速度はマッハ7出る空対空ミサイルである。
「悪く思うなよ」
ミサイルはまっすぐに震電を追っていった。
作者「いよいよ空戦開始です。いやあ、海戦もですが空戦も難しいですね」
凛「もう何もいわない…」
作者「世間はすっかりクリスマス直前のこの時期」
凛「そういえばあんた短編書くとかいってなかった?」
作者「ハハハ予定は未定といいます。便利な言葉ですよね」
凛「ただいい加減なだけでしょそれは!」
作者「ぎゃああああああああ!」
ズガアアアアアン
凛「意見・感想待ってるわよ」




