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第126話 全滅

戦艦と空母を奪われたアメリカ第3機動部隊…

護衛空母が残っているのでかろうじて機動部隊という名を保っているに過ぎない第3機動部隊は暗かった。

司令のゲイルは放って置いてくれと部屋にこもってしまった。


輸送船団を守る戦力は駆逐艦と護衛空母のみなのだ。

戦艦と空母を引き換えに…

第3機動部隊は雪辱を晴らすためにも本国に帰り着きたかったがその願いはかなうことはなかった。



「ゲイル少将!」



鍵をかけているはずの部屋を兵はゲイルがいくら呼んでも出てこなかったのでドアを蹴破って入ってきた。


「な、なんだ貴様!」


ゲイルは無礼きわまる兵を怒鳴ろうとしたがとんでもないことを兵が言った。


「レーダーに艦あり!戦艦です!」


ゲイルはため息をついた。


「大丈夫だ。ドイツは攻撃はしないと…」


それが彼の最後の言葉となった。


ズドオオオン


「うわああああ!」


すさまじい爆風にゲイルを呼びにきた兵士は吹き飛ばされ廊下の壁に叩きつけられた。

薄れ逝く意識の中前を向くとゲイルのいた部屋が消滅していた。

周りにはバチバチと炎がはぜている。


「ママ…兄さん・・・」


意識を失った兵士は炎に包まれてこの世から去った。



1000隻に近い輸送船団は今や地獄とかしていた。


「なんだ!一体何が!」


駆逐艦の艦長が怒鳴る。


「モンスター戦艦のロケット弾攻撃です!」


兵士が悲鳴のように叫んだ。


「馬鹿な!ナチスは約束を違えたのか!」


見れば旗艦となっていた護衛空母が燃えている。

輸送船団も次々ミサイルにより吹き飛んでいく。


「ロケット弾来ます!」


兵が悲鳴を上げた。

駆逐艦の艦長は慌てて空を見るとミサイルが見えた。


「う、うわあああああ!」


ズドオオオオン


駆逐艦は真っ二つに折れて海へと沈んでいった。

まさに地獄絵図であった。

防御など皆無に等しい輸送船や駆逐艦などはミサイルに次々と沈められていく。

艦魂達も一撃で血しぶきを上げて絶命していくまさに大量殺戮の現場であった。


「卑怯者!」


あまりに非道な攻撃。

約束などなかったかのように船が沈められていく。

呪いの声を上げ続けるアメリカの艦魂達は何も出来ずに沈められていく。

護衛空母は航空機が全滅しているため出撃は出来ない。

いや、あったとしてもこの状況では何もできまい。

彼らは無力な赤子なのだ。












その機動戦艦の名はヘイムダルと言った。

機動戦艦はアメリカ輸送船団から50キロの位置でバリアを解くとミサイルによる殺戮を開始した。


撃沈 撃沈と次々入ってくる殺戮の報告。

戦争という名の大量虐殺ジェノサイド…


ヘイムダルのCICでは女艦長であるレニー・ロイターが報告を聞いていた。


「敵戦力の半分以上を撃沈しました。続けて攻撃をいたしますか?」


副長がレニーの方を見て言った。

レニーは年は30代といったところで赤い眼鏡をかけていた。

眼光は鋭く美人ではあったが生粋の軍人といった艦長であった。

レニーは副長を見て


「無論だ。接近して主砲も使え」


「はっ!」


直ちに攻撃命令が出される。

核融合炉の動力でどっと加速したヘイムダルの艦隊の速力は70ノット。

ぐんぐんとアメリカの輸送船団へ向かっていく。


「主砲!撃ち方始め!」


「了解!撃ち方ぁ始め!」


レニーの命令が復唱され液晶パネルに兵が手を置いた。







三連装の巨砲はそれぞれダンダンダンと音を立てて巨砲を哀れな輸送船団へ発射する。

狙いは性格でどれも外れることなくアメリカの輸送船団は沈んでいく。

戦艦、正規空母を失った艦隊に反撃の機会などなかった。


「艦長、アメリカ艦隊が約束が違うと通信を送ってきていますが?」


「無視しろ」


「了解いたしました」


ドイツははなから約束を守る気などなかったのだ。

いや、正確に言えばあったのだ。

