第107話 見えるものと見えないもの
艦魂新聞『桜』とは艦魂達の新聞である。
1日1回と数は少ないが結構正確な新聞である。
今回を除いては…
連合艦隊司令長官の座を明日に山本長官に返すことになっている現連合艦隊司令長官小沢 治三郎は宇垣と数人の護衛の兵士を連れて真珠湾基地の中を歩いていた。
「しかし、山本長官が無事で本当によかった」
「一時、私は腹を切ろうかと思いましたよ」
宇垣の言葉に小沢は首を横に振った。
「自決はするなと陛下がおっしゃていただろう」
「そうでした…」
「しかし、山本長官も困ったものだ」
今回の山本長官の富嶽の撃墜は小沢にも責任があった。
無理矢理にでも止めていたら山本長官は怪我をしなかったのではと…
なんとなく気になり史実の歴史を見てみたら自分は同じような失敗をして山本長官を失っていた。
だから次こそは同じ失敗はしないと決意していたのだが山本長官は
「一度日本に帰らなければならない。俺が連合艦隊司令長官に戻る明日には日本に向けて立つつもりだ」
と言ったのだ。
もちろん周りは猛反対した。
後一歩で山本長官を失うところだったのにまた同じような目にあわれては敵わないと。
しかし、山本は強情だった。
仕方なく小沢は山本と話、戦艦で戻るように妥協してもらった。
その艦は大和か紀伊が相応しいと小沢は思っていた。
紀伊は独立機動艦隊の所属なので日向に確認をとらなければならないがあの男なら承諾するだろうと小沢は思っていた。
「しかし、今日も暑いな…」
むっとする太陽を恨むように小沢は一瞬見上げた。
「まったくです。寒いのも困り者ですがこの暑さでは日本の寒さが…おや?」
「どうした宇垣?」
宇垣が急に立ち止まったので小沢と護衛も足を止めた。
小沢は宇垣が見ている方向を見たが何もない。
「艦魂がいます」
小沢はなんだそんなことかと思った。
「そりゃいるだろう。私は見えんが見渡せば戦艦、駆逐艦、潜水艦のより取り見取りだ。そういえば宇垣は山本長官と一緒にいるとき急に見えるようになったそうだな」
「はい、比叡の艦魂に出会いました」
「ほう、比叡か。大和の艦魂はどんな姿なんだ?」
「見たことはありませんが…着物を着ているそうです。し…比叡に聞きました」
「着物か、大和撫子というわけだ。君が今見えてる艦魂は何の艦だ?」
「あれは…」
小沢はなぜか港から基地の出口に繋がる道の脇で隠れるようにしている艦魂の顔を見たが知らない艦魂だった。
ただの子供の可能性はあるが小沢が見えていないのだから艦魂で間違いない。
「私の知らない艦魂です。一人は士官服でもう一人は水兵服を着ています」
「片方は戦艦か空母の艦魂、もうひとりはそれ以外というわけか?」
宇垣は朱里に教えてもらった艦魂の階級を思い出しながら頷いた。
「はい、士官服は戦艦か空母の艦魂、水兵服は駆逐艦や潜水艦と聞いています」
「よし、話し掛けて見ろ」
「しかし、小沢長官は見えないのでは?」
小沢はにやりとした。
「通訳をしてくれればいい。できれば長門の艦魂に会ってみたいものだ」
「分かりました」
こうして小沢達は隠れるようにしている二人の艦魂へと歩いていった。
作者「いやぁ、最近は寒くなりましたね(2008年11月22日)」
凛「あんた確か神戸だったっけ?」
作者「もうコート引き出しました」
柚子「情けない!帝国軍人たるもの寒中水泳ぐらいしてみせんか!」
作者「そ、そんな無理です。一応運動は毎日してますが…」
柚子「駄目だ!この100倍はしろ」
作者「無理です!」
柚子「さあこい。海軍魂叩き込んでやる」
作者「た、助け…ぎゃああああ」
凛「さすがにあわれね…じゃあ意見・感想待ってるわよ」




