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第103話 1日の流れ その1

山本長官襲撃事件も終わり…

1943年1月9日午前8時、山本長官復活も決定的になったこの日、日向 恭介は朝6時に目を覚ました。

大和なら総員起こしが始まるこの時間。紀伊でも例外はなくスピーカーから起床の放送が流れる。


幹部にとってはその放送は意味がないので恭介は隣のベッドですやすや眠る凛を起こさないように廊下に出てから甲板に向かう。


途中配置に向かう兵とすれ違うと彼等は敬礼してから去っていく。

配置に向かうのだ。

今は戦時である。

最高レベルのレーダーや近代兵器のある紀伊のCICには24時間体制で当直3交代性のローテーションで回っている。


Tシャツ姿で甲板に出ると朝の清々しい風と共にハワイの熱風が肌を刺激する。

「熱ぃ…」


目を細めて太陽を疎ましげに見てから恭介は後部飛行甲板に向かう。

そこはエレベーターからハリアーが出てく甲板であるが今は誰もいないはずであった。

そこに向かうため角を曲がろうとした恭介であったが突然飛び出してきた人物と恭介はぶつかった。

「きゃ!」


「おっと…」


何かを抱えていて尻餅をつくしかなかった相手の右手を掴み結果的に抱き寄せるような感じになるが恭介は気にしない。相手が女の子だと声で確信したからだ。

ドンと軽い衝撃があり相手が自分に引き寄せられた。


「大丈夫か…」


顔を見たのは一瞬だったがそれが誰か知っていた恭介は


「…神崎」


彼女、神崎 凪は持っていた水筒と袋を大事に抱えながら真っ赤になった。


「あ、え?日向長官…なんで?」


紀伊の中では少ない方の航空要員にして最年少のパイロット凪はジェット戦闘機のパイロットが着る耐Gスーツを着ていた。

黒い髪は肩まであり目の色は蒼、

彼女は名前は日本の名だが外国の血も混じっていた。


「いや、なんでって…」


恭介は現在の時間と凪が着ているパイロットスーツ、そして水筒と弁当箱らしき袋を見て軽く笑った。


「また、早朝トレーニングか?」


凪はうっという顔になりしばらく目が泳いでいたが唐突に頭を下げた。


「ご、ごめんなさい!シュミレーションをしてたらいつの間にか徹夜してしまってて…」


「で部屋に戻ろうとしたら俺とぶつかったと?」


恭介はにやにやしながら言うと彼女はさらに気まずそうにしてから


「い、一応小川大尉の許可はとりました」


「何時までだ?」


恭介が聞くと凪はさらに言いにくそうに

「0時までです…」


今の時刻は午前6時15分である。


つまり大幅オーバーである。


「あ、あの小川大尉にこのことは…」


「ああ…」


恭介は鬼教官の彼を思い出していた。

自分に厳しく部下にも厳しい鬼教官…

29才、恭介と同い年でそれなりに仲がよい。


「分かったよ。小川には言わない」


凪の顔がぱっと輝いた。


「本当ですか?」


「そりゃな。うちのエースの頼みだからな」


神崎 凪は17才である。

戦闘機に乗ってまだ長い年月も立っていないのに撃墜数はレシプロ機が相手といえ現在170機落としている撃墜王であった。

史実でいうなら岩本哲三などをすでに上回っている。

小川大尉でさえ60機という数なのである。

まさに戦闘機では天性の才能を持つパイロットであった。

紀伊ではハリアー3のパイロットであったが彼女に最強の戦闘機『烈風』を与えればすさまじい戦火が期待出来ただろうがあれはいろいろな事情があり今は琉球基地でオーバーホール中であった。


「ありがとうございます長官」


手を前に揃えて背を曲げて恭介がああ、いいよといい凪が顔をあげるとその顔が凍り付いた。


「お、小川大尉…」

泣きそうな顔でいう凪の目線を追うように恭介が後ろを向くと噂の鬼…いや、小川 健二大尉が立っていた。


「おはようございます日向長官」


ぱっと敬礼してくる小川に恭介も敬礼を返した。


「ああ、小川おはよう。どうしたんだ?」


「いえ、うちのパイロットがご迷惑をおかけしたようで…」


スゥと小川の目線が凪に向く。

凪は泣きそうになりながら恭介に助けを求めるような目で見てくる。


「神崎少尉。俺は徹夜でのトレーニングを許可した覚えはないが?」


「あ…あ…」


小川は紀伊では珍しく?規律にうるさい男だった。

少しでも破れば罰を受けさせる。

まあ、この時代でいう精神棒で背をたたきのめすような馬鹿はしないが反省文はもちろんのこと小川と一対一のお説教タイムにご案内となるのだ。

たいしたことないと思うかも知れないがあるパイロットが規律を破りわずか1時間のお説教でパイロットは泣きながら出てきたという…


恭介が以前小川に聞いたところ


「人生論を少々」


と言っていたがよくわからなかった。

とにかく凪な大ピンチに立たされていた。


「答えろ神崎少尉、何時までやっていた…」


「ろ、6時です…でも…」


「言い訳するな!」

「ひぃ」


まるで蛇に睨まれたカエルである。


さすがに恭介も気の毒になってきたので


「その編にしといてやれ小川」


「しかし、規律が…」


「ああ…規律な…少し待て」


恭介は耳の通信機で参謀長の古賀に繋いだ。


「あ、古賀か?」


「はい、なんですか長官?今日は非番じゃ…」


「いやな、パイロットの神崎 凪少尉を知ってるか?」


「神崎少尉ですか?うちのエースを知らない人はいませんよ。彼女が何か?」


「いやな、あいつ昨日トレーニングのため残業する許可を取り忘れたんだよ6時までだ。手続きしておいてくれ」


「は?ちょ!日向ちょ…」


ブツン



通信を切ると唖然とする小川を恭介は見ながら


「これでいいか?一応許可はとったことになったぞ?」


恭介が言うと小川は一瞬凪を見たがふーとため息を吐き


「次からは気をつけろよ神崎、お前も今日は非番だろ?部屋で休め」


「は、はい!ありがとうございます小川大尉」



凪が敬礼すると神崎は格納庫に通じるドアの向こうに消えた。


「ふー、あいつも規律規律ってうるさいよな?」


恭介がため息まじりに言うと凪は首を横に振り


「私も悪いんです…規律を破ったから…あ…」



恭介は凪の頭を軽く撫でた。


「だからなもっと気楽にしろよ。パイロットは休むのも仕事なんだからな。そのかわりいざというときは頼むぜエース君」



「子供扱いしないでくださいよ…」


そういいながらも凪は手を払おうとはしなかった。



そして、それを見ている存在がいた。










「みーちゃった♪」

その存在はそうつぶやくと転移の光の中に消えた。

一日の始まりである。

明「あれ?」


作者「ごめんなさい!次に書きます!」

明「この怠け者ぉ!」



作者「ぎゃああああ!」



ズドオオオオオオン

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