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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
変わりゆく太平洋戦争
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第11話 3ヶ月の静寂

紀伊が現れてから3ヵ月の月日が過ぎた。

その未来からの戦艦は日本に協力を申し出ると共に様々なことを要求してきた。

中にはとても納得できないと反対する内容もあったが東条内閣は天皇の統帥権を理由に

それら全てを受諾し実行に移された。

資金面で難のあった独立機動艦隊の基地は約束どおり資金は独立機動艦隊から出された。

その資金はどこから?簡単である。

大型輸送船の1つに純金を満載した輸送船があるのである。

貧乏国日本とはよく言われた昭和の日本である。

未来の日本人も基地建設の金を捻出するのは困難だろうということでどこの時代でも価値の高い純金をありったけ持たせたのである。

従ってまたまだ資金に余裕があった。

話の中にあった蒋介石政権との話し合いもうまく言った。共産主義と戦うことを条件に

蒋介石を頭にした中華民国を樹立。満州もそのまま独立国として残ったのである。

レーダーの開発とVT信官の開発もすでに完了した。

未来からの技術者達をそれぞれの研究施設へ派遣しそれらは行なわれた。

といっても2045年式のレーダーを作ったわけではない。この時代で作れる最高の

レーダーを作りそれを空母を中核として取り付けていったのである。

しかし、思いのほか難航したのはジェット戦闘機の問題だった。

ジェット戦闘機そのものはすでに量産するための工場の完成を待つ状態であったのだが

パイロットの育成に時間を取られていた。

ハリアー隊の小川大尉を始めとする独立機動艦隊のパイロット達はそれぞれの愛機を持って日本の各飛行場に教官として赴き指導に当たっていたが残念ながらレシプロ機でエースであったものでもジェット戦闘機に慣れるのに時間がかかる。

それにミッドウェーでベテランのパイロットを多数失った状態からの教育である。

自然とパイロットの多くは新兵が集まり教習に時間がかかる結果となった。

しかし、本来なら特攻機として散っていった若者も中にはいたはずだから

彼らにとっては幸せなことでは会ったのだろうが…

ジェット戦闘機『炎神』はロケット弾攻撃を主と置いた戦闘機で魚雷はつめないが

時速900キロを出すことの出来る戦闘機だった。

未来での協議の結果この時代で量産できるレベルでのジェット戦闘機の開発は

この『炎神』が限界であった。

無論ステルスなどつくはずもなく形も初期のアメリカのジェット戦闘機シューティングスターに近い。

魚雷を搭載可能なジェット戦闘機も現在開発中ではあるが当分はレシプロ機と並行して

この炎神は活躍していくだろう。

次に大和の機動戦艦への開発だがこれはもめた。

その対象となったのは46cm砲の撤去についてである。

速射砲への変更を未来の日本人は考えていたのだが46cm砲なくして大和であらずという意見が速射砲への変換を行なおうとする陣営と対立しついには1部の将校が大和の1部を占拠するという事件まで起こる大事となった。

それはすぐに収まったが日向は大和の46cm砲を残すことはできないかと技術者達に

打診してみると少々戦闘力は落ちるが46cm砲は残されることとなった。

それに日向とて46cm砲は役立たずとは思っていない。

史実でもあまり知られていないことだがアメリカのアイオワ級戦艦がミサイルを搭載できるように改造されイラク戦争に参加して、艦砲射撃を行なっている。

つまり対地攻撃にはまだ巨砲は有効な兵器であり戦艦の出る幕はあると日向は思っていた。

それに46cm砲は大和の象徴であるということも日向は納得した。

その結果46cm砲は残したまま大和はドッグで改装を受けている。

戦線に復帰するのはまだ先になりそうだった。

そして、3国同盟の破棄である。

これは陸軍の猛反対にあった。

日本陸軍はドイツの陸軍を尊敬しているのだから当然の反応だったわけだが

なんとか説得しドイツにそれを通知するとヒトラーは激怒し国交断絶を日本に通告し

た。

同盟破棄は国際的にも信用を失うよくない前例だが致し方ない。

次に空母の増産だがこれは未来の日本人も考えがあった。

荷を全て降ろした大型の輸送船の1部を空母に改造しようというのである。

元々そのつもりで作られていた1部の輸送船は空母に改造しやすいように出来ていた。

10隻の輸送船が日本軍に渡され後に『紅龍』として就航することになる。

輸送船改造ながらも正規空母並みの能力を持つ『紅龍』は主力として活躍していくことに

なるが今はドッグで改装中である。

そして、残り20隻のうち7隻はトラック諸島などの石油の日本本土への輸送任務に従事し

大量の石油を日本本土に送ることに成功する。

潜水艦などもレーダーの存在とシーホークを乗せておりこの3ヶ月で沈んだ輸送船は0である。

しかし、これは少し妙なことである。

シーホークを積んでいて対潜警戒をしたパイロット達によれば敵潜水艦との接触は0だというのだ。

これはおかしすぎる。

日向はこれを元にアメリカの作戦を考えることとなったのである。

最後に広がりすぎた戦線の縮小だがこれはうまくいかなかった。

現地の将校が反対してなかなか撤退してくれなかったのだ。

その結果3ヶ月たった今でも多数の日本軍が南方の島々やキスカ、アッツなどに日本軍

が残された。

いずれ撤退の支援を独立機動艦隊は行ないたい考えだったがまずは3ヶ月で復活したで

あろう太平洋艦隊を叩き潰さなければならない。

出来ればその返し刃でハワイを占領したいところだが現状の戦力では

維持することが困難として見送らなければならない。

全ては復活した太平洋艦隊が取る行動にかかっている。

現在、敵の機動部隊に日本が対処できる数は3つのみである。

『紀伊』を中核とした第1機動艦隊、『尾張』を中核とした第2機動艦隊

さらに戦艦部隊を中核とした日本連合艦隊である。

しかし、3つ目の連合艦隊の戦力では空母に航空機に対しては無力に近い。

従って日向は今回第1機動艦隊の『飛龍』と第2機動艦隊の『加賀』の2空母を

臨時に連合艦隊の戦力に組み込むことを山本に打診した。

アメリカの出方を史実通りであれば分けたとしても3艦隊、あるいは全機動部隊による決戦体制でくるかの2通りを日向は考えていた。

とはいえ日本本土を無防備にするわけには行かないので現段階で独立機動艦隊は全艦隊を動かすことはできないので対処できるのは2つである。

無論無理をすれば4つに対処できるが危険が付きまとうので今のところその対処法を

取るつもりはない。

そして、戦場になるのはガタルカナル島を狙う艦隊との戦いである。

一気にフィリピンを狙う可能性もある。

日本本土を目指す振りをして戦力をあぶりだそうとしてくるかも知れない。

いずれにせよ全て大勝利しなければならなかった。

日本はこれ以上の敗北は絶対に許されないのである。

現在の敗北続きのアメリカならば必ず仕掛けてくる。

それにこの戦いを凌ぎきれば日本は戦力を整え再び攻勢に出ることも可能になる。

その時こそハワイを占領しアメリカに降伏を迫るのだ。

次の戦いは日本の運命を決める戦いであった。


凜「長々とした説明ね。次回はアメリカ艦隊の動向が分かるみたいよ。

ご意見・感想お待ちしております(棒読み)。これ作者から伝言」


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