今回のアメリカ戦艦、空母の捕獲作戦の司令はワグネル中将であった。

だが、この男は義理に厚いため後の脅威となるアメリカ艦隊を逃がしてしまう危険があった。

フレドリクは彼に任せるといいつつも艦隊の他に遊撃として使っている

ヘイムダルを別系統の命令でアフリカへ派遣していた。

カイザー、フェンリルもこの別系統で動く艦隊であった。

一体ドイツはどれほどの大艦隊を昭和の時代に送り込んでいるのか…

ここで明かすのはやめておく。



















「約束が違う!これじゃアリアさん達は一体何のためにドイツに…」


怒りと恐怖に感情を支配されながら駆逐艦の艦魂は叫んだ。


アメリカの駆逐艦の艦長達はモンスター戦艦に突撃を命令した。

1隻でもいい。

1隻でも輸送船を守るのだという思いを込めて…

しかし、現実とは無情なものだ。

砲弾は1発1発が寸部違わずに回避行動を取る駆逐艦や輸送船に命中していく。

敵の発射の炎の1発1発が死の炎なのだ。


ドバンドバンドバンとまるで冗談のように駆逐艦と輸送船は数を減らしていく。

悲惨…

その言葉以外の言葉は思いつかない。

ヘイルダムの攻撃がやんだ時にはもは浮かぶものは大破してもはや沈むのも時間の問題のアメリカの艦船のみであった。


「ひきょう…も・・・の」


甲板の上で血の海の中で倒れていた一人の艦魂が薄れていく意識の中、力を失っていく青い瞳を名も知らないドイツの戦艦に映していたある駆逐艦の艦魂は最後にガハっと血を吐いて己の艦が爆発して死んだ。


『全滅』であった。

ゲイルが率いていた艦隊は全滅したのである。

死者も数十万はくだらない。














「ひどい…」


ただ1人、その殺戮の戦場で生き残った艦魂、その名をテレサといった。

ヘイムダルの艦魂である。

12歳くらいの金髪に青い瞳の少女は髪をツインテールにして先の部分をさくらんぼの

髪飾りで止めていた。

彼女は泣きそうな顔で戦場を見ていたのだ。


「ここまでするなんて…」


テレサは優しい艦魂であった。

戦争をするのは仕方ない。

ドイツがやろうとしていることは形はどうであれ戦争を根絶することなのだ。

だから自分が戦うのは仕方ない。

でも約束を破り皆殺しにするなんてこんなのあんまりではないか。


「でも私には何も出来ない…」


そう、艦魂にできることはただ見ることだけ。

艦長などと話ができる艦魂ならまだいいがテレサの艦長であるレニーには艦魂が見えていなかった。

止められない…

艦魂である自分には止められないのだ。

それが望まぬことであっても…


「ごめんなさい…」


涙を流しテレサは敬礼する。

せめて散っていった英霊達に対する尊敬を込めて…















この後ヘイムダルは海に浮かび助けを求めるアメリカ兵を無視して帰還を開始した。

救命道具が一切投げ込まれなかったアメリカ兵たち達はこの後23時間後にアメリカの潜水艦が来るまでに多くがさめに食われたり力尽きて死んでいった。

最終的に助け出されたアメリカ兵は10万にも満たなかったという…

そして、この事実がアリア達に知らされたのはずっと後のことであった。


この戦いによりアメリカはアフリカにおける制海権を完全に失ったのである。


テレサ「いくらなんでもひどすぎます」


作者「ごめんなさい!」


テレサ「鬼ですかあなたは?」


作者「ならフィリア様達を止めてくださいよ」


テレサ「無理に決まってます!あなたが止めるべきでしょ!」


作者「問答無用で殺されるから」


テレサ「私が殺してあげます。それが英霊に対するせめてもの償いです」


作者「ま、待って!話せばわかる!話せば…ぐぎゃあああああああああああああ!」


ズドオオオオオオオオン


テレサ「せめて読者の方だけは彼女たちの死を悲しんであげてくださることを願います。ご意見と感想もお待ちしています」



